ベトナム北部に位置するタイグエン省が、2026年1〜2月の外国直接投資(FDI)誘致額で全国首位に立ち、業界関係者を驚かせている。登録ベースで16億5,000万ドルを超え、これまでFDI誘致の「二大拠点」とされてきたホーチミン市とバクニン省を一気に追い抜いた形だ。
全国シェア27%超、前年同期比14倍の急成長
ベトナム財務省傘下の外国投資局(FIA)の統計によると、2026年1〜2月にベトナム全体で登録されたFDI総額は60億3,000万ドル超、新規プロジェクト数は620件に達した。このうちタイグエン省への登録額は16億5,000万ドルを超え、全国シェアの27.4%を占めた。前年同期(2025年1〜2月)の1億1,378万ドルと比較すると、実に14倍という驚異的な伸びである。
内訳を見ると、新規登録が13億1,000万ドル、既存プロジェクトの増資分が3億4,130万ドルとなっている。累計では、タイグエン省へのFDI登録総額は119億ドルを超え、現在有効なプロジェクト数は263件に上る。
サムスン電子が最大の牽引役
タイグエン省がFDI誘致で存在感を高めてきた背景には、韓国サムスン電子の大規模工場の存在がある。サムスングループの直近の財務報告によれば、2025年のサムスン電子ベトナム・タイグエン(SEVT)の売上高は249億ドルに達し、前年比12%増を記録。ベトナム国内に4つあるサムスン工場の中で、最大の売上を誇る拠点となっている。
サムスン以外にも、韓国のドンファ(Dongwha)、中国のトリナ・ソーラー(Trina Solar)やフアリ(Huali)など、電子・ハイテク・エネルギー分野の世界的企業が相次いで進出。タイグエン省は北部ベトナムにおける「産業の首都」としての地位を着実に固めつつある。
投資促進会議で31案件を承認
2026年1月に開催された「タイグエン省投資促進会議2026」では、省指導部が31のプロジェクトに対し投資登録証明書や投資方針承認、協力覚書を交付した。このうち国内投資家による23案件の総額は約29億ドル、外国投資家による8案件は総額15億ドル超に上る。
「グリーンレーン」制度で行政手続きを迅速化
タイグエン省の急成長を支えるもう一つの要因が、投資環境の整備である。ヴオン・クオック・トゥアン省人民委員会主席は、行政手続きの「グリーンレーン(luồng xanh)」制度を導入し、投資関連の許認可を迅速化していると説明。トップ自らが企業との直接対話を重視し、問題解決にあたる姿勢を強調している。
インフラ面では、首都圏環状5号線の整備が進み、ノイバイ国際空港や今後開港予定のザービン空港、ハイフォン港へのアクセスが大幅に改善。タイグエン省は北部ベトナムの「産業アーク(弧)」の重要な結節点となりつつある。
人材と工業用地の優位性
タイグエン省は古くから工科系大学や職業訓練校が集積する「技術人材の揺籃」として知られる。多くの外資系企業が「資金や技術はあるが、優秀なエンジニアの確保が難しい」と語る中、同省では企業がオーダーメイドで人材育成を委託できる体制が整っており、採用コストの削減にもつながっている。
工業用地についても、すでに1万6,000ヘクタール超の工業団地が整備済みで、即入居可能な「クリーンランド」が300ヘクタール以上確保されている。「投資家を待たせるのではなく、土地を用意して投資家を迎える」という姿勢は、実務的かつ市場志向の開発思想として評価されている。
日本企業への示唆
タイグエン省の躍進は、ベトナムにおけるFDI誘致の「地殻変動」を象徴している。従来、外資はホーチミン市やハノイ近郊のバクニン省、ドンナイ省などに集中してきたが、インフラ整備の進展と地方政府の積極的な誘致策により、新たな投資先として北部内陸部が急浮上している。
日系企業にとっても、サプライチェーンの多元化や「チャイナ・プラスワン」戦略の観点から、タイグエン省は検討に値する選択肢となりつつある。サムスンを中心としたエレクトロニクス・エコシステムの存在は、部品メーカーや関連サービス企業にとって大きな商機を意味する。
出典: Vn Economy
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