ベトナム農林水産物輸出、2026年第1四半期は167億ドル突破―青果・水産が躍進、コーヒー・コメは価格下落で苦戦

Xuất khẩu nông lâm thủy sản quý I/2026 đạt gần 16,7 tỷ USD
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
ハノイ在住13年の現地投資家による、より深い企業分析・投資戦略は👉 メンバーシップで公開中

2026年4月1日、ベトナム農業環境省(旧・農業農村開発省から改組)が定例記者会見を開催し、2026年第1四半期の農林水産物輸出実績を発表した。総額は166.9億ドルと前年同期比5.9%の増加を記録したものの、品目間の「明暗」が鮮明に分かれる結果となった。青果物や水産物、畜産品が力強い伸びを見せる一方、ベトナムの主力輸出品であるコーヒー、コメ、天然ゴムは国際価格の下落圧力に直面しており、輸出量を増やしても金額ベースでは減少するという構造的な課題が浮き彫りとなっている。

目次

3月単月は前月比47.8%増の60.2億ドル、回復の兆し

農業環境省の発表によると、2026年3月単月の農林水産物輸出額は推定60.2億ドルに達し、前月比で47.8%もの大幅増を記録した。これはベトナム特有の季節要因、すなわちテト(旧正月)明けの生産・出荷サイクルの正常化を反映したものである。ただし前年同月(2025年3月)との比較では1.5%の微減であり、国際市場の逆風が依然として続いていることを示している。

累計では2026年1〜3月の総輸出額が166.9億ドルで、前年同期比5.9%増となった。この伸び率自体は堅調だが、品目ごとの内訳を見ると大きな格差が存在する。

品目別:青果物が32.1%増と絶好調、畜産品は54.3%増の急成長

品目グループ別に見ると、農産物は引き続き主力で輸出額89.3億ドル(前年同期比4.1%増)を記録した。その中でも特筆すべきは以下の品目である。

青果物(野菜・果物)は第1四半期のハイライトであり、輸出額15.4億ドル、前年同期比32.1%増という目覚ましい成長を遂げた。市場別では、中国が全体の54%を占める最大の輸出先であり、同国向けの輸出額は76.2%という驚異的な伸びを示した。これはベトナム産ドリアンやマンゴーなどの熱帯果物に対する中国の旺盛な需要を反映している。米国向けも21.4%増、韓国向けも4.1%増と好調だった。なお、カンボジア向けは3.7倍と急増した一方、タイ向けは28.1%減と明暗が分かれた。

畜産品は輸出額1.977億ドルと規模はまだ小さいものの、前年同期比54.3%増と最も高い伸び率を記録した。これはベトナムの畜産業が国際競争力を着実に高め、輸出市場を拡大しつつあることを示す好材料である。

コショウ(胡椒)も好調で、輸出量6.46万トン、輸出額4.175億ドルと、それぞれ36.8%増、28.8%増を達成した。ただし平均輸出単価は5.9%下落しており、量で稼ぐ構図が続いている。ベトナムは世界最大のコショウ輸出国であり、この動向は国際スパイス市場にも影響を与える。

水産物は13.3%増の26.2億ドル、中国向けが58.5%急伸

水産物セクターは堅調な成長を維持し、第1四半期の輸出額は26.2億ドル(前年同期比13.3%増)となった。3月単月でも推定9億ドルを記録している。

市場別では、中国が最大の輸出先で全体の28.5%を占め、前年同期比58.5%という大幅な伸びを示した。日本は13.6%のシェアで4.8%増、米国は12.2%のシェアだが2.9%減となった。中国市場の急成長は、同国における水産物消費の拡大に加え、ベトナム産エビやパンガシウス(バサ魚)への需要増が背景にあるとみられる。

コーヒー・コメ・天然ゴム:量は増えても金額は減少

一方、ベトナムの伝統的な主力輸出品であるコーヒー、コメ、天然ゴムの3品目は、いずれも「輸出量は増加したが、価格下落により金額ベースでは減少」という共通の課題に直面した。

コーヒーは第1四半期の輸出量57.73万トン(前年同期比12.6%増)に対し、輸出額は27.1億ドル(同6.4%減)にとどまった。平均輸出単価が16.9%も下落し、1トン当たり4,696.8ドルとなったことが主因である。ベトナムは世界第2位のコーヒー輸出国(ロブスタ種では世界首位)であり、国際コーヒー相場の軟化が直撃した格好だ。市場別ではドイツ、イタリア、スペインが3大輸出先だが、イタリア向けは11.5%減少した。一方で中国向けは倍増しており、中国におけるコーヒー消費文化の急速な浸透を裏付けている。

