ベトナム南北高速鉄道、首相が「技術選定の明確化」を指示──投資家・施工業者選定の基盤固めへ

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ベトナムのファム・ミン・チン首相は2026年3月18日、政府常務会議を主宰し、南北高速鉄道をはじめとする国家重点鉄道プロジェクトの進捗を一斉に点検した。首相は建設省に対し、南北高速鉄道の技術選定について「完全な報告書を提出し、省としての明確な見解を示すよう」求めた。この技術選定がフィージビリティ・スタディ(FS)報告書の完成、さらには投資家や施工業者の選定の基盤になるとの認識を示したものであり、ベトナム史上最大級のインフラプロジェクトがいよいよ具体的な実行段階に入りつつあることを印象づけた。

目次

会議の全体像──25の重点課題を一斉点検

今回の会議は、鉄道分野の国家重要工事・プロジェクト指導委員会の第7回会合で首相が各省庁に指示した25項目の課題について、進捗状況を総点検する場として開催された。対象となったのは、(1)南北高速鉄道、(2)ラオカイ~ハノイ~ハイフォン鉄道、(3)ハノイ~ランソン線やハイフォン~モンカイ線など地域間連絡路線、(4)ハノイとホーチミン市の都市鉄道(メトロ)──と、ベトナムが現在推進する鉄道関連の主要プロジェクトがほぼ網羅されている。首相は「第7回会合以降、各課題の実施状況は全体的にポジティブな変化を見せている」と評価しつつも、さらなるスピードアップを求めた。

南北高速鉄道──技術選定が最大の焦点に

約1,500キロメートルにわたりハノイとホーチミン市を結ぶ南北高速鉄道は、ベトナムが国家的威信をかけて推進するメガプロジェクトである。2024年末に国会が投資方針を承認して以降、計画は急ピッチで進められてきた。

建設省は今回の会議で、技術パートナーの選定方針について報告を行った。同省は2026年3月中に業務要綱の策定と入札書類の作成を進め、2026年第2四半期(4~6月)にはFS報告書を作成するコンサルタントの選定を完了する計画である。

首相が特に強調したのは「技術選定の明確化」だ。南北高速鉄道をめぐっては、日本の新幹線技術、中国の高速鉄道技術、欧州の技術など複数の選択肢が取り沙汰されてきた。どの技術体系を採用するかは、車両・信号・軌道といったハードウェアだけでなく、運行管理システム、保守体制、さらには将来の国産化率にまで影響を及ぼす。首相はこの技術選定を「FS報告書の完成および投資家・施工業者選定の基盤」と位置づけ、建設省に対して省としての「正式な見解(チンキエン)」を明示するよう求めた。

並行して、沿線の各地方自治体とベトナム電力グループ(EVN)は、用地取得の数量確認、技術インフラの移設、再定住区の建設に着手している。南北高速鉄道は20以上の省・直轄市を通過するため、用地取得だけでも膨大な作業量が見込まれる。

ラオカイ~ハノイ~ハイフォン鉄道──同時並行で複数工区が進行

中国国境のラオカイからベトナムの首都ハノイを経由し、北部最大の港湾都市ハイフォンに至るこの路線は、中国との物流・人流の大動脈となることが期待されている。現在、駅舎や駅前広場の接続インフラ整備、鉄道本体工事、用地取得、送電施設の移設といった各構成プロジェクトが同時並行で進められている。首相は各地方自治体に対し、用地取得を加速し、FS報告書を2026年3月中に完成させるよう指示した。

ハノイ~ランソン線、ハイフォン~モンカイ線──2026年内の計画策定を目指す

中国国境に通じるもう一つの重要ルートであるハノイ~ランソン線と、北部沿岸部を走るハイフォン~モンカイ線についても、建設省は2026年4月までに中間報告書を完成させ、同年中に路線計画を確定する方針だ。特にハイフォン~ハロン~モンカイ線については、クアンニン省人民委員会を事業主管機関・事業主として位置づける手続きが進められており、地方主導の鉄道整備というベトナムでは比較的新しいスキームが試みられている。

