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3月16日(月)の米国株式市場は大幅反発した。原油価格の急落が売り圧力を和らげ、主要3指数がそろって上昇。ただし、米イラン間の緊張は依然として解消されておらず、市場の不透明感は根強い。ベトナムを含む新興国市場にとっても、原油価格と米金融政策の行方は極めて重要なファクターであり、今週のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果とあわせて注視が必要である。
主要指数は軒並み上昇、ダウは378ポイント高
この日の終値は、ダウ工業株30種平均が前日比378.94ポイント(0.83%)高の46,946.41ポイント、S&P500種株価指数が1.01%高の6,699.38ポイント、ナスダック総合指数が1.22%高の22,374.18ポイントであった。
S&P500は2週連続で下落し、前週金曜日には年初来安値で引けていた。今回の反発はその流れをいったん断ち切った格好だが、取引量には注意が必要である。この日の米国株式市場全体の売買高は約174億株にとどまり、直近20営業日の平均である199億株を大きく下回った。全11セクターが上昇したものの、薄商いの中での反発であり、強気派が本格的なトレンド転換を確信するには至っていない。
原油急落の背景—ホルムズ海峡問題に進展の兆し
前週、ウォール街の株価を圧迫した最大の要因は原油価格の急騰であった。イランがホルムズ海峡(世界の石油消費量の約5分の1が通過する要衝)を封鎖したことで、ロンドン市場のブレント原油先物は2022年以来初めて1バレル100ドルを突破していた。
月曜日の取引では、WTI原油先物(ニューヨーク市場)が5.28%安の93.5ドル、ブレント原油先物が2.84%安の100.21ドルまで下落した。下落のきっかけとなったのは、スコット・ベセント米財務長官がCNBCのインタビューで「米国はイランの石油タンカーがホルムズ海峡を通過することを許可する」と発言したことである。さらにウォール・ストリート・ジャーナル紙が、米国がホルムズ海峡を通過する船舶を護衛する多国間連合を近く発表すると報じたことも、原油売りを加速させた。
トランプ大統領の発言で上げ幅縮小
しかし、日中に記者団と交わしたやり取りの中で、トランプ大統領は護衛連合がまだ正式に成立していないことを示唆した。各国に参加を呼びかけている段階であり、消極的な国々への不満をあらわにした。
「一部の国は非常に乗り気だが、そうでない国もある。過去40年間にわたって数百億ドルを費やして守ってやった国の中にも、参加しない国が1つか2つ出てくるだろう」とトランプ大統領は述べた。
この発言を受けて原油価格は安値から持ち直し、株式指数も高値から押し戻された。ザラ場の高値ではダウが1.3%高、S&P500が1.5%高、ナスダックが1.9%高まで上昇していたが、引けにかけて上げ幅を縮小した形である。
軍事行動とエネルギーインフラ—イラン情勢の現在地
前週金曜日、トランプ大統領はイランの軍事拠点があるハーグ島(Kharg島、イランの石油輸出の中心地)への攻撃を命じた。ただし、攻撃対象は軍事資産に限定され、エネルギーインフラには被害が及んでいない。一方でトランプ大統領は、イランがホルムズ海峡の封鎖を続ければ、ハーグ島のエネルギーインフラへの攻撃も検討すると警告している。
週末にNBCとのインタビューでトランプ大統領は「イランは米国との合意を望んでいるが、自分はまだ準備ができていない」と語っており、交渉の余地を残しつつも強硬姿勢を崩していない。
資産運用会社マーサー・アドバイザーズ(Mercer Advisors)のポートフォリオ管理担当副社長デイビッド・クラカウアー氏はCNBCに対し、「市場は長期的に見てトランプ大統領が市場の利益を気にかけていると感じている」と分析。「状況が悪化し始めたらトランプ大統領がすべてを終わらせるだろうという期待に、市場はまだ依存している」と述べた。
実際、紛争勃発以降のS&P500の下落率は年初来高値から約4%にとどまっており、売りは比較的コントロールされた範囲に収まっている。ただし、クラカウアー氏は「不確実性は依然として残っている。すべてが急速に変化する。戦争の霧の中で、投資家は様子見を続けたい」とも指摘している。
今週の焦点—FOMC会合と金利見通し
今週の米国市場では、米イラン情勢に加え、FRB(連邦準備制度理事会)のFOMC会合が最大の注目イベントとなる。会合は火曜日に開始し水曜日に結果が発表される予定で、市場のコンセンサスはフェデラルファンド金利の据え置きである。投資家が注視するのは、FRBによる米国経済の現状評価と、今後の利下げ経路に関するガイダンスである。
ベトナム市場・投資家への影響と考察
今回のニュースは米国市場の動向だが、ベトナム株式市場にとっても複数の重要な示唆がある。
第一に、原油価格の影響である。ベトナムは石油の純輸出国から純輸入国へと転じつつあり、原油高はガソリン価格や輸送コストの上昇を通じて企業収益を圧迫する。一方で、ペトロベトナムグループ傘下のPVガス(GAS)やペトロベトナム・ドリリング(PVD)など石油関連銘柄にとっては追い風となる二面性がある。原油が100ドル前後で推移する局面では、こうしたセクター間の明暗が鮮明になりやすい。
第二に、米金利政策の行方である。FRBが利下げを先送りすれば、ドル高・新興国通貨安の圧力が続き、ベトナムドンにも下押し圧力がかかる。ベトナム国家銀行(中央銀行)の為替政策にも影響を与えるため、今週のFOMCの声明文とドットプロット(金利予測分布図)は、ベトナム株投資家にとっても必読の材料である。
第三に、地政学リスクとサプライチェーンの観点である。ホルムズ海峡の緊張が長期化すれば、原材料コストの上昇やグローバルサプライチェーンの混乱を通じて、ベトナムの製造業・輸出セクターにも波及する可能性がある。特に、日系企業を含む外資系製造業がベトナムに多数進出している現状を踏まえると、エネルギーコストの変動は工場稼働率や利益率に直結する問題である。
第四に、2026年9月に判定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げとの関連である。格上げが実現すれば、数十億ドル規模のパッシブ資金がベトナム市場に流入すると期待されているが、その前提として市場の流動性と安定性が求められる。米国発の地政学リスクや原油ショックがベトナム市場のボラティリティを高める局面では、格上げ判定に向けた市場整備の進捗にも目を配る必要がある。
総じて、米国株の反発は短期的にはベトナム市場のセンチメント改善に寄与するが、原油価格が100ドル近辺に高止まりし、米イラン間の緊張が継続する限り、リスクオフの波が再び押し寄せる可能性は排除できない。今週のFOMCの結果とホルムズ海峡情勢の進展を注意深く見守りたい。
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