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米国のスコット・ベセント(Scott Bessent)財務長官が、イラン産原油を購入している国は事実上中国だけであると明言した。米国による制裁再発動への警戒から、世界の大半の国がイラン産原油の購入を見合わせている状況であり、この圧力がイランを対米交渉のテーブルに着かせる要因になっているとの見解を示したものである。
ベセント財務長官の発言の背景
ベセント財務長官によれば、ワシントンが制裁を再び課す可能性を各国が強く意識しており、イラン産原油の調達に踏み切る国はほぼ存在しない。唯一の例外が中国である。中国はイランにとって最大かつほぼ唯一の原油輸出先となっており、両国の経済的結びつきは米国の対イラン圧力の「抜け穴」として長年指摘されてきた。
米国はトランプ政権第1期(2018年)にイラン核合意(JCPOA)から離脱し、イラン産原油の全面禁輸を含む「最大限の圧力」政策を展開した経緯がある。バイデン政権下では執行がやや緩んだとされるが、現在のトランプ第2期政権では再び強硬路線に回帰しつつある。ベセント長官の今回の発言は、こうした制裁強化の方針を改めて国際社会に示すものである。
なぜこのニュースがベトナムと関係するのか
一見するとベトナムとは無関係に見えるこのニュースだが、以下の複数の経路でベトナム経済・市場に波及する可能性がある。
①原油価格への影響:イラン産原油の供給が実質的に中国向けのみに制限されることは、世界の原油供給を絞る方向に作用する。原油価格が上昇すれば、ベトナムの石油ガス関連銘柄——ペトロベトナムガス(GAS)、ペトロベトナム・ドリリング(PVD)、ペトロベトナム・テクニカルサービス(PVS)など——にとっては追い風となる。一方で、ベトナムは製造業主導の輸出国であり、燃料コストの上昇は物流費・生産コストの増大を通じてインフレ圧力を高めるリスクもある。
②米中対立の間接的影響:米国がイラン原油を巡って中国への圧力を強めることは、米中間の緊張をさらに高める可能性がある。米中デカップリング(経済分離)が進むほど、ベトナムはサプライチェーン移転の最大の受益国の一つとなる。実際、2024年以降もサムスン、アップルのサプライヤー、日本企業を含む多くの多国籍企業がベトナムへの生産移管を加速させている。
③ベトナムのエネルギー政策との関連:ベトナム政府は2030年までに電力需要を年7〜8%拡大させる計画を掲げており、エネルギー安全保障は最重要課題の一つである。国際原油市場の不安定化は、ベトナムの再生可能エネルギーシフト(第8次電力開発計画=PDP8)の推進を後押しする材料にもなり得る。
投資家・ビジネス視点の考察
短期的には、原油価格の上昇局面ではベトナムの石油ガスセクターに資金が流入しやすい。GASやPVDは外国人投資家の注目度も高く、VN-Index全体のセンチメントを左右する主力銘柄である。
中長期的に注目すべきは、米中緊張の激化がベトナムのFDI(外国直接投資)をさらに押し上げるシナリオである。2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判定と合わせて考えると、ベトナム株式市場への海外資金流入は構造的な拡大フェーズに入る可能性が高い。地政学リスクの高まりが逆説的にベトナムの「漁夫の利」を生む構図は、投資家として常に意識しておくべきポイントである。
日本企業にとっても、エネルギーコスト変動リスクをヘッジしつつベトナム拠点の競争力を維持する戦略が求められる。特に製造業においては、電力・燃料コストの動向を注視しながら、PDP8に基づく再エネ調達(PPA=電力購入契約)の活用が現実的な選択肢となってくるだろう。
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出典: 元記事












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