ベトナム・ハイフォン市で社会住宅の不正審査発覚—ホアンフイ系3プロジェクトで7件の資格外購入

Hải Phòng: Dự án nhà ở xã hội xét duyệt chưa đúng đối tượng
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ベトナム北部の主要港湾都市ハイフォン市で、社会住宅(低所得者向け住宅、nhà ở xã hội)の購入資格審査に不備があることが市の監査で明らかになった。ホアンフイ・ファイナンシャル・インベストメント・サービス社(Công ty cổ phần đầu tư dịch vụ tài chính Hoàng Huy)が手掛ける3つの社会住宅プロジェクトにおいて、抜き取り検査の結果7件の申請書類が購入資格を満たしていないと判定された。さらに21件の書類にも不整合が見つかっており、ベトナムで繰り返し指摘される社会住宅制度の構造的問題が改めて浮き彫りとなった形である。

目次

監査結論の概要——3プロジェクトで何が問題だったのか

ハイフォン市監査局は2025年に入り、ホアンフイ社が事業主体となっている3つの社会住宅プロジェクトに関する監査結論(第08号/KL-TTTP)を公表した。監査では、各プロジェクトから50件ずつ、計150件の購入・賃借・賃借購入(thuê mua)申請書類を抜き取り検査した。その結果は以下の通りである。

  • プルクサ(Pruksa)プロジェクト(アンハイ〈An Hải〉地区、旧アンドン〈An Đồng〉社):5件の購入申請が対象資格・条件を満たさない虚偽の申告と認定
  • アンハイ地区の社会住宅プロジェクト:2件の申請書類で職業および購入者区分の記載が実態と異なると認定
  • 3プロジェクト全体:上記7件に加え、勤務先情報や納税義務に関する記載が不正確または矛盾する書類が21件確認されたが、監査期間の制約上、これらが規定に適合するか否かの最終結論には至っていない

監査局は、不正と確定した7件について、事業主体であるホアンフイ社に対し契約の解除、代金の返還、そして住戸の回収を命じた。また、ハイフォン市建設局(Sở Xây dựng)など関連機関と連携し、疑義が残る21件についても引き続き精査するよう求めている。

大幅に遅延するプルクサ・プロジェクトの実態

今回監査対象となったプロジェクトの中で最も深刻な遅延を抱えているのが、アンドン社(現アンハイ区)に位置する低所得者向け住宅プロジェクトである。このプロジェクトは2013年にハイフォン市人民委員会からホアンフイ傘下のプルクサ・ベトナム社(Công ty TNHH Pruska Việt Nam、本社:ハイフォン市レチャン区グエンドゥックカイン通り112番地)に対して投資登録証明書が発行されたものだ。

計画では総面積20.69ヘクタールの敷地に、3階建て集合住宅1,908戸、5階建て集合住宅90戸、連棟住宅242戸、再定住用住宅11戸を建設し、2013年から2017年の間に完成する予定であった。

しかし監査によると、2017年の期限到来時点で用地の収用(giải phóng mặt bằng)すら完了しておらず、インフラ整備や再定住住宅の建設も着手されていなかった。企業側が計画の変更と期限延長を申請したのは2019年で、新たな完了期限は2022年に設定された。さらに複数回の期限延長を経た2025年9月の監査時点においても、5,340平方メートル超の用地がいまだ収用未了であり、技術インフラおよび再定住住宅は完成していない状態であった。

監査局は、用地収用・補償・立退きの遅延についてはアンドゥオン県人民委員会(UBND huyện An Dương)およびハイフォン市天然資源環境局(Sở Tài nguyên và Môi trường、2025年7月以前の期間)に主たる責任があるとした。一方で、事業主体であるホアンフイ社も、投資登録証明書で約束した事業スケジュールを履行できなかった責任を負うと指摘している。

ホアンフイ社が手掛ける他の2プロジェクト

ホアンフイ社は上記プルクサ・プロジェクト以外にも、ハイフォン市内で2つの社会住宅プロジェクトを展開している。

アンハイ区の社会住宅プロジェクトは、敷地面積30,593平方メートル超に5階建て集合住宅11棟(約900戸)と連棟住宅50戸を配置する計画で、事業期間は2020年から2023年とされている。

ホアンフイ・ニューシティ(Hoàng Huy NewCity)都市区内の20%社会住宅用地プロジェクトは、トゥイグエン(Thuỷ Nguyên)区に位置し、5階建て住棟2棟に149戸を配置する計画で、事業期間は2023年から2026年である。なお、ベトナムでは都市開発プロジェクトにおいて総用地面積の20%を社会住宅用に充当する義務があり、ホアンフイ・ニューシティもこの規定に基づいて社会住宅区画が設けられている。

ハイフォン市で相次ぐ社会住宅の不正審査問題

実はハイフォン市では、今回のホアンフイ社案件以前にも社会住宅をめぐる同様の問題が発覚している。2025年中に同市監査局が実施した調査では、ゴークエン(Ngô Quyền)区の「384レタイントン(384 Lê Thánh Tông)」プロジェクトおよび「総合倉庫ラックヴィエン3(Tổng kho Lạc Viên 3)」プロジェクトでも、購入資格を満たさない者への審査通過が確認されている。

ベトナムの社会住宅制度は、住宅法(Luật Nhà ở)および関連政令により、購入対象者を低所得世帯、工業団地労働者、公務員・軍人の一部などに厳格に限定している。購入希望者は所得証明、住宅非保有証明、納税証明などを提出し、地方当局の審査を経て初めて購入資格を得る仕組みだ。しかし実態としては、所得を低く申告したり、既に住宅を保有しているにもかかわらず未保有と偽ったりして、社会住宅を投機目的で取得するケースが全国的に問題となっている。本来の対象者である低所得世帯が住宅を入手できないという深刻な社会問題につながっているのだ。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の監査結論は、ベトナム株式市場に上場するホアンフイ・グループ(HoSE上場、ティッカー:HHS)への短期的な信用リスクとして意識される可能性がある。社会住宅プロジェクトの大幅遅延は、将来の収益認識の後ろ倒しを意味し、7件の契約解除・返金命令は金額こそ限定的とみられるが、行政による監視強化のシグナルとして市場が反応する可能性は否定できない。さらに21件の「グレーゾーン」書類の精査結果次第では追加的な契約解除が発生するリスクもある。

より広い文脈で見ると、ベトナム政府は2025年以降、社会住宅100万戸計画の推進を加速させている。同時に、不正取得や投機的転売への取り締まりも強化しており、今回のハイフォン市の事例はその一環と位置づけられる。不動産デベロッパーにとっては、社会住宅事業のコンプライアンスコストが上昇する局面にあるといえるだろう。

日本企業の観点では、ハイフォン市は日系製造業の集積地であり、工業団地労働者向けの社会住宅需要は極めて大きい。プルクサ(Pruksa)の名が示す通り、同プロジェクトにはタイの大手デベロッパーであるプルクサ・ホールディングスの技術・ブランドが関与した経緯もあり、外資系企業が社会住宅分野に参入する際の制度リスクを示す事例としても注目に値する。

2026年9月のFTSE新興市場指数への格上げ判定を控え、ベトナムの不動産セクター全体の透明性向上は市場全体の信頼性にも直結する。社会住宅における審査の厳格化は、短期的にはデベロッパーの収益に逆風となるが、中長期的には制度の信頼性を高め、健全な市場発展に寄与するものとして前向きに評価できるだろう。


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出典: 元記事

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