ベトナム株VN-Index急反発+2.69%も外国人は1,000億ドン売り越し—FTSE格上げ審査目前の市場を読む

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ベトナム株式市場のベンチマークであるVN-Indexが前日比43.42ポイント高(+2.69%)の1,658.19ポイントで引け、全面高の様相を呈した。中東情勢の緊張緩和を背景に投資家心理が改善し、不動産大手「Vinグループ系」を筆頭に大型株が軒並み上昇した。一方で、外国人投資家は約束定合ベースで999.8億ドンの売り越しを記録。FTSE(フッツィー)による新興市場への格上げ審査を目前に控える中、内外の資金フローの「ねじれ」が鮮明になっている。

目次

VN-Index、全面高で2.69%の急反発

この日のVN-Indexは、前日の上昇の勢いを引き継いで寄り付きから買いが先行し、取引時間を通じて一貫して上昇。終値は当日の最高値である1,658.19ポイントとなった。市場の値幅(マーケットブレッド)は極めてポジティブで、上昇銘柄が276に対し下落銘柄はわずか60。特定の銘柄だけが指数を押し上げる「局所的な上昇」ではなく、幅広いセクターに資金が流入する「全面的な回復」であった点が特筆される。

背景にあるのは、中東地域の地政学的緊張の緩和である。直近では原油価格の急騰やリスクオフの動きが世界的に広がっていたが、情勢が落ち着きを見せたことで、新興国市場全般にリスクオンの資金が戻りつつある。ベトナム市場もその恩恵を受けた格好である。

「Vinファミリー」が牽引、不動産セクターに資金回帰

この日の上昇を主導したのは、ベトナム最大のコングロマリットであるビングループ(Vingroup)傘下の銘柄群、いわゆる「Vinファミリー」である。VIC(ビングループ本体)が+3.79%、VHM(ビンホームズ、不動産開発)が+5.25%、VPL(ビンパール、ホスピタリティ)が+4.04%、VRE(ビンコム・リテール、商業施設運営)が4%超の上昇をそれぞれ記録した。

Vinファミリーの上昇はVN-Indexへの寄与度が大きいだけでなく、市場心理の改善を象徴する意味合いも持つ。同グループの株価回復に追随する形で、BCM(ベカメックス、ビンズオン省の工業団地大手)、NVL(ノバランド、南部を中心とした不動産デベロッパー)、KDH(カーディンハウス、ホーチミン市近郊の住宅開発)、DXG(ダットサイゴン・グループ)など他の不動産銘柄も軒並み上昇。深い調整局面を経て、大型株・不動産セクターに資金が戻り始めたシグナルとして市場参加者の注目を集めている。

証券・保険・公共投資関連も急伸

資金の流入は不動産だけにとどまらなかった。セクター別に注目すべき動きを整理する。

証券セクター:HCM(ホーチミン市証券、ベトナム老舗の大手証券会社)がストップ高。SSI(サイゴン証券)、VND(VNダイレクト証券)、VCI(ヴィエットキャップ証券)、VIX、VPXなども大幅上昇した。これは、FTSE(フッツィー・ラッセル)による新興市場格上げへの期待が改めて意識された結果である。格上げが実現すれば海外からの資金流入が加速し、証券会社の仲介手数料収入が大幅に増加するとの思惑が背景にある。

保険セクター:BVH(バオヴィエット・ホールディングス、ベトナム最大の保険グループ)がストップ高。ベトナム国内で預金金利がじわりと上昇しており、保険会社の運用利回り改善への期待が買い材料となった。

公共投資・電力関連:VCG(ビナコネックス、建設大手)がストップ高となったほか、PC1(パワー・コンストラクション・ナンバーワン、電力建設大手)も大幅高。ベトナム政府が推進する大型インフラ投資(南北高速道路、都市鉄道、発電所建設など)の恩恵を受ける銘柄群への物色が続いている。

このほか、銀行、石油・ガス、IT、消費、素材、航空など幅広いセクターで資金流入が確認され、市場の回復は「全面的」と言える状況であった。

売買代金は改善も「爆発的」には至らず

市場全体の売買代金は約2兆5,000億ドンと前日比で改善したものの、本格的な上昇相場で見られる3兆ドン超の水準には届かなかった。これは、急反発にもかかわらず一部の投資家がなお慎重な姿勢を崩していないことを示唆している。協議取引(ブロックトレード)の金額は2,297.5億ドンで前日比17.1%減少し、全体の8.9%にとどまった。

なお、個別の協議取引では、HDB(HDバンク)で920万株超・224.7億ドン相当の大口取引が国内個人投資家と国内機関投資家の間で成立。STB(サコムバンク)やMSB(ミリタリー・セキュリティーズ・バンク)でも国内個人間のブロック取引が確認されている。

外国人投資家:約1,000億ドンの売り越し継続

市場全体が大幅高となったにもかかわらず、外国人投資家は引き続き売り越しを続けた。全体では873.7億ドンの売り越し、約定ベース(khớp lệnh=板取引)では999.8億ドンの売り越しである。

