ベトナム・ホーチミン市の百年教会で「塩漬け卵の太陽」を狙う写真家が殺到—観光・文化トレンドの最前線

'Săn' Mặt Trời trứng muối trước nhà thờ trăm tuổi ở TP HCM
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ホーチミン市チョロン地区にある築100年超の歴史的カトリック教会「チャータム教会(Nhà thờ Cha Tam)」の前に、写真家や観光客が連日押し寄せている。目当ては、夕暮れ時に太陽が教会の鐘楼に沈み、頂上の十字架にちょうど重なる瞬間——いわゆる「塩漬け卵の太陽(Mặt Trời trứng muối)」と呼ばれる幻想的な光景である。SNSを中心に爆発的に拡散され、ベトナム国内の観光・フォトカルチャーの新たなトレンドとして注目を集めている。

目次

「塩漬け卵の太陽」とは何か

「Mặt Trời trứng muối」——直訳すると「塩漬け卵の太陽」。これはベトナムのSNSユーザーや写真愛好家の間で定着した表現で、夕日が大気中の塵や湿度の影響でオレンジ色に輝き、まるで咸蛋(塩漬けアヒルの卵)の黄身のように丸く鮮やかに見える現象を指す。ベトナム南部の3〜4月は乾季の終盤にあたり、空気中に適度な水蒸気やPM2.5が漂うことで、太陽が肉眼でも見つめられるほど柔らかく赤みを帯びる日が多い。この時期、建造物のシルエットと組み合わせた「塩漬け卵ショット」を狙うフォトグラファーがホーチミン市内の各所に出没するのが近年の風物詩となっている。

チャータム教会——チョロン地区の歴史的ランドマーク

チャータム教会(正式名称:フランシスコ・ザビエル聖堂、Nhà thờ Thánh Phanxicô Xaviê)は、ホーチミン市5区のチョロン(Chợ Lớn)地区に位置するカトリック教会である。1900年前後にフランス統治下で建設され、すでに築120年以上の歴史を有する。ゴシック様式を基調としつつベトナムの気候風土に合わせた独特の建築様式を持ち、正面に聳える鐘楼と十字架が特徴的なシルエットを形成する。

チョロン地区はかつて「東洋のパリ」とも呼ばれたサイゴン(現ホーチミン市)の中でも、華人(中華系ベトナム人)が多く暮らすエリアとして知られる。ベトナム戦争末期の1963年には、当時の南ベトナム大統領ゴ・ディン・ジエム(Ngô Đình Diệm)がクーデターの際にこの教会に避難したという歴史的逸話も残る。近年は観光地としての再評価が進み、レトロな街並みと合わせて国内外の旅行者に人気のスポットとなっている。

SNS映えが生む「参道渋滞」

今回の「塩漬け卵の太陽」ブームの直接的な発端は、写真家や旅行系インフルエンサーがSNS(Facebook、TikTok、Zaloなど)に投稿した作品が数百万回再生・シェアされたことにある。教会正面に向かって延びる一本道がちょうど西向きになっており、3月下旬のこの時期、太陽がほぼ鐘楼の真後ろに沈む天文条件が整う。この「期間限定」の現象が希少性を高め、連日夕方になると三脚を構えた写真家やスマートフォンを掲げた観光客が道路に溢れ、周辺の交通に支障をきたすほどの賑わいとなっている。

こうした「天文イベント×歴史的建造物」のフォトスポット化は、ベトナムに限った現象ではない。ニューヨークの「マンハッタンヘンジ」やイギリスのストーンヘンジの夏至の日の出など、太陽の位置と建造物が生み出す一瞬の光景が世界的な観光資源になる事例は多い。ベトナムでも、ダナンのドラゴンブリッジやハノイのロンビエン橋での「塩漬け卵ショット」が以前から話題になっており、チャータム教会はその最新の人気スポットと言える。

ベトナムの観光産業トレンドとの関連

ベトナム政府は2025年以降、観光産業を国家経済の柱の一つとして位置づけ、外国人観光客の誘致強化と国内観光の活性化を推進している。ホーチミン市も「歴史・文化資源を活用した都市観光」の振興に力を入れており、チョロン地区一帯の再開発・景観整備プロジェクトが進行中である。今回のようなSNS発の自然発生的な観光ブームは、行政主導の観光プロモーションとは異なるボトムアップ型の観光資源創出として注目に値する。

ベトナム統計総局の発表によれば、2025年のベトナムへの外国人観光客数は過去最高水準に達しており、日本人観光客も回復傾向にある。ホーチミン市は引き続きベトナム最大の観光都市であり、こうした「映えスポット」の出現は、特に若年層のアジア人観光客の誘引に効果的とされる。

投資家・ビジネス視点の考察

本件は直接的な株式市場への材料ではないが、ベトナムの観光・サービス産業の活況を示す象徴的な現象として、いくつかの投資視点を提示できる。

第一に、観光関連銘柄への追い風である。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場するビナキャピタル・ベトナム観光不動産(VTP)、サイゴンツーリスト関連企業、航空大手ベトジェットエア(VJC)やベトナム航空(HVN)などは、国内外の観光需要の拡大を享受する立場にある。SNS発の「バズ」が特定地域への旅行需要を急激に押し上げる現象は、OTA(オンライン旅行代理店)やホテルチェーンの短期的な業績にも影響し得る。

第二に、チョロン地区の不動産・再開発への注目である。ホーチミン市5区・6区一帯は歴史的に商業が盛んなエリアだが、老朽化した建物が多く、再開発ポテンシャルが高い。観光スポットとしての認知度向上は、周辺の商業不動産価値を押し上げる可能性がある。

第三に、FTSE新興市場指数への格上げ(2026年9月決定見込み)との関連である。直接的な繋がりは薄いものの、ベトナムの観光産業の成長はGDP押し上げ要因であり、マクロ経済のファンダメンタルズ改善を通じて、格上げの判断に間接的にプラスに働く。ベトナムが「投資先としての魅力」を高めるうえで、文化・観光資源の豊かさは重要なソフトパワーである。

日本企業にとっては、ベトナムの観光インフラ整備への参入機会(鉄道、空港、ホテル開発など)や、SNSマーケティングを活用した現地での消費財プロモーションのヒントとして参考になるだろう。ベトナムの若年人口はデジタルネイティブであり、SNSトレンドが消費行動・移動パターンを大きく左右する構造は、日本市場以上にダイナミックである。


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出典: 元記事

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