世界の大手自動車12社がEV戦略を一斉縮小、損失750億ドル超——ベトナム自動車産業への波及は

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世界の主要自動車メーカー少なくとも12社が、電気自動車(EV)の開発・投資計画を相次いで縮小していることが、英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)の調査で明らかになった。モデルの取りやめや投資計画の見直しにより、世界の自動車産業がこの1年間で被った損失は少なくとも750億ドルに上るとされる。内燃機関(ICE)車への根強い需要と、米国・欧州におけるEV支援策の後退が、業界全体の戦略転換を加速させている。

目次

ホンダが2040年ICE車廃止計画を撤回、160億ドルの損失も視野に

今回の潮流を象徴するのが、日本のホンダ(Honda)の方針転換である。ホンダは従来掲げていた「2040年までに内燃機関車の生産を全面終了する」という計画を撤回した。同社はEV戦略の再構築に伴い、今後2年間で最大160億ドルの損失が発生すると予測している。日本を代表する自動車メーカーの大幅な方向転換は、EV市場の現実が当初の楽観論とは大きく乖離していることを如実に示している。

メルセデス、フォード、ステランティス、ボルボも目標を下方修正

ホンダだけではない。ドイツの高級車メーカー・メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)、米国のフォード(Ford)、欧州の多国籍メーカー・ステランティス(Stellantis、旧FCA=フィアット・クライスラーとPSAグループの合併企業)、そしてスウェーデンのボルボ・カーズ(Volvo Cars)も、それぞれ完全EV化の目標を下方修正した。各社とも、市場の需要動向と政策環境の変化を踏まえ、現実的な移行スケジュールへと計画を見直している格好である。

高級車ブランドでさらに顕著な「EV離れ」

EV化の減速は、とりわけ高級車セグメントで顕著である。BMWグループ傘下のロールス・ロイス(Rolls-Royce)は直近で方針を変更し、2030年以降もガソリンエンジン車の生産を継続すると宣言した。ロールス・ロイスは2023年に高級車ブランドとしていち早く完全EVモデル「スペクター(Spectre)」を市場投入していたが、同社のCEOクリス・ブラウンリッジ(Chris Brownridge)氏は「スペクター発売以降、世界は変わった」と述べている。

その「変化」とは、米国のトランプ大統領政権下でのEV関連政策の大転換である。連邦税額控除(EV購入者向け税額控除)の廃止、充電インフラ向け支出の削減、自動車排出規制の緩和が相次いで実施された。さらに欧州連合(EU)も域内の排出目標を引き下げており、世界的にEV推進の政策的後押しが弱まっている。ブラウンリッジ氏は、ロールス・ロイスとしてはEVモデルの推進を続けつつも、伝統的なV12ガソリンエンジン車の販売も並行して行う方針を強調した。

ランボルギーニ、ベントレー、ロータス、アウディ、ポルシェ——「完全EV化」から「PHEV拡充」へ

フォルクスワーゲン(Volkswagen)グループ傘下のランボルギーニ(Lamborghini)は、2030年に投入予定だった初の完全EVモデル「ランザドール(Lanzador)」の計画を撤回し、同モデルをプラグインハイブリッド(PHEV)として発売する方針に切り替えた。CEOのステファン・ヴィンケルマン(Stephan Winkelmann)氏は、「完全EVを拒否する顧客がますます増えている」と明かし、その最大の理由として「エンジンサウンドの欠如」を挙げた。ランボルギーニのドライビングエクスペリエンスにおいて、エンジン音は不可欠な要素であるという顧客の声が、戦略転換の決定打となった形である。

同じくフォルクスワーゲン傘下のベントレー(Bentley)も、2035年以降も完全EV専業にはせず、PHEV車の販売を継続すると発表した。ベントレー初のEVモデルは来年発売予定だが、これは当初計画から2年の遅れとなる。

さらに、ロータス(Lotus)、アウディ(Audi)、ポルシェ(Porsche)といったブランドも、今後10年以内に完全EV化もしくは80%EV化を目指すとしていた従来計画を縮小し、代わりにPHEVラインナップの拡充に軸足を移している。

