ベトナム政府、燃料価格高騰に便乗した運賃値上げを厳しく取り締まりへ――中東情勢緊迫でガソリン・軽油が大幅上昇

Siết quản lý giá cước vận tải, không để “té nước theo mưa” khi giá nhiên liệu tăng

ベトナム建設省は、中東紛争の激化に伴う燃料価格の急騰を受け、各地方自治体および専門管理機関に対し、運輸料金の厳格な管理を指示した。燃料価格の変動に便乗した不当な値上げ、いわゆる「便乗値上げ」を断固として許さない姿勢を鮮明にしている。物流コストの上昇は製造業や市民生活に直結するだけに、ベトナムに進出する日系企業にとっても無視できない動きである。

目次

燃料価格が大幅に上昇――軽油は1リットルあたり6,395ドン増

2026年3月19日夜、ベトナム商工省と財務省は連名でガソリン・軽油などの燃料価格の引き上げを発表した。具体的な上限価格は以下の通りである。

・E5RON92ガソリン:1リットルあたり2万7,177ドン以下(従来の上限価格から4,673ドン上昇)
・RON95-IIIガソリン:1リットルあたり3万690ドン以下(同5,115ドン上昇)
・軽油(ディーゼル0.05S):1リットルあたり3万3,420ドン以下(同6,395ドン上昇)
・灯油:1リットルあたり3万5,926ドン以下(同8,994ドン上昇)
・重油(マズート180CST 3.5S):1キログラムあたり2万2,189ドン以下(同3,528ドン上昇)

特に軽油と灯油の上昇幅が大きく、トラック輸送や漁業、農業など軽油を大量に使用する産業への影響が懸念される。E5RON92とRON95-IIIの価格差は3,513ドンとなっており、政府がバイオ燃料であるE5の普及を価格面で後押しする構図は変わっていない。

建設省が各機関に厳格な価格管理を通達

チャン・ホン・ミン建設大臣は、各省・中央直轄市の人民委員会(地方行政機関)および専門管理局に対し、運輸料金の管理強化を求める公文書を発出した。これは2026年3月6日に政府が公布した「燃料価格安定化に関する政府決議」の実行措置として位置づけられている。

通達の対象となったのは、ベトナム道路局、ベトナム鉄道局、ベトナム航空局、海事局、内陸水運局の5つの専門管理機関と、全国の省・市レベルの地方行政機関である。ベトナムでは建設省が交通運輸行政を所管しており(日本の国土交通省に相当する機能を持つ)、道路・鉄道・航空・海運・内陸水運を横断的に管理している。

通達の具体的な内容――4つの柱

建設省が求めた措置は、大きく4つの柱に整理できる。

第一に、価格モニタリングの強化である。燃料価格が旅客運賃および必需品の物流コストに与える影響を注視し、企業に対しては価格申告(ベトナムでは運賃改定時に当局への事前届出が義務づけられている)を適正に行うよう指導することが求められた。コスト構造を正確に算出し、「正しく・漏れなく」計上することが強調されている。

第二に、違反行為への厳格な取り締まりである。価格の申告内容、店頭表示価格、実際の販売価格の整合性を重点的に検査し、大幅な値上げを行った事業者を集中的に調査する。燃料価格の変動を口実にした不当な値上げには厳正に対処するとしている。

第三に、運輸効率の最適化である。各地方は運行計画を見直し、実需に合った車両配置を行うとともに、空車回送(荷物を積まずに走る「空走り」)を減らして燃料消費を抑制するよう求められた。さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による運行管理の効率化や、電気自動車・クリーンエネルギー車両への転換促進も盛り込まれている。

第四に、国が定める料金枠内での値下げ誘導である。国が上限・下限を定めている運輸サービスについては、燃料価格の影響が比較的小さいサービスに対して下限価格の適用や値下げの検討を企業に指示するよう求めた。同時に、市場の動向を継続的に監視し、状況に応じた柔軟な対応策を提案するよう各機関に指示している。

背景――中東情勢と原油価格の高騰

今回の燃料価格上昇の直接的な要因は、中東地域における紛争の激化である。建設省の通達でも「中東紛争の複雑な展開が原油価格および石油製品価格を押し上げた」と明記されている。ベトナムは国内で原油を産出するものの、精製能力が需要に追いつかず、ガソリンや軽油の相当量を輸入に依存している。そのため、国際原油価格の変動がダイレクトに国内燃料価格に反映されやすい構造を持つ。

ベトナムでは燃料価格は政府が上限価格を設定する「管理価格制」を採用しており、通常10日〜15日おきに改定が行われる。今回のように1リットルあたり5,000〜9,000ドン規模の大幅引き上げは近年でもかなり異例であり、政府が「便乗値上げ防止」に早急に動いた背景がうかがえる。

日系企業・日本の読者への示唆

ベトナムは「チャイナ・プラスワン」の有力候補として日系製造業の進出が加速しているが、物流コストは進出企業にとって常に重要な経営課題である。特に北部のハノイ・ハイフォン回廊や南部のホーチミン市周辺に工場を構える企業にとって、トラック輸送費の上昇は生産コストに直結する。

今回の政府の対応は、燃料高に伴うインフレ圧力を抑制しようとする強い意志の表れである。一方で、運輸事業者側にとっては実際にコストが上昇しているにもかかわらず値上げが抑制されることで、経営が圧迫されるリスクもある。日系物流企業や現地の物流パートナーに委託している企業は、契約条件の見直しやサーチャージ(燃油付加料金)の適用可否について、早めに交渉を始めておくことが望ましいだろう。

また、ベトナム政府が電気自動車やクリーンエネルギー車両への転換を推進している点は、中長期的にEV関連ビジネスの拡大を示唆している。ベトナム最大の民間企業であるビングループ(Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)がEVバスやEVタクシーの展開を加速させているほか、政府も2050年までのカーボンニュートラルを掲げており、運輸セクターの脱炭素化は国策として進められている。

燃料価格の高騰という短期的な課題と、エネルギー転換という中長期的な構造変化の両面から、ベトナムの運輸セクターの動向を注視していく必要がある。

出典: Vn Economy

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