ベトナムで初めて、北米の大手輸入企業を代表する国際組織「SCAN(Supplier Compliance Audit Network)」による国際会議が開催された。地政学リスクが高まる中、ベトナム企業にとってサプライチェーンの安全管理と国際基準への対応が生存条件となりつつある現実が浮き彫りとなった。
ベトナム国家イノベーションセンターとSCANが共催
2026年3月10日、ハノイにおいて、ベトナム国家イノベーションセンター(NIC、財政省傘下)とSCANの共催による国際会議「サプライチェーンにおけるリスク・コンプライアンス・イノベーション」が開催された。SCANは米国・カナダの大手輸入企業を支援する非営利ネットワーク組織であり、同組織がベトナムで会議を開催するのは今回が初めてとなる。
2025年のベトナム経済は急成長も課題山積
開会の挨拶に立ったNIC副所長のドー・ティエン・ティン氏は、2025年のベトナム経済について言及。GDP成長率は8.02%を達成し、経済規模は約5,140億ドルに到達した。さらに輸出入総額は9,300億ドルを突破し、歴史的な1兆ドルの大台に迫る勢いだと説明した。
一方で、世界のサプライチェーンにおける「重要な結節点」としての地位が高まるにつれ、米国やカナダといった主要市場からの要求も厳格化している。安全保障、透明性、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する基準が年々強化されており、ベトナム企業にとっては対応が急務となっている。
中東情勢など地政学リスクが直撃
地政学的な不安定要因も企業経営に影を落としている。中東情勢の悪化を受け、一部の国や大手企業が燃料・ガス・石油の輸出一時停止を提案するなど、エネルギー供給面でのリスクが顕在化している。ドー・ティエン・ティン氏は「リスク管理と国際基準への準拠は、もはや選択肢ではなく、企業が生き残りサプライチェーン内での地位を維持するための必須条件だ」と強調した。
SCANトップが語るコンプライアンスの重要性
SCAN理事会のジェニファー・キスナー議長は、「グローバル貿易におけるコンプライアンスへの期待は過去最高レベルにある」と指摘。ベトナム企業に対し、サプライチェーンの安全規制への対応を単なる行政的障壁ではなく、成長戦略の一部として捉えるよう意識改革を促した。
「SCANは、セキュリティ監査の重複を減らし、ベトナムのサプライヤーの効率性と透明性を高めるための協力基盤を提供する」とキスナー議長は述べ、今後ホーチミン市でも同様の会議を開催予定であることを明らかにした。
イノベーションとESG対応が成長の鍵
今回の会議では、行政手続きの改善にとどまらず、以下の4点が重点テーマとして掲げられた。
①イノベーションを通じた企業の内部改革推進
②既存の貿易障壁の解消
③リスク管理とサイバーセキュリティに関する実践的情報の提供
④トレーサビリティ(原産地追跡)強化とESG基準への準拠
これらはサプライチェーンの断絶や関税障壁といった課題を乗り越え、持続的成長を実現するための重要な柱と位置づけられている。
日本企業への示唆
ベトナムに製造拠点を持つ日本企業や、同国をサプライチェーンの一部に組み込んでいる企業にとって、今回の動きは注視すべきものだ。米国・カナダ向け輸出を行うベトナムの取引先が、より厳格なコンプライアンス基準を求められることは、日系企業のサプライチェーン全体にも影響を及ぼす可能性がある。SCAN加盟企業との取引がある場合は、監査基準やESG要件について改めて確認しておく必要があるだろう。
出典: Vn Economy
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