外国人の買い越し上位銘柄:MWG(モバイル・ワールド、家電量販大手)、VHM、ACB(アジア商業銀行)、VCI、VPB(VPバンク)、FPT(ベトナム最大手IT企業)、VIB、VRE、VIX、BVH。セクターとしては小売と不動産が買い越しの中心であった。

外国人の売り越し上位銘柄:FUEVFVND(VN30指数連動ETF)、VCB(ベトコムバンク、国有最大手銀行)、STB、BID(BIDV、国有大手銀行)、MSN(マサングループ、消費財コングロマリット)、HPG(ホアファット、鉄鋼最大手)、VIC、VJC(ベトジェット航空)、SHB。金融サービスセクターが売り越しの中心であった。

ETFの売り越しが上位に入っている点は注目に値する。これは海外のパッシブファンドがポジションを圧縮している可能性を示唆するもので、FTSE格上げ審査を前にしたリバランスの一環とも解釈できる。

国内投資家の動向:個人は買い越し、機関は売り越し

個人投資家:465.3億ドンの買い越し(約定ベースでは401.1億ドン)。18業種中8業種で買い越しとなり、銀行セクターが中心。買い越し上位はVCB、STB、HPG、SHB、VND、BSR(ビンソン精油)、BID、MSN、EIB(エクシムバンク)、MBB(ミリタリーバンク)。一方、売り越し上位にはMWG、GEL、BVH、TCB(テクコムバンク)、VIX、FPTなどが並んだ。外国人が買い越したMWGやBVHを個人が売り越すという、内外の「逆回転」が確認された。

自己売買(証券会社の自己勘定取引):817.3億ドンの大幅買い越し(約定ベースでは833.5億ドン)。18業種中11業種で買い越し、金融サービスと銀行が中心。FUEVFVND、VPB、TPB(ティエンフォンバンク)、HAH(ハイアンホールディングス、海運)、MSN、GEL、HPG、OCB、MBB、BSRが買い越し上位。外国人が売り越したFUEVFVNDを自己売買が吸収する構図が鮮明である。

国内機関投資家:279.2億ドンの売り越し(約定ベースでは234.9億ドン)。売り越し上位はVPB、VHM、MBB、VCI、MWG、VND、HCM。買い越し上位はVCB、BID、VJC、GEL、PNJ(フーニュアン・ジュエリー)、PVT(ペトロベトナム・タンカー)、STB、TCB、SSI、GAS(ペトロベトナム・ガス)。電力・ガス・水道セクターへの買い越しが目立った。

資金フローの業種別シフト

資金配分の比率が上昇した業種は、建設・資材、電力・電気設備、食品・飲料、ITであった。一方、比率が低下したのは銀行、不動産、証券、小売、石油・ガス、化学、鉄鋼、運輸。前日までの主役であった銀行や不動産から、建設・電力・ITなどへ資金のローテーションが進んでいることがうかがえる。

投資家・ビジネス視点の考察

1. FTSE格上げ審査との関連性:FTSE Russellは2025年3月のレビューでベトナムを「ウォッチリスト維持」としたが、2026年9月の最終判断に向けてベトナム当局はKYC(本人確認)プロセスの簡素化、プレファンディング(事前資金拠出)要件の緩和、外国人投資家の口座開設手続き改善などを急ピッチで進めている。証券セクターの急騰はこの「格上げ期待」を直接反映しており、格上げが実現した場合、パッシブファンドだけで10〜20億ドル規模の資金流入が見込まれるとの試算もある。

2. 外国人売り越しの構造的要因:外国人の売り越しが続いている背景には、①米金利の高止まりによる新興国からの資金引き揚げ、②中東リスクに伴うリスク回避、③ETFリバランス、④一部ファンドの利益確定──など複合的な要因がある。ただし、MWGやVHM、FPTなど個別銘柄では買い越しに転じている点は、選別投資が進んでいることを示しており、一概にネガティブとは言い切れない。

3. 日本企業・投資家への示唆:ベトナムの公共投資拡大(建設、電力、インフラ)は、同国に進出する日本のゼネコンや設備メーカーにとって追い風となる。また、不動産セクターの回復は、イオンモールやセブン&アイなど商業施設を展開する日本企業の事業環境改善につながる。証券口座を保有する日本の個人投資家にとっては、証券・IT・不動産セクターの中長期的な成長ストーリーと、短期的な外国人売り越しによるボラティリティの両面を意識した投資判断が求められる。

4. 今後の注目点:VN-Indexが1,650ポイント台を回復したことで、次のテクニカル上の節目は1,700ポイントとなる。売買代金が3兆ドンを超える水準に拡大し、外国人の売り越しが縮小に転じれば、本格的なトレンド転換と判断できるだろう。逆に、外国人売りが続く中で出来高が伸び悩む場合は、戻り売り圧力に警戒が必要である。


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出典: 元記事

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