ベトナム中部クアンチ省で進められている国道15D整備プロジェクト(総事業費約1,940億ドン)が、用地取得の遅れという壁に直面している。同プロジェクトはミートゥイ港と南北高速道路(カムロー〜ラソン区間)を結ぶ戦略的インフラだが、着工時点で引き渡された用地は全長21キロメートルのうちわずか2キロメートルに留まっている。
プロジェクトの概要と迅速な行政手続き
クアンチ省建設局の報告によると、同プロジェクトは2025年8月12日付の決定第888号により投資方針が承認された。総事業費1,940億ドンで4つのサブプロジェクトから構成され、そのうち建設局が主管する全長21キロメートル超の主要道路建設には1,600億ドンが充てられる。
2024年の中央予算増収分から首相の指示により追加投資が配分されたことを受け、建設局は投資準備手続きを迅速に進めた。投資方針の承認からわずか5カ月で必要な手続きを完了させ、規定より約160日間の短縮を実現した点は注目に値する。
用地取得の難航──農地・森林・インフラが障壁に
しかし、プロジェクトの最大の課題は用地取得(メットバン=土地収用・補償作業)である。着工式典の時点で、地元自治体が引き渡せた用地は全長21キロメートル中わずか約2キロメートルと、橋梁建設予定地5カ所のみであった。
主な障害として、住民が所有する樹木や農作物、伐採・処分が必要な天然林、送電線・通信設備の移設、そして水田の収用手続きが未完了であることが挙げられる。ミートゥイ社、ヴィンディン社、ディエンサイン社の各自治体は、補償・再定住支援の計画策定と関連手続きの完了に向けて作業を続けている。
工程への影響と資金執行の見通し
計画によれば、用地取得が2026年7月末までに完了した場合、同年の建設工事額は約430億ドンに達する見込みである。一方、2026年4月30日までに前倒しで引き渡しが完了すれば、好天期を活かした施工が可能となり、工事額は約685億ドンまで拡大できると試算されている。
2026年の中央予算配分額は1,123億ドンであり、建設局は約798億ドン(計画比71%)の執行を目標に掲げている。
追加整備の提案と期待される経済効果
建設局は省人民委員会に対し、プロジェクト効果を高めるための追加投資検討を提案している。具体的には、カムロー〜ラソン高速道路とのインターチェンジ整備の完成、経済特区・工業団地を通過する区間での道路幅員拡張、街灯や都市景観設備の追加などが含まれる。
クアンチ省人民委員会のホアン・ナム常務副主席は現地視察の際、「国道15Dの完成は、クアンチ省東南部の交通インフラを完成させ、港湾と高速道路網の接続を強化する。これにより地域の経済・社会発展を推進する原動力となる」と強調した。
ナム副主席は関係部局と自治体に対し、用地取得の迅速化と好天期を活用した施工推進を指示。補償・移転対象となる住民の権利保護を徹底しつつ、「用地確保が完了した区間から順次引き渡し、即座に施工を開始する」方針を示した。建設業者にも人員・機材を動員し、既に確保済みの用地での工事を前倒しで進めるよう求めている。
考察──ベトナムのインフラ開発と用地取得問題
本プロジェクトは、ベトナムが進める南北高速道路網の整備と地方港湾のアクセス強化という国家戦略の一環に位置付けられる。クアンチ省は非武装地帯(DMZ)で知られる歴史的な地域だが、近年はミートゥイ港を核とした物流拠点化を目指している。
一方で、用地取得の遅延はベトナムの大型インフラ事業に共通する課題である。農地や森林の収用、住民補償の合意形成には時間がかかり、プロジェクト全体の工期・予算に影響を及ぼすケースが少なくない。日系企業を含む外資がベトナムでの製造拠点・物流網拡大を検討する際にも、こうしたインフラ整備の進捗状況は注視すべきポイントとなる。
出典: Vn Economy
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