ベトナム金市場が急落、SJC金地金の売買スプレッドが1年ぶり最大の350万ドンに拡大

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2025年4月2日、ベトナム国内の金市場が大荒れとなった。SJC金地金の買取価格と販売価格の差(スプレッド)が1トロイオンス(1ルオン=約37.5グラム)あたり350万ドンに達し、過去1年間で最大を記録。買取価格が販売価格以上に大幅下落したことで、リスクは買い手側に大きく偏る構図が鮮明となった。

目次

4月2日の金価格:1日で5回の乱高下

4月2日のSJC金地金価格は、各販売業者において5回にわたり上下を繰り返す激しい値動きとなった。最大の下落幅は買取・販売ともに1ルオンあたり300万ドンを超えた。

16時時点で、SJC社(ベトナム最大の国営金取引会社)の金地金価格は買取1億7,000万ドン、販売1億7,350万ドン/ルオンとなった。DOJI(ドジ、大手宝飾・金取引企業)、PNJ(フーニュアンジュエリー、ホーチミン証券取引所上場の大手宝飾企業)、バオティン・マインハイ、フークイといった主要ブランドもほぼ同水準で価格を提示した。

前日(4月1日)の終値と比較すると、SJC金地金は買取が370万ドン/ルオン安、販売が320万ドン/ルオン安と、買取側の下落幅がより大きい。この非対称な下落こそが、スプレッド拡大の直接的な要因である。

業者別の価格動向

バオティン・ミンチャウは買取1億6,980万ドン、販売1億7,350万ドン/ルオンを提示。南部地域では、ミーホン(ホーチミン市の老舗金取引店)が買取で350万ドン、販売で340万ドンそれぞれ下落し、1億7,100万~1億7,330万ドン/ルオンで取引された。ミーホンのスプレッドは230万ドンと、市場全体で最も小さかった。

一方、ゴックタム(南部の金取引業者)は買取が400万ドン安、販売が350万ドン安と市場最大の下落幅を記録。16時時点の価格は1億6,950万~1億7,300万ドン/ルオンと、全市場で最安値となった。

金リング(ヴァンニャン)も軒並み急落

金地金に連動し、純度99.99%の金リング(「4つの9」と呼ばれるベトナム独自の投資用金製品)も各社で200万~420万ドン/ルオンの大幅下落となった。

SJC社の金リングは午前中に買取120万ドン安、販売70万ドン安の1億7,250万~1億7,600万ドン/ルオンとなった後、午後にはさらに両方向で250万ドン下落し、1億7,000万~1億7,350万ドン/ルオンまで値を下げた。

DOJI、PNJも同水準で推移。PNJは前日比で買取380万ドン安、販売330万ドン安の1億6,990万~1億7,340万ドン/ルオンとなった。フークイは1億6,980万~1億7,300万ドン/ルオンで、前日比で買取370万ドン安、販売350万ドン安であった。

バオティン・ミンチャウとバオティン・マインハイは420万ドンの下落と最大の下げ幅を記録し、買取1億6,880万ドン、販売1億7,180万ドン/ルオンを提示した。

注目すべきは、南部のゴックタムが金リングを1億5,750万~1億6,150万ドン/ルオンと、北部の主要業者より1,000万~1,200万ドンも低い価格で提示している点である。調整幅は前日比200万ドンと比較的小幅だったが、そもそもの価格水準が北部と大きく乖離しており、ベトナム金市場における南北格差という構造的な問題が改めて浮き彫りとなった。

国際金価格との乖離も縮小傾向

4月2日16時30分時点で、国際金スポット価格は3.4%超の急落を記録し、4,628.6ドル/オンスまで下落した。ベトコムバンク(ベトナム最大の国営商業銀行)の為替レート(税・手数料込み)で換算した場合、SJC金地金と国際金価格の乖離は約2,489万ドン/ルオンとなった。この乖離幅は、3月20日に記録した3,210万ドン/ルオンのピークから720万ドン以上(28.97%)縮小している。金リングについては、ブランドにより1,289万~2,489万ドン/ルオンの乖離が見られた。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の急落とスプレッド拡大は、ベトナム金市場が抱える複数のリスクを投資家に突きつけている。

第一に、流動性リスクの顕在化である。スプレッドが350万ドン/ルオンということは、金を買った瞬間に約2%の含み損を抱えることを意味する。金リングに至っては300万~400万ドンのスプレッドがあり、短期売買には極めて不向きな状況だ。買い手にとってリスクが一方的に偏る構造であり、個人投資家は慎重な判断が求められる。

第二に、国際金価格との連動性が高まりつつある点に注目すべきである。ベトナム政府は金市場の透明化・国際化を段階的に進めており、SJC金地金と国際価格の乖離が3月のピークから約29%縮小したことは、その政策効果の一端と言える。2026年9月に見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向け、金融市場全体の透明性向上が求められる中、金市場の正常化もその文脈で捉えることができる。

第三に、ベトナム株式市場への間接的影響である。金価格の急落は、金への投資資金が株式市場に還流する可能性を示唆する。特にPNJ(銘柄コード:PNJ)は宝飾・金取引の大手上場企業であり、金価格の乱高下は直接的に業績に影響する。短期的には在庫評価損のリスクがあるものの、スプレッド拡大局面では販売マージンの改善も見込まれるため、決算内容を注視する必要がある。

第四に、日本企業・在越日本人への影響である。ベトナムでは金が依然として重要な資産保全手段であり、不動産取引の一部で金建て決済が残る地域もある。ベトナムに進出している日本企業にとっては、従業員への賞与や福利厚生の一環として金を支給する慣行がある業界もあるため、金価格の急変動はコスト管理上の留意点となる。

ベトナム国内金市場は依然として独自のプレミアムと南北格差を抱えているが、国際価格との連動性強化という大きなトレンドの中にある。投資家はスプレッドの動向を流動性の指標として注視し、金への投資タイミングを慎重に見極めるべきである。


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出典: 元記事

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