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2026年4月1日、ベトナム株式市場ではデリバティブ(先物)市場のベーシス(現物指数との乖離)が約14ポイントまで異常に拡大する展開となった。世界的な紛争緩和期待を背景にグローバル株式市場が急騰する中、ベトナム市場も「最悪期は過ぎた」との見方が強まりつつある。
世界市場急騰の背景——米国の紛争離脱観測
前夜のグローバル市場は、米国が2〜3週間以内に紛争から撤退するとの報道を受け、大幅上昇した。原油価格(ブレント原油)は依然として100USD/バレル前後で推移しているものの、紛争初期に120USD/バレル近くまで急騰した局面と比較すれば落ち着きを取り戻している。3月中旬以降、110USD/バレルを超えることはなくなっていた。もっとも、採掘・精製インフラや輸送ルートの復旧には時間を要するため、原油高止まりは当面続く見通しである。
市場関係者の間では、翌日早朝に予定されるトランプ大統領の演説内容が注目されており、市場にとってポジティブな内容であれば、回復基調がさらに鮮明になるとの期待が広がっている。
VNIndex・VN30指数の回復状況
VNIndex(ベトナム株式市場の主要指数)は、紛争勃発後の最初の回復局面と同等の抵抗帯まで戻してきた。具体的には、3月23日の底値からの回復の質が、3月9日の底値からの回復を上回っている。両局面ともに7営業日の反発であったが、VNAllshare(ベトナム全株式指数)構成銘柄のうち3%以上上昇した銘柄の割合は、今回が40.3%であったのに対し、前回はわずか22%にとどまった。紛争緩和の見通しがより明確になっている現在の方が、回復の裾野が広いことを示している。
デリバティブ市場で異常なベーシス拡大
この日のデリバティブ市場では、先物(F1=期近限月)が朝方からプラスのベーシスを示し、VN30指数が9時22分に高値をつけた後じりじり下落したにもかかわらず、先物はほとんど調整せずベーシスを拡大し続けた。引けでは約14ポイントもの乖離に達した。
VN30は1861.84ポイントで引けた。翌営業日の上値抵抗線は1865、1874、1884、1892、1906、1922、1932。下値支持線は1858、1847、1835、1815、1802と見られている。
通常、VNIndexやVN30が技術的な抵抗帯に位置する局面でこれほどのベーシス拡大が起きるのは異例であり、先物市場が「ポジティブな材料の発表」を先取りしている可能性が指摘されている。
売買代金の低迷と底入れシグナル
足元の売買代金は依然として低水準にある。紛争の明確な終結アクションがない限り、急回復は難しいとの見方が主流である。ただし、薄商いは必ずしもネガティブではない。保有者に強い売り圧力がかかっていないことの裏返しでもあり、底値圏では売り需要の枯渇こそが相場転換のサインとなる。出来高が極端に大きいケースも極端に小さいケースも、いずれも底入れ過程における「期待の移行」の表れである。
市場の関心は紛争から業績・格上げへ
証券セクターの株価がここ数日堅調に推移していることが象徴的だ。市場参加者の関心は、紛争リスクから徐々に2026年第1四半期の企業業績や、数日後に控えるFTSE(フッツィー)の市場格上げ審査に移りつつある。年次株主総会シーズンの到来とともに、経営陣による2026年の業績見通しが開示されることも、投資家心理を下支えしている。市場は「次に何が起きるか」を常に先取りするものであり、紛争という既知のリスクへの感応度は着実に低下している。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の局面は、ベトナム株式市場にとっていくつかの重要な示唆を含んでいる。
1. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げ審査が数日後に控えており、ポジティブな進展があれば、外国人投資家の資金流入期待が一気に高まる。デリバティブ市場のベーシス拡大は、こうした材料を先取りしている可能性がある。
2. ベトナム進出日本企業への影響:原油価格の高止まりは輸送コストや製造コストに直結するものの、紛争が早期に収束すれば、マクロ経済への悪影響(インフレ加速や成長鈍化)は限定的にとどまる。ベトナムに生産拠点を持つ日本企業にとっては、コスト上昇の一過性が確認されれば安心材料となる。
3. 関連銘柄への影響:証券セクター(SSI、VND、HCMなど)は売買代金の回復期待で先行して物色されやすい。また、原油関連ではPVD(ペトロベトナム・ドリリング)やPVS(ペトロベトナム・テクニカルサービス)が原油高の恩恵を受ける一方、航空セクター(VJC=ベトジェットエア)にはコスト圧力が残る。
4. 戦略面:ベーシスが14ポイントも拡大した状態でのデリバティブ新規買いはリスクが高い。現物市場で押し目を拾い、先物市場ではベーシス縮小を待つのが合理的な戦略と考えられる。VN30の1835〜1847ポイント付近は強い支持帯であり、下値リスクは限定的との見方ができる。
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