ベトナムの航空旅客数が急増を続けるなか、ノイバイ(ハノイ)やタンソンニャット(ホーチミン市)といった主要国際空港周辺での交通渋滞や秩序の乱れが深刻化している。公安省出入国管理局は2025年3月16日、ハノイで緊急の会議を開催し、空港周辺の交通秩序と安全確保に向けた具体策を協議した。航空需要の伸びにインフラ整備が追いつかない構造的な課題が改めて浮き彫りとなった格好だ。
公安省主導で関係機関が一堂に――会議の概要
会議は公安省出入国管理局のヴー・ヴァン・クアン副局長(大佐)が主宰し、交通警察局、ハノイ市公安局、ホーチミン市公安局、そしてベトナム空港総公社(ACV=Airports Corporation of Vietnam)の代表者らが出席した。ACVはベトナム国内の主要空港を一手に管理・運営する国営企業であり、ノイバイ、タンソンニャットを含む全国22の空港を傘下に置く。今回の会議には、公安省内の複数の実務部門も参加しており、省を挙げた取り組み姿勢がうかがえる。
ピーク時に集中する車両と慢性的な渋滞
会議での報告によると、航空旅客数は年々増加の一途をたどっており、特に1日のうちの特定のピーク時間帯や、テト(旧正月)・祝日シーズンに空港周辺で局所的な渋滞が顕著になっている。ノイバイ空港やタンソンニャット空港では、乗客の送迎のために大量の自家用車やサービス車両、大型バスが同時に出入りし、空港へのアクセス道路や駐車場、旅客ターミナル前の高架道路上に無秩序に停車する事態が常態化している。
こうした状況は単に交通の流れを妨げるだけでなく、安全面でのリスクも孕んでいる。出席者らは、渋滞や無秩序な駐車が国際空港としてのサービス品質やイメージを損なうだけでなく、空港エリア全体の治安情勢を複雑にしていると指摘した。
設計容量を超えたインフラと「白タク」問題
旅客増加による圧力に加え、会議では構造的な問題も指摘された。多くの空港で交通インフラや駐車場が当初の設計容量をすでに超過しているという現実である。タンソンニャット空港はホーチミン市の市街地に隣接しており、拡張余地が極めて限られることは以前から知られている。現在進行中の第3ターミナル(T3)建設プロジェクトは旅客処理能力の向上を目指すものだが、空港周辺の道路インフラの抜本的な改善にはさらに時間がかかる見通しだ。
さらに、空港エリアでは政策の隙間を突いて活動する「客引き(コーモイ)」や無許可タクシー(いわゆる白タク)の問題も依然として存在する。こうした業者は到着ロビーなどで旅客に声をかけ、正規料金を大幅に上回る運賃で輸送サービスを提供するケースが後を絶たない。出席者らは、これらの行為が世論の反感を招き、空港の運輸ビジネス環境を悪化させている一方で、こうした違反行為を取り締まるための法的根拠や罰則規定がまだ十分に整備されていないことを問題視した。
テト期間の数字が示す需要の急膨張
空港の逼迫ぶりを如実に示すのが、2026年テト(旧正月・丙午)期間中の実績データである。ノイバイ国際空港ではテト期間中に5,800回の離着陸を記録し、旅客数は約98万6,400人、貨物量は約1万3,000トンに達した。前年同期比で離着陸回数は21.1%増、旅客数は20.8%増、貨物量に至っては46.7%増という驚異的な伸びを見せた。
一方、タンソンニャット国際空港では同期間の離着陸回数が8,713回、旅客数は約140万人、貨物量は約7,800トンを記録。前年同期比でそれぞれ7.15%増、11.8%増、29.9%増となった。特筆すべきは、テト明けの「6日目」にタンソンニャット空港が1日あたり約18万2,900人の旅客を処理し、過去最高記録を更新したことだ。前年同期比で16.6%増という数字は、帰省ラッシュや観光需要がいかに集中するかを物語っている。
当局が打ち出した対策の方向性
会議の結論として、クアン副局長は以下の方針を提示した。まず、空港の国境警備部門と航空保安管理部門が交通警察・治安警察と速やかに連携計画を策定し、ピーク時の交通誘導・分流を強化すること。空港管理事務所や運営会社とも協力し、空港エリアで長時間にわたる混雑や渋滞が発生しないよう万全を期す方針だ。
また、各関係部門に対しては、任務分担の見直しや、公共エリア・駐車場における治安維持体制の組織モデルの再検討を指示。ピーク時間帯に十分な人員を配置できるよう、体制の拡充も求めた。
日本企業・旅行者への影響と今後の展望
ベトナムは日本からの直行便が多数就航し、ビジネス渡航・観光の両面で日本人旅行者の利用が多い国の一つである。ノイバイ空港やタンソンニャット空港の混雑は、日本企業の駐在員や出張者にとっても身近な問題だ。特にテトや大型連休前後のフライトを利用する際には、空港到着時間に余裕を持つ必要がある。
より長期的な視点では、ベトナム政府が2025年の開港を目指して建設を進めてきたロンタイン国際空港(ドンナイ省)が、タンソンニャット空港の過密緩和の切り札として期待されている。しかし、建設スケジュールの遅延も報じられており、当面は既存空港での運用効率化と交通管理の強化が急務となる。今回の会議は、航空需要の急拡大という「成長の痛み」に直面するベトナムが、ソフト面での対策を急いでいることを示す動きといえるだろう。
出典: Vn Economy
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