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トランプ米大統領が国家戦略として推進してきたレアアース(希土類)の国内サプライチェーン構築が、思わぬ形でほころびを見せている。米国政府の支援を受ける企業が生産したレアアースが、国内での需要が十分に育っていないことを理由に、続々とアジア諸国へ輸出されているというのだ。米中対立の象徴的な資源であるレアアースを巡る、この「皮肉な現実」について詳しく解説する。
トランプ政権が掲げた「レアアース国産化」の理想と現実
レアアース(希土類元素)は、電気自動車(EV)のモーター、風力発電のタービン、スマートフォン、さらには戦闘機やミサイルの誘導システムなど、ハイテク産業から軍事分野まで幅広く使用される戦略物資である。世界のレアアース生産・精製の大部分を中国が握っている現状は、米国にとって長年の安全保障上の懸念材料となってきた。
トランプ政権は発足以来、この中国依存からの脱却を掲げ、米国内でのレアアースの採掘から精製、加工に至るまでの一貫した国内サプライチェーンの構築に多額の資金を投じてきた。米国政府が出資・支援する企業に対して補助金や契約保証を与え、国内生産能力の底上げを図ってきたのである。これは単なる産業政策にとどまらず、中国との技術覇権争い、そして安全保障政策の中核をなすプロジェクトとして位置づけられてきた。
需要不足という誤算、アジアへ流れるレアアース
ところが、今回報じられた内容によれば、米国政府の後ろ盾を受けて生産されたレアアースの一部が、米国内での需要が思うように伸びないため、結果的にアジア各国へ販売されているという実態が明らかになった。
これは非常に皮肉な状況だと言わざるを得ない。米国は巨額の税金を投じてレアアースの「生産」体制を整えたものの、それを実際に使いこなす川下産業(磁石メーカーや部品メーカーなど)の育成が追いついていないのである。レアアースは掘り出して精製しただけでは価値を生まない。それを高性能磁石や部品に加工する技術と産業基盤が国内に存在して初めて、サプライチェーンとして機能する。米国はこの「加工・応用」の部分で中国に大きく後れを取っており、結果として国内で余剰となったレアアースが、加工技術や需要のあるアジア市場、とりわけ中国以外のアジア諸国へと流出する構図が生まれている。
アジアが受け皿となる背景
中国以外のアジア諸国、特に日本、韓国、そしてベトナムを含む東南アジア諸国は、電子部品、EVモーター、家電製品などの製造拠点として世界的なサプライチェーンの中に組み込まれている。米中対立が激化する中で、多くの多国籍企業が「中国プラスワン」戦略のもと、生産拠点を中国以外のアジア諸国へ分散させてきた経緯があり、こうした国々ではレアアースを原料とする部品製造の需要が着実に存在する。
つまり、米国が安全保障上の理由から国内生産を強化しようとした結果、皮肉にもその「果実」を最も効率よく吸収しているのが、米国と中国の間でバランスを取りながら製造業を発展させてきたアジア諸国だという構図が浮かび上がる。
ベトナムにとっての意味合い
ベトナムは実は世界有数のレアアース埋蔵量を持つ国の一つであり、中国に次ぐ規模とも言われている。しかし採掘・精製技術やインフラの制約から、これまで本格的な開発が進んでこなかった経緯がある。今回のニュースが示すのは、米国産レアアースがアジア市場へ流れ込む中で、ベトナムのような製造業集積地が原料調達面で新たな選択肢を得つつあるという点だ。
ベトナム政府はここ数年、レアアース分野における外国資本との協業や技術導入に強い関心を示しており、日本や韓国、そして米国企業との連携も模索されてきた。米国産レアアースの供給ルートが多様化することは、ベトナム国内の電子部品産業やEV関連産業にとって、原料調達コストの低減や供給安定化につながる可能性がある。












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