ベトナムの主要証券会社が相次いで2025年(あるいは2026年)の利益目標を過去最高水準に設定している。代表的な株価指数であるVN-Indexが新たな高値を更新するとの予測に加え、しばらく流出が続いていた外国人投資家の資金が再び戻ってくるとの見通しが、業界全体の強気姿勢を支えている。各社が掲げる利益成長率は前年比で2桁から3桁増という極めて野心的な水準であり、ベトナム証券業界が新たな成長ステージに入りつつあることを示唆している。
証券各社が描く「記録的利益」のシナリオ
ベトナムの証券会社は近年、国内株式市場の取引高拡大やマージンレンディング(信用取引向け融資)の増加を背景に業績を伸ばしてきた。今回、複数の大手・中堅証券会社が年次株主総会などの場で示した利益目標は、前年比で「2桁~3桁(100%以上)増」という強気なものである。こうした目標設定の背景には、いくつかの構造的な追い風がある。
まず、VN-Indexの上昇期待だ。ベトナムの代表的な株価指数であるVN-Index(ホーチミン証券取引所の主要指数)は、過去最高値圏を試す展開が見込まれている。ベトナム政府が掲げるGDP成長率目標(2025年は8%前後)や、製造業への外国直接投資(FDI)の継続的な流入、さらにはインフラ整備の加速が企業業績を押し上げ、株価を下支えするとの見方が強い。
次に、外国人投資家の資金回帰である。ベトナム市場では2022年後半から2024年にかけて外国人投資家の売り越しが長期化し、市場の重しとなっていた。しかし、ベトナムがFTSEラッセルやMSCIといった主要株価指数の「新興市場」への格上げに向けて制度改革を進めていることが、海外機関投資家の関心を再び引きつけつつある。特に、外国人投資家の株式売買における事前入金(プレファンディング)ルールの緩和や、新しいKRX(韓国取引所技術ベースの新取引システム)の導入が実現すれば、海外資金の流入が本格化するとの期待が高まっている。
ベトナム証券業界の収益構造と成長ドライバー
ベトナムの証券会社の収益は、大きく分けて(1)ブローカレッジ(売買仲介手数料)、(2)マージンレンディング(信用取引向け貸付の利息収入)、(3)自己売買(プロップトレーディング)、(4)投資銀行業務(IPO引受、社債発行支援など)で構成される。近年は特にマージンレンディングが収益の柱として存在感を増しており、個人投資家の信用取引需要が旺盛な限り、証券会社の利息収入は安定的に拡大する構図だ。
また、ベトナムでは個人投資家の証券口座数が急増しており、2024年末時点で人口約1億人に対して900万口座を超えるまでに成長した。若年層が多いベトナムの人口構造は、長期的な市場の厚みを増す要因として注目されている。証券口座の普及はまだ先進国と比べて低水準であり、今後さらなる拡大余地があるとされる。
日本企業・日本人投資家への示唆
日本との関係においても、ベトナム証券市場の動向は無視できない。日本の大手証券グループであるSBIホールディングスや大和証券グループなどはベトナム証券会社への出資や業務提携を進めており、ベトナム市場の成長は日本の金融機関の海外収益にも直結する。また、ベトナム株に投資する日本の個人投資家も増加傾向にあり、VN-Indexの動向やベトナム証券会社の業績は、投資判断に影響を与える重要な指標となっている。
ベトナムが「フロンティア市場」から「新興市場」へ格上げされれば、グローバルなインデックスファンドからの自動的な資金流入が見込まれ、市場全体の流動性と時価総額が大幅に拡大する可能性がある。証券各社が過去最高益を見込む背景には、こうした市場の構造変化への確信がある。
リスク要因も念頭に
もっとも、楽観的な見通しばかりではない。米中対立の激化やグローバルな景気後退リスク、ベトナム国内の不動産市場の調整、さらには為替変動(ベトナムドン安)が外国人投資家のリターンを削る可能性も指摘されている。証券各社が掲げる「記録的利益」は、あくまで市場環境が好転するシナリオが前提であり、実現には不確実性も伴う点に留意が必要だ。
それでも、ベトナム証券業界がここまで強気の姿勢を打ち出していること自体が、同国資本市場の成熟と成長を象徴していると言えるだろう。
出典: VnExpress
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