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ベトナム中部高原に位置するザライ省(Gia Lai)が、2026年3月28日夜に「国家観光年2026」(Năm Du lịch quốc gia 2026)の開幕式を盛大に開催する。約2,200人の出演・運営スタッフを動員した大規模メガコンサートを皮切りに、年間を通じて244の観光・文化・スポーツイベントを展開し、省全体の観光・投資ブランドを一気に引き上げる構えである。ベトナム政府が毎年持ち回りで開催する「国家観光年」は、その年のホスト省に全国・海外からの注目を集中させる国家的プロジェクトであり、インフラ投資やサービス産業の底上げに直結する重要な施策である。
開幕式はメガコンサート形式——幅116メートルの巨大ステージ
開幕式の会場は、ザライ省クイニョン坊(phường Quy Nhơn)のグエン・タット・タイン広場(Quảng trường Nguyễn Tất Thành)。ステージは横幅116メートル、奥行き40メートルという特大サイズで設計され、多層構造の演出空間を構成する。公演は大規模な実景演出の形式を採り、現代的なパフォーマンス芸術と伝統文化の素材を融合させ、「大森林から青い海へ」と続く旅路をステージ、音楽、ダンス、視覚効果の言語で再現するものである。
芸術プログラムは4つの章——「起源(Khởi nguyên)」「大森林の霊気(Linh khí đại ngàn)」「タイソンの豪気(Hào khí Tây Sơn)」「大森林が青い海に触れる(Đại ngàn chạm biển xanh)」——から構成される。直線的なストーリーテリングではなく、西原(タイグエン)地方の銅鑼(コンチエン)の音色と現代のリズムが交差する、絶えず動き続ける絵画のような空間演出が特徴だ。タイソン(西山)とは、18世紀にベトナム中部で興ったタイソン朝に由来する歴史的な名称であり、この地域の誇りを象徴するテーマとして採用されている。
芸術パートに続いては、若手人気アーティストのIsaac、Hieuthuhai、Hurrykng、アイン・トゥー、ファム・アイン・ズイ、Tez、Mason Nguyễn、Sơn.K、Lamoon、ブイ・チュオン・リンなどが集結し、人気シリーズ「Vũ trụ Say Hi」のヒット曲を披露する大型音楽フェスティバルへと移行する。出演者・ダンサー・エキストラ・スタッフを合わせ、動員される人員は約2,200人に上る。
開幕週間は7万人の観光客を見込む
ザライ省人民委員会のグエン・ティ・タイン・リック副主席は、3月25日に行われた報道関係者との会見で、開幕期間中に約7万人の観光客を見込んでいることを明らかにした。取材には海外メディア36社、国内メディア130社の代表が参加する予定である。
宿泊対応については、省内のホテル・ホームステイなど宿泊施設を総点検し、フル稼働体制を整備済みである。万が一の「オーバーキャパシティ」に備え、文化会館をコミュニティハウスとして転用し、住民に観光客の受け入れを呼びかけ、省が補助金を支出する方針も示された。また、公共トイレ約60カ所を新設するとともに、レストランやホテル、カフェ、一般家庭にも「Thoải mái như ở nhà(わが家のようにくつろいでください)」の看板を掲げてもらい、観光客がトイレを無料で気兼ねなく利用できる環境を整える。
航空アクセスの拡充——ベトナム航空・バンブーエアウェイズと連携
ザライ省はベトナム全国でも5つしかない「2つの空港を持つ省」の一つであり、プレイク空港(Pleiku)とフーカット空港(Phù Cát)を擁する。省はベトナム航空(Vietnam Airlines)と協議し、クイニョン方面への増便と運賃割引を実現。さらにバンブーエアウェイズ(Bamboo Airways)の利用者にはホテル1泊無料宿泊とゴルフ無料プレーの特典を提供するなど、航空会社との連携による誘客策を打ち出している。加えて、現在建設が進むクイニョン〜プレイク高速道路が完成すれば、海沿いのクイニョンと高原のプレイクが短時間で結ばれ、「一度の旅で海と高原の二つの体験」を楽しめるマルチコネクト型の観光地としてのポジションが確立される。
年間244イベント——投資促進・国際連携も本格化
国家観光年2026は開幕式にとどまらない。3月から12月にかけ、クイニョン坊とプレイク市を中心に244の観光・文化・スポーツイベントが展開される。主要なものを挙げると以下の通りである。
- ザライ投資促進会議2026——約1,000人の代表者が参加予定
- ザライ観光経済発展フォーラム
- 南ラオス4省・カンボジア北東部3省とのMOU締結会議——国境を越えた広域経済圏の構築を狙う
- 薬用植物・天然化合物に関する国際シンポジウム
- ザライ・グルメ精華フェスティバル
- ザライ・コーヒーツアー——西原(タイグエン)農場でのグリーン体験プログラム
- 自転車レース、ピックルボール大会、ビンディン武術大会などスポーツイベント
- 「友好の春の旅」プログラム——各国大使・総領事・国際機関を招き、地方の潜在力を紹介
ザライ省人民委員会は、国家観光年の開催を「プレッシャーであると同時に波及の原動力」と位置づけ、投資を呼び込み、商業・サービスを刺激し、「グリーン・クリーン・安全で、土地固有のアイデンティティを持つ目的地ブランド」を構築する「ドミノ効果」を狙うと明言している。リック副主席は「サービスやインフラはまだ完璧ではないかもしれないが、一人ひとりの住民のもてなしの心と誠実さが最大の付加価値となり、観光客の心に印象を残すだろう」と強調した。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトナムの「国家観光年」は単なる観光イベントではなく、ホスト省のインフラ整備と投資誘致を加速させる国家戦略の一環である。今回のザライ省開催は、以下の観点から注目に値する。
1. 観光・不動産関連銘柄への波及:ザライ省およびビンディン省(クイニョン周辺)では、高速道路や空港増便を背景にリゾート開発・ホテル投資が活発化する可能性がある。ベトナム株式市場では、観光関連のビンパール(Vinpearl)を傘下に持つビングループ(VIC)や、航空銘柄のベトジェット(VJC)、ベトナム航空(HVN)などの動向が注目される。
2. CLMV広域経済圏とMOU:南ラオス4省・カンボジア北東部3省とのMOU締結は、ベトナム中部高原を拠点とするクロスボーダー物流・観光ルートの整備を示唆する。日本企業にとっても、この地域のコーヒー・薬用植物などのサプライチェーンへの参画機会として検討に値する。ザライ省は元来コーヒー(ロブスタ種)やゴム、胡椒の一大産地であり、農業投資の文脈でも注目される。
3. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、海外からの資金流入を大幅に増加させる見通しである。国家観光年を通じてベトナムの地方都市が国際的な認知度を高めることは、観光だけでなく国全体の投資環境イメージの向上にも寄与する。特に、国際シンポジウムや外交団招聘などのソフト外交が、海外投資家のベトナムへの信頼醸成に間接的な効果をもたらすだろう。
4. 日本企業への示唆:ベトナム中部高原はまだ日系企業の進出が限定的なエリアだが、高速道路整備や空港拡充が進むことで物流コストが低下し、農業加工・観光・再生可能エネルギーなどの分野で新たなビジネス機会が開ける可能性がある。244に及ぶイベント群のなかには投資促進会議も含まれており、ザライ省の本気度がうかがえる。
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