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2026年4月第1週、ベトナム国内の金価格が急落し、わずか1週間で金を購入した消費者が1ルオン(約37.5グラム)あたり最大800万ドンもの含み損を抱える事態となった。SJC金塊・指輪金ともに大幅な下落が続いており、国際金価格の急落が国内市場を直撃した格好である。
SJC金塊価格が一斉に急落
4月6日の朝、各主要金取扱業者はSJC金塊の買取・販売価格を一斉に大幅引き下げた。下落幅は買取・販売の両方向で90万〜140万ドン/ルオンに達した。
午前10時時点で、SJC社は金塊の買取価格を1億7,010万ドン/ルオン、販売価格を1億7,310万ドン/ルオンに設定。前週末(4月4日)の終値と比較して、買取・販売ともに140万ドン/ルオンの下落となった。
同じ価格帯はDOJI、PNJ、バオティンミンチャウ(Bảo Tín Minh Châu)、バオティンマインハイ(Bảo Tín Mạnh Hải)、フークイ(Phú Quý)、ゴックタム(Ngọc Thẩm)でも共通して提示された。ただしゴックタムでは買取・販売ともに90万ドン/ルオンの下落にとどまった。
一方、南部地域に拠点を置くミーホン(Mi Hồng)では、朝の開場からわずか2時間で2段階の急落が発生。午前10時時点でSJC金塊の取引価格は1億7,070万〜1億7,270万ドン/ルオンとなり、前週末比で180万ドン/ルオンの下落と、他業者の約2倍の下げ幅を記録した。
注目すべきは、売買スプレッド(買取価格と販売価格の差)が全体的に縮小した点である。SJC金塊のスプレッドは各社で300万ドン/ルオンに収束し、前週末比で50万ドン/ルオン縮小。ミーホンではスプレッドが市場最小の200万ドン/ルオンまで縮まった。
指輪金「4ナイン」も大幅下落
純度99.99%を意味する「4ナイン」(4 số 9)の指輪金も同様の下落トレンドに入った。前週末は横ばいで推