都市鉄道──ハノイ4路線が2026年着工へ、ホーチミン市も6路線を準備

首都ハノイでは計6路線の投資手続きが進行中で、うち4路線は2026年中の着工を目指している。加えて、既存の3路線(カットリン~ハドン線など)の延伸・運営改善も継続される。一方、ホーチミン市は2026~2030年の期間に6路線の投資準備を優先的に進めている。ホーチミン市についてはメトロ1号線(ベンタイン~スオイティエン)が2024年末に開業したばかりであり、都市鉄道網の拡充は同市の慢性的な交通渋滞の解消に不可欠と位置づけられている。

首相は特にホーチミン市に対し、建設中のロンタイン新国際空港およびタンソンニャット国際空港と市中心部を結ぶ路線を優先するよう指示した。ロンタイン空港は2026年末の一部開業を目指しており、空港アクセス鉄道の整備は喫緊の課題である。

建設省はまた、都市鉄道に関する国家技術基準の整備を進めており、2026年第3四半期(7~9月)に公布する予定だ。これまでベトナムの都市鉄道は路線ごとに異なる技術基準(日本式、中国式、欧州式など)が混在しており、統一基準の策定は相互運用性や保守効率の向上に大きく寄与すると見られる。

資金調達と人材育成──多角的なアプローチを指示

首相は資金調達について、国家予算のみに依存しない多角的なアプローチを求めた。具体的には、国家資金、民間資金、官民連携(PPP)、借入金、債券発行など多様な資金源の活用を指示し、「最適化を図り、無駄を排除する」よう念を押した。

また、建設省とベトナム鉄道総公社(VNR)に対しては、具体的な人材育成計画の策定を指示した。高速鉄道や都市鉄道の運行・保守には高度な技術人材が不可欠であり、現在のベトナムの鉄道業界の人材基盤では質・量ともに不足が指摘されている。

さらに、財政省にはベトナム鉄道総公社の再編計画を3月20日までに承認申請するよう、商工省には鉄道産業の発展計画を3月中に提出するよう、それぞれ期限を切って指示が出された。

汚職防止と民間投資への監督強化

首相は会議の結論として、すべてのプロジェクトにおいて「進度と品質の確保、法令遵守、検査・監査の強化、汚職・不正行為・利益集団の排除」を徹底するよう求めた。民間企業が投資を提案しているプロジェクトについては、関係機関に「検査・監督を強化し、制度・政策を整備する」よう指示しており、巨大インフラ事業に伴うガバナンス上のリスクへの警戒感がうかがえる。

日本企業・投資家への示唆

今回の会議で最も注目すべきは、南北高速鉄道の「技術選定の明確化」が公式に指示された点である。日本は長年にわたりベトナムの鉄道整備を支援してきた経緯があり、新幹線技術の採用を強く働きかけてきた。技術選定がFS報告書の完成と投資家・施工業者選定に直結する以上、この判断はプロジェクトの方向性を決定づけるものとなる。

また、都市鉄道の国家技術基準が2026年第3四半期に公布される見通しであることは、車両メーカーやシステムインテグレーターにとって重要な情報だ。統一基準の内容次第では、今後のベトナム都市鉄道市場への参入条件が大きく変わる可能性がある。

多角的な資金調達の方針が示されたことで、PPPスキームやプロジェクトファイナンスを通じた日本企業の参画機会も広がりつつある。ベトナムの鉄道インフラ整備は今後10年間で数兆円規模の投資が見込まれるメガマーケットであり、技術選定の行方とあわせて引き続き注視が必要だ。

出典: Vn Economy

いかがでしたでしょうか。今回のベトナム南北高速鉄道の技術選定をめぐる動向について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

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