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ベトナム中部の古都フエ(Huế)市が、約178ヘクタールの広大な敷地に36ホールのゴルフ場を建設するプロジェクトへの投資家を公募している。総投資額は872億ドン超。世界遺産の街として知られるフエが、スポーツ・リゾート分野での観光開発を本格化させる動きとして注目される。
プロジェクトの全容—36ホール・178ヘクタールの大型ゴルフリゾート
フエ市第2地区投資建設プロジェクト管理委員会が公表した入札公告によると、プロジェクトの所在地はフエ市フォンフー(Phong Phú)街区である。使用面積は約177.74ヘクタールで、以下の2つのゴルフコースが計画されている。
- ゴルフコース1号:面積約132.74ヘクタール、27ホール
- ゴルフコース2号:面積約45ヘクタール、9ホール
建築規模は、フエ市人民委員会が2025年5月19日付の決定第1425号(1425/QĐ-UBND)で承認した「ゴルフ場と付帯サービスを組み合わせたリゾート観光地区の1/2,000縮尺分区建設計画」に基づいて展開される。ゴルフコース本体だけでなく、管理・運営・商業利用に必要な付帯施設も一体的に整備する計画だ。
投資規模と事業スケジュール
総投資額は872億ドン超で、その内訳は以下の通りである。
- 事業実施費用:約834億ドン
- 補償・用地取得費用:37億ドン超
事業期間は、土地の引渡し・賃借または用途変更の承認日から50年間。施工スケジュールとしては、土地引渡し後48カ月以内に完成させることが求められており、着工は引渡しから12カ月以内が見込まれている。
なぜフエなのか—世界遺産都市の観光多角化戦略
フエはかつてのグエン朝(阮朝、1802〜1945年)の首都であり、1993年にはフエの建造物群がベトナム初のユネスコ世界文化遺産に登録された。ダナン国際空港からは車で約2時間、フバイ(Phú Bài)国際空港からは約30分というアクセスの良さを持つ。
近年、ベトナム中部の観光はダナンやホイアンに話題が集中しがちだが、フエ市は2024年末に旧トゥアティエン・フエ省から中央直轄市に昇格したばかりであり、行政的にも新たなステージに入っている。ゴルフリゾートの整備は、文化遺産観光に偏りがちな同市の観光コンテンツを多角化し、富裕層の長期滞在や国際的なスポーツイベント誘致を狙う戦略の一環と見られる。
ベトナム全体で見ても、ゴルフ場開発は急速に進んでおり、現在国内には80カ所以上のゴルフ場が稼働もしくは建設中とされる。韓国・日本・オーストラリアなどからのゴルフツーリズム需要が拡大しており、ベトナム政府もゴルフ場を「スポーツ・観光インフラ」として積極的に位置づけている。特に日本からのゴルファーにとっては、冬場でも温暖な気候でプレーできるベトナム中部は魅力的な選択肢となっている。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のプロジェクトが直接的にベトナム株式市場に与えるインパクトは限定的だが、いくつかの重要な示唆がある。
1. ゴルフ場・リゾート関連銘柄への波及
ベトナムのゴルフ場開発にはFLCグループ(FLC)、BRGグループ(非上場)、ヴィンパール(ヴィングループ傘下)などが実績を持つ。公募入札の結果、どの事業者が落札するかによって関連銘柄への注目度が変わる可能性がある。特にFLCは経営再建中であり、新規案件への参入余力があるかは注視が必要だ。
2. フエの中央直轄市昇格による開発加速
フエは2024年末に中央直轄市へ昇格し、省レベルと同等の行政権限を持つようになった。これにより、土地利用計画の承認や投資誘致の意思決定が迅速化されている。今回のゴルフ場プロジェクトはその象徴的な案件であり、今後もインフラ・観光分野で大型案件が続く可能性がある。不動産デベロッパーや建設会社にとっては新たなフロンティアとなり得る。
3. 日本企業への示唆
日本のゴルフ場運営会社やリゾート開発企業にとって、ベトナム中部は有望な投資先である。日本からの直行便(成田・関空→ダナン)も増便傾向にあり、フエへのアクセスも改善している。50年間という長期の事業権は、日本企業が慣れ親しんだ長期投資スキームと親和性が高い。ただし、用地補償に関するリスクや行政手続きの不透明さは依然として存在するため、現地パートナーとの連携が不可欠である。
4. FTSE新興市場指数格上げとの関連
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、ベトナムへの海外資金流入が加速する。観光・不動産セクターはその恩恵を受けやすい分野であり、フエのような地方都市の大型開発プロジェクトにも間接的な追い風となるだろう。
872億ドン超という投資規模はベトナムのゴルフ場プロジェクトとしては中規模クラスだが、世界遺産都市フエのブランド力と結びつくことで、単なるスポーツ施設以上の価値を生み出せるかが成否の鍵を握る。入札結果と落札企業の顔ぶれに引き続き注目したい。
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