コメは輸出量230万トン(前年同期比0.2%増)、輸出額11.1億ドル(同7.8%減)で、平均単価は8%下落の1トン当たり480.1ドルとなった。フィリピンが依然として最大の輸出先で総輸出量の半分以上を占める。中国向けは2.5倍に急増した一方、ガーナ向けは大幅に減少した。国際米価は2024年後半の高値圏から調整局面に入っており、インドの輸出規制緩和なども影響しているとみられる。

天然ゴムは輸出量41.12万トン(前年同期比8%増)、輸出額7.518億ドル(同2.4%増)で、平均単価は5.1%下落し1トン当たり1,828.3ドルとなった。最大の輸出先である中国(シェア70%)向けが8.5%減少したのに対し、インドネシアやインド向けは大幅に増加しており、市場の多角化が進みつつある。

カシューナッツは輸出量12.09万トン、輸出額8.235億ドルと、量・金額ともにわずかに減少した。平均単価も0.8%下落しており、市場は安定的だが成長力には欠ける状況である。

林産物(木材・木製品)は3.5%減、米国市場の低迷が痛手

林産物セクター全体では輸出額41.1億ドル(前年同期比2.4%減)、うち木材・木製品は38.1億ドル(同3.5%減)となった。最大の輸出先である米国(シェア48.8%)向けが3.1%減少したことが大きい。米国の住宅市場の減速や金利環境が家具需要に影響を及ぼしているとみられる。一方、中国向けは48.5%増、日本向けは7.9%増と好調で、オランダ向けは2.5倍に急増した。韓国向けは20.3%減と大きく落ち込んだ。

市場構造:アジアが45.1%を占め15.3%増、米州は3.4%減

地域別の輸出構造を見ると、アジアが全体の45.1%を占める最大市場で、前年同期比15.3%増と力強い成長を示した。地理的近接性と中国を中心とした旺盛な需要がベトナムの追い風となっている。

米州は20.7%のシェアだが3.4%減、欧州は16.2%で4.8%増となった。規模の小さいアフリカは29%の大幅減、オセアニアは20.1%増と対照的な動きを見せた。

国別では中国がシェア22.1%・前年同期比37.6%増でトップ、米国が18.3%・5.2%減で2位、日本が7.1%・0.7%増で3位という構図である。中国依存度の高まりは好材料である反面、地政学的リスクの観点からは注視が必要だ。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の統計は、ベトナム農林水産物セクターにおけるいくつかの重要なトレンドを浮き彫りにしている。

1. 水産・青果関連銘柄への追い風:ホーチミン証券取引所(HOSE)上場のヴィンホアン(VHC、パンガシウス加工大手)やミンフー(MPC、エビ加工大手)など水産セクターの銘柄は、13.3%増という業界全体の成長が業績にプラスに寄与する可能性がある。特に中国向け58.5%増という数字は、これら企業の中国市場戦略の成否を見極める上で重要な指標となる。

2. コーヒー関連銘柄は慎重姿勢:コーヒー価格の16.9%下落は、ダクラク省を拠点とするコーヒー加工企業や、関連する物流・倉庫企業の利益率を圧迫する要因となる。ただし輸出量自体は12.6%増加しており、価格反転時には大きなリバウンドが期待できる。

3. 木材セクターの米国リスク:木材・木製品の最大市場である米国向けの減少は、ベトナムの家具輸出企業にとって警戒材料である。米国の関税政策や住宅市場の動向には引き続き注意が必要だ。一方、中国向けの48.5%増は新たな成長の軸となる可能性がある。

4. 2026年9月のFTSE新興市場指数格上げとの関連:農林水産物輸出の堅調さはベトナム経済のファンダメンタルズの強さを裏付けるものであり、FTSE格上げ判断にとってもプラスの材料となる。農業セクターはGDPの約12%を占め、雇用の約30%を支えるベトナム経済の基盤であり、その安定的な成長は海外投資家の信頼感を高める要因となる。

5. 日本企業への示唆:日本はベトナムの農林水産物輸出先として第3位の地位にあり、特に水産物と木材分野で重要な市場である。日本企業にとっては、ベトナムからの水産物調達コストの安定性や、木材・家具の仕入先としてのベトナムの競争力を再評価する好機といえる。また、ベトナムの青果物輸出の急成長は、コールドチェーン(低温物流)や食品加工分野における日本企業の技術・投資機会を示唆している。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

📊 ベトナム経済研究会メンバーシップ
ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
✅ 個別銘柄の詳細分析 ✅ FTSE格上げ関連速報 ✅ 現地だからわかるリアルタイム情報
👉 月額980円でメンバーシップに参加する

出典: 元記事

noteメンバーシップのご案内

ベトテク太郎noteメンバーシップ
Xuất khẩu nông lâm thủy sản quý I/2026 đạt gần 16,7 tỷ USD

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次