フェラーリは独自路線——初のEV「ルーチェ」の受注を5月開始

こうした「EV撤退」の流れの中で、独自のアプローチを貫くのがフェラーリ(Ferrari)である。フェラーリは2030年のEV生産目標を半減させたものの、初の完全EVモデル「ルーチェ(Luce)」の開発を継続しており、2025年5月から予約受付を開始する予定だ。CEOのベネデット・ヴィーニャ(Benedetto Vigna)氏は「ガソリン車であれハイブリッドであれEVであれ、フェラーリのドライビングフィールは変わらない」と繰り返し強調し、「フェラーリのオーナーにエンジン音を諦めることを強いることはない」と語っている。高級スポーツカーの世界では、感覚的価値がテクノロジーの転換よりも優先されるという現実が浮き彫りになっている。

業界損失は750億ドル以上——EV移行の「理想と現実」

フィナンシャル・タイムズの推計によれば、こうしたEV戦略の変更——モデルの取りやめ、投資計画の撤回・縮小——がもたらした世界自動車産業全体の損失は、この1年間で少なくとも750億ドルに達する。この数字は、EVへの急速な移行がいかにリスクを伴うものであったかを物語っている。内燃機関車の需要が依然として堅調であること、充電インフラの整備が追いついていないこと、そして政策環境が不安定であることが、自動車メーカーの慎重姿勢を後押ししている。

投資家・ビジネス視点の考察——ベトナム市場・日系企業への影響

今回のグローバルなEV戦略縮小は、ベトナムの自動車・EV産業にも複数の経路で波及する可能性がある。

1. ビンファスト(VinFast)への影響:ベトナム初の国産EV専業メーカーであるビンファスト(VinFast、ティッカー:VFS/米ナスダック上場)は、世界的なEV需要の鈍化が続けば、販売拡大のハードルがさらに高まる。同社はインドネシアやインドなど新興国市場への進出を加速しているが、主要先進国でのEV支援策縮小は逆風となる。一方で、競合する欧米メーカーがEV投入を遅らせることで、価格帯の異なるセグメントでビンファストに一定のチャンスが生まれる可能性もある。

2. ベトナムのEV部品サプライチェーン:ベトナムはEV用バッテリー部品や電子部品のサプライチェーンの一角を担いつつある。グローバルメーカーのEV投資縮小は、短期的にはベトナム国内のEV関連部品メーカーや工場への発注減少につながるリスクがある。ホーチミン証券取引所(HOSE)やハノイ証券取引所(HNX)に上場するEV関連銘柄への影響にも注意が必要である。

3. 日系自動車メーカーの対ベトナム戦略:ホンダのEV計画撤回は、ベトナム国内でのホンダの事業戦略にも影響を与える可能性がある。ベトナムはホンダにとって二輪車・四輪車ともに重要市場であり、内燃機関車やハイブリッド車の生産・販売が当面の主力であり続ける見通しだ。トヨタ(Toyota)やスズキ(Suzuki)など他の日系メーカーも同様に、ベトナム市場ではハイブリッドやICE車を中心としたラインナップを維持するだろう。

4. FTSE新興市場指数の格上げとの関連:ベトナム株式市場は2026年9月にもFTSE新興市場指数への格上げが見込まれているが、自動車・EV関連銘柄の業績動向は、格上げ後の資金流入先としてのセクター評価にも関わってくる。グローバルなEV投資の縮小がベトナムの製造業セクター全体のセンチメントに与える影響は、中長期的に注視すべきポイントである。

5. ベトナム経済全体への示唆:ベトナム政府はグリーン成長戦略の一環としてEV普及を推進しており、EV購入に対する税優遇措置なども講じてきた。しかし、世界的なEV減速の流れは、ベトナム国内のEV普及ペースにもブレーキをかける可能性がある。政策当局がどのように対応するかが、今後のベトナム自動車市場の方向性を左右することになるだろう。


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出典: 元記事

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