ベトナム「Kera」キャンディ偽装製造事件、Asia社の8名を起訴へ—有名人も有罪判決

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ベトナム公安省捜査機関は、健康食品グミ「Kera(ケラ)」を製造していたAsia Life株式会社(以下、Asia社)による食品偽装事件の捜査を完了し、同社関係者8名の起訴を求めた。本件はミス・グランド・インターナショナル2021のグエン・トゥック・トゥイ・ティエン氏や人気インフルエンサーのファム・クアン・リン氏といった著名人が関与していたことで、ベトナム国内で大きな社会的関心を集めた事件である。食品の安全性と消費者保護に関わる重大な問題として、ベトナムの食品業界全体に波紋を広げている。

目次

事件の全容:成分を大幅に偽装した「野菜グミ」

捜査結論によると、Asia社はグエン・フォン会長およびグエン・ファム・ホン・ヴィ社長の指示のもと、契約先4社(チ・エム・ロット・グループ株式会社、チャウ・ニエン・ファーム有限会社、ウィンシティ投資商業サービス有限会社、ヌトリ・ミエンナム商業有限会社)から受託した食品を製造する過程で、公表済みの配合表とは異なる低品質の原材料を使用していた。実際に使用された原材料の含有量は、公表値の70%未満にとどまっていたという。

特に注目すべきは「Kera」グミ(正式名称:Supergreens Gummies)の実態である。製品名は「野菜キャンディ」を標榜していたが、実際の製造レシピは29成分で構成され、10種類の野菜・根菜パウダーの含有量はわずか0.747%に過ぎなかった。にもかかわらず、フォン会長とヴィ社長は公表資料の作成担当者に対し、成分数を22に絞り込んだうえで野菜成分の含有率を28%に水増しするよう指示していた。実際の主成分はソルビトールシロップ70%、砂糖(サッカロース)、ゼラチン、ペクチン、RO水、そしてゲル化剤・調味料・着色料・乳化剤・安定剤といった各種添加物であった。

さらに、同社は偽装を隠蔽するため、製造指示書兼原材料出庫伝票、工程管理票、出荷指示書などの生産記録を組織的に捏造し、行政機関の検査に対応できる体制を整えていた。

起訴対象の8名と罪状

「食品である偽造品の製造」の罪で起訴を求められたのは以下の7名である。

  • グエン・フォン(Asia社会長)
  • グエン・ファム・ホン・ヴィ(Asia社社長)
  • トゥー・キエン・チュン(Asia社工場長)
  • ファム・ティ・ジエム・チン(Asia社 研究開発担当)
  • チュオン・ティ・レー(Asia社 品質管理部長)
  • チャン・ティ・レー・トゥー(Asia社 製造部長)
  • レー・ティ・トゥー・ヒエン(Asia社 経理部計画担当)

これに加え、ヴィ社長は脱税罪でも起訴を求められている。また、8人目の被疑者としてグエン・ティ・ホン・フオン(Asia社経理部長)が脱税罪で起訴を求められた。

偽装の規模と脱税の実態

捜査機関が認定した偽造食品の総額は66億ドンに上り、4製品から得た不正利益は33億ドンに達する。

脱税に関しては、ヴィ社長がフオン経理部長に指示し、売上金16億ドンを個人口座で受領させ、請求書を発行せず売上として申告しなかった。この行為による国家への損害額は33億ドン超とされている。なお、被疑者らはすでに51億ドン超を弁済している。

著名人への有罪判決はすでに確定

本件に関連して、Keraグミの販売元であるチ・エム・ロット・グループ株式会社については、「顧客欺瞞」の罪で別途起訴・裁判が行われ、すでに判決が確定している。同社のグエン・トゥアン・リン社長には3年3カ月の実刑、株主のレー・タイン・コンには3年の実刑が科された。さらに、グエン・ティ・タイ・ハン、ミス・グランドのグエン・トゥック・トゥイ・ティエン、人気YouTuberのファム・クアン・リン(チャンネル登録者数数百万人を誇るベトナムを代表するインフルエンサー)の3名にはそれぞれ2年の実刑判決が下されている。

ティエン氏はベトナム代表としてミス・グランド・インターナショナル2021で優勝した国民的スターであり、リン氏はアフリカでの慈善活動などで知られる超人気YouTuberである。両名がKera製品のプロモーションに関与していたことから、事件発覚当初からベトナム社会に大きな衝撃を与えていた。

投資家・ビジネス視点の考察

本件は上場企業が直接関与した事件ではないが、ベトナムの食品業界および消費財セクター全体に対して複数の示唆を与えている。

1. 食品安全規制の強化トレンド:ベトナム政府は近年、食品安全に関する取り締まりを強化しており、本件はその象徴的な事例である。上場食品企業(マサングループ=MSN、ビナミルク=VNMなど)にとっては、品質管理体制の透明性がより一層重視される環境となる。逆に言えば、コンプライアンス体制が整った大手企業にとっては競争優位が強まる可能性がある。

2. インフルエンサーマーケティングのリスク:著名人が実刑判決を受けたことで、ベトナムにおけるインフルエンサーを活用した食品・健康食品マーケティングは今後より慎重な対応が求められる。日系企業がベトナム市場でKOL(キーオピニオンリーダー)を起用する際にも、製品の品質管理と広告表示の適正性について法的リスクを十分に精査する必要がある。

3. FTSE新興市場指数格上げとの関連:2025年9月にもFTSE新興市場指数へのベトナム格上げが正式決定される見込みだが、格上げの条件の一つに市場の透明性・ガバナンス向上がある。食品偽装のような企業不正に対して当局が厳正に対処する姿勢は、海外投資家から見たベトナム市場全体の信頼性向上につながり、格上げに向けたポジティブなシグナルとも解釈できる。

4. 日本企業への教訓:ベトナムで食品関連事業を展開する日本企業(味の素、エースコック、日清食品など)にとっては、委託製造先(OEM先)の品質管理体制を改めて点検する契機となるだろう。Asia社のように受託製造企業が組織的に成分偽装を行っていたケースは、サプライチェーン管理の盲点を浮き彫りにしている。


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出典: 元記事

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