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ベトナム鉄鋼最大手ホアファット・グループ傘下の農業部門を担うホアファット農業開発(Công ty Cổ phần Phát triển Nông nghiệp Hòa Phát、銘柄コード:HPA、ホーチミン証券取引所上場)が、2025年度の残余配当として21%の現金配当を追加支払いする方針を発表した。2025年通期の連結純利益は前年比55%増の1,600億ドンに達しており、高い利益成長と手厚い株主還元の両立が注目を集めている。
取締役会が株主総会への付議内容を決定
HPAは、2026年4月21日14時にハノイ市ハイバーチュン区グエンディンチエウ通り93番地のホアファットビル13階にて開催予定の2026年度定時株主総会(ĐHĐCĐTN 2026)に付議する内容を、取締役会(HĐQT)決議として正式に公表した。
主な付議内容は以下の通りである。
2025年度の配当実績と追加配当計画
HPAは、2025年度の配当として既に2025年第2四半期および第3四半期に現金配当を実施済みであり、その総額は約9,470億ドン、配当率は35.464%に相当する。この原資は未処分の税引後利益から充当されている。
さらに今回、取締役会は2025年度の残余配当として21%の現金配当を株主総会に諮る方針を明らかにした。金額にして約5,985億ドンに相当し、株主総会で承認された日から6カ月以内に実施する予定である。
つまり、2025年度の配当は合計で約56.464%(35.464%+21%)、金額ベースでは約1兆5,455億ドン(9,470億ドン+5,985億ドン)という極めて高水準の株主還元となる計算だ。
2025年度の業績——連結純利益55%増の躍進
監査済み連結財務諸表によると、HPAの2025年度業績は以下の通りである。
- 連結売上高:8,326億ドン
- 連結税引後利益:1,600億ドン(前年比+569億ドン、+55%。2024年実績は1,031億ドン)
利益成長の主因は、販売数量の増加に加え、製品の平均販売単価が前年同期比で上昇したことである。ベトナム国内の農畜産物需要の堅調さと、ホアファットグループが持つ大規模な飼料・畜産のバリューチェーンが寄与したものとみられる。
一方、親会社単体の税引後利益は1,980億ドンで、前年比+936億ドン(+90%)の大幅増益となった。こちらは子会社からの利益還流が939億ドン増加したことが主因である。
2026年度の経営計画——保守的な目標設定
HPAは2026年度の事業計画として、以下の数値目標を掲げている。
- 売上高目標:7,200億ドン(2025年実績比▲18%)
- 税引後利益目標:1,005億ドン(同▲37%)
- 配当予定率:30%
2025年度の好業績に対し、2026年度計画は売上高で約18%減、利益で約37%減とかなり保守的な設定である。農畜産業は天候・飼料価格・疫病リスクなど不確実性が高く、慎重な計画策定は珍しくないが、市場がこの保守的目標をどう評価するかは今後の注目点である。
HOSE上場からまだ間もない新顔銘柄
HPAは2026年2月6日にホーチミン証券取引所(HOSE)に新規上場したばかりの銘柄であり、上場初値は41,900ドン/株であった。ホアファット・グループ(HPG)は鉄鋼事業で広く知られるベトナム最大級の民間コングロマリットだが、近年は農業・畜産分野にも積極的に事業を拡大しており、HPAはその農業部門の中核会社として位置づけられている。
ホアファット・グループの農業事業は、飼料製造から養豚・養鶏、食肉加工、鶏卵生産まで垂直統合型のバリューチェーンを構築しており、ベトナム国内の食料安全保障やタンパク質消費の増大トレンドを背景に成長を続けてきた。HPAのHOSE上場は、こうした農業部門の企業価値を独立して資本市場で評価させる狙いがあるとみられる。
投資家・ビジネス視点の考察
1. 高配当利回りの魅力
2025年度の合計配当率が56%超という水準は、ベトナム上場企業の中でもトップクラスである。上場初値41,900ドンを基準にすると、2025年度だけで極めて高い配当利回りが見込まれることになり、インカム志向の投資家にとって大きな魅力となる。ただし、2026年度計画が保守的であることから、今後も同水準の配当が持続するかどうかは慎重に見極める必要がある。
2. 親会社ホアファット・グループ(HPG)との関係
HPGはベトナム株式市場の時価総額上位銘柄であり、外国人投資家の保有比率も高い。HPAの好業績・高配当はHPGのグループ全体の評価にもプラスに働く可能性がある。グループ間取引の透明性や、今後の農業部門への追加投資計画にも注目すべきである。
3. FTSE新興市場指数格上げとの関連性
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げは、ベトナム株式市場全体への資金流入を促すと期待されている。HPAのようなHOSE新規上場銘柄は、格上げに伴うインデックス組み入れの恩恵を直接的に受ける可能性は現時点では限定的だが、市場全体の流動性向上や外国人投資家の関心拡大といった間接的な追い風は十分に期待できる。
4. ベトナム農業セクターの成長性
ベトナムの人口は約1億人を超え、都市化と所得向上に伴いタンパク質消費量は着実に増加している。加えて、食品安全に対する消費者意識の高まりから、大手企業が運営する近代的な畜産・加工施設への需要は構造的に拡大基調にある。日本企業にとっても、ベトナムの農業・食品分野はサプライチェーン構築やJV(合弁事業)の観点から引き続き注目すべき領域である。
5. 2026年度計画の保守性をどう読むか
売上・利益ともに前年実績を大幅に下回る計画は、経営陣が飼料原料価格の高止まりや豚肉市況の変動リスクを織り込んでいる可能性がある。一方で、ホアファットは過去にも保守的な計画を大きく上回る実績を出す傾向があり、「期初計画=下限値」と捉える市場参加者も少なくない。四半期ごとの業績進捗を注視したい。
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出典: 元記事












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