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2026年北米W杯の開幕が刻一刻と迫る中、イングランド代表を率いるトーマス・トゥヘル監督が直面している最大の課題は、単に「最も上手い26人を選ぶ」ことではない。チーム全体のバランス、規律、そして結束力をいかに構築するかという、より複雑な方程式を解かなければならないのである。ベトナムの大手メディア「VnExpress」がこの話題を大きく取り上げたことからもわかるように、サッカー大国ベトナムでもW杯に向けた関心は極めて高い。
トゥヘル監督が直面する選考の構造的課題
トーマス・トゥヘル監督は、2024年にイングランドサッカー協会(FA)と契約を結び、ガレス・サウスゲート前監督の後を継いだドイツ人指揮官である。チェルシー時代にはUEFAチャンピオンズリーグを制した実績を持ち、戦術眼には定評がある。しかし、代表チームの監督としては、クラブとは全く異なるマネジメントが求められる。
イングランドにはプレミアリーグという世界最高峰のリーグがあり、才能あふれる選手が数多く存在する。ジュード・ベリンガム(レアル・マドリード所属)、ブカヨ・サカ(アーセナル所属)、フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ所属)、ハリー・ケイン(バイエルン・ミュンヘン所属)など、各ポジションに世界トップクラスの人材がひしめいている。だが、「最高の個」を集めれば「最高のチーム」になるとは限らないのがサッカーの難しさである。
トゥヘル監督にとっての最大の課題は以下の点に集約される。
- ポジションバランス:攻撃的ミッドフィルダーに人材が集中する一方、守備的ミッドフィルダーやセンターバックの層には不安が残る。特にディクラン・ライス(アーセナル所属)に依存する中盤の構成をどうするかが鍵となる。
- チームの規律と結束:クラブでは異なるチームに所属する選手たちを短期間でまとめ上げなければならない。サウスゲート前監督時代にはEURO2020決勝、2022年W杯準々決勝と「あと一歩」で頂点を逃してきた歴史がある。その悔しさを共有しつつ、新たなチーム文化を作ることが求められる。
- コンディション管理:2026年W杯は米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、移動距離や気候差が例年以上に大きい。48チーム参加という拡大フォーマットにより試合数が増える可能性もあり、スカッドの「深さ」が例年以上に重要になる。
26人枠の争いと戦術的ジレンマ
従来のW杯では23人だった登録枠が26人に拡大されたことで、選考の幅はやや広がった。しかし、それでもトゥヘル監督は厳しい判断を迫られる。たとえば、トレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール所属)を右サイドバックとして選ぶのか、それとも中盤で起用する構想があるのか。マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド所属)のようにクラブで不安定なシーズンを送っている選手をどう扱うか。こうした一つ一つの判断が、チーム全体の化学反応に影響を与える。
トゥヘル監督は戦術的に4-2-3-1や3-4-2-1など複数のシステムを使い分けることで知られており、その柔軟性は強みである反面、選手にとっては自分の役割が流動的になるため、明確な序列を示しにくいという側面もある。
ベトナムにおけるW杯・サッカー熱の高まり
この記事がベトナム最大のニュースサイト「VnExpress」で大きく取り上げられている背景には、ベトナム国民の圧倒的なサッカー熱がある。ベトナムではプレミアリーグの人気が極めて高く、深夜にもかかわらずカフェでリーグ戦を観戦する文化が根付いている。イングランド代表の動向はベトナムの読者にとっても「自分事」に近い関心事なのである。
さらに、ベトナム代表自体も2026年W杯アジア最終予選に進出し、国民の期待を一身に背負った。最終的にW杯出場は叶わなかったものの、東南アジアのサッカー新興国としての存在感を示した。こうした背景もあり、W杯に関する分析記事への需要はベトナム国内で非常に高い。
投資家・ビジネス視点の考察
本記事はサッカーに関するものであり、直接的なベトナム株式市場への影響は限定的である。しかし、いくつかの間接的な視点を提示したい。
スポーツ関連消費の拡大:W杯はベトナム国内の消費を刺激するイベントである。過去のW杯期間中には、ビール・飲料メーカーであるサベコ(SAB)やハベコ(BHN)の売上が一時的に増加する傾向が見られた。2026年大会は北米開催のため時差の関係でベトナムの朝〜昼に試合が行われる可能性があり、消費パターンは過去大会と異なる可能性もあるが、関連銘柄への注目は例年通り高まるだろう。
スポーツベッティング・エンタメ産業:ベトナム政府はスポーツベッティングの合法化を段階的に進めており、W杯はその試金石となりうる。関連する法整備や企業動向にも注目が集まる。
ブランド露出とスポンサーシップ:ベトナム企業の中には、国際的なサッカーイベントを通じてブランド認知を高めようとする動きもある。ビングループ(Vingroup、ベトナム最大手コングロマリット)傘下のVinFast(VFS)がグローバルなスポーツマーケティングに力を入れている例もあり、W杯関連のスポンサーシップ動向は中長期的にベトナム企業のグローバル戦略を占う材料となる。
また、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げが実現すれば、ベトナム市場全体への資金流入が加速する。W杯による国際的な注目度の高まりは、「ベトナム」という国のブランド力を間接的に押し上げる要因となりうる。投資家としては、こうしたソフトパワーの側面も含めて総合的にベトナム市場を評価していきたい。
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出典: 元記事












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