ベトナム国内の金価格が下落基調を続けている。2026年3月23日時点で、国内金価格は1ルオン(テール=約37.5グラム)あたり169万ドン(1億6,900万ドン)まで後退し、前日からさらに200万ドン(2 triệu đồng)の値下がりとなった。注目すべきは、国内価格と国際価格との乖離が依然として1ルオンあたり2,800万ドンを超える水準にあるという点である。
金価格下落の現状
ベトナムの金市場では、ここ数日にわたり金価格が下落傾向にある。今回の下げ幅は1ルオンあたり200万ドンで、国内金価格は1億6,900万ドンの水準まで後退した。ベトナムでは金は「ルオン」(lượng、英語ではtael=テール)という伝統的な重量単位で取引されており、1ルオンは約37.5グラムに相当する。日本で馴染みのあるトロイオンス(約31.1グラム)とは異なる単位であるため、単純な比較には注意が必要である。
今回の下落にもかかわらず、ベトナム国内の金価格は国際相場と比較して依然として大幅なプレミアム(上乗せ価格)がついている状態だ。その差額は1ルオンあたり2,800万ドン以上に達しており、ベトナム金市場の構造的な問題を改めて浮き彫りにしている。
なぜベトナムの金価格は世界価格と大きく乖離するのか
ベトナムにおける金価格の国際相場との乖離は、長年にわたる構造的な課題である。その主な要因は以下の通りだ。
第一に、ベトナム政府は金の輸入を厳しく規制している。ベトナム国家銀行(中央銀行)が金地金の輸入を独占的に管理しており、民間企業や個人が自由に金を輸入することができない。この供給制約が、国内価格を国際相場よりも押し上げる最大の要因となっている。
第二に、ベトナムでは金が伝統的に資産保全の手段として根強い人気を持つ。不動産取引の一部が金建てで行われることもあり、結婚式や旧正月(テト)の贈答品としても金が重用される。こうした文化的な需要の高さが、価格を下支えしている。
第三に、ベトナムドンに対する信認の問題がある。インフレや通貨安への懸念が高まる局面では、国民が金に殺到する傾向があり、需給バランスがさらに崩れやすい。
ベトナム政府の対応と最近の動向
ベトナム国家銀行は近年、国内金価格と国際価格の乖離を縮小するため、金地金の入札販売を断続的に実施してきた。2024年以降、政府は市場への金供給を増やす方針を打ち出し、SJC(サイゴン・ジュエリー・カンパニー)ブランドの金地金を中心に供給拡大策を講じている。しかし、根本的な輸入自由化には踏み切っておらず、乖離の完全な解消には至っていないのが現状である。
なお、ベトナムで流通する金地金は、国家銀行が品質を保証するSJCブランドが事実上の標準となっており、SJC以外のブランドの金地金はやや低い価格で取引される傾向がある。今回報じられた1億6,900万ドンという価格も、SJCブランドの金地金を指しているとみられる。
日本企業・投資家への示唆
ベトナムの金市場の動向は、同国の経済・金融環境を映す鏡でもある。金価格の下落は、足元でベトナムドンの安定や株式市場への資金シフトが進んでいる可能性を示唆する。一方で、2,800万ドン超という国際価格との乖離は、ベトナムの金融市場がまだ完全には国際化されていないことを物語っている。
ベトナムに進出している日本企業や、ベトナム関連の投資を検討している投資家にとって、金市場の動向はベトナム国民の景気心理やインフレ期待を読み解く上で有用な指標となる。金価格が下落基調にあるということは、足元では過度なインフレ懸念や通貨不安が後退している可能性があり、ビジネス環境としてはポジティブなシグナルと捉えることもできるだろう。
ただし、国際価格との大幅な乖離が続く限り、ベトナムの金市場は投機的な動きに左右されやすい構造を内包している。今後、ベトナム政府が金輸入規制の緩和や市場改革にどこまで踏み込むかが、中長期的な注目点となる。
出典: VN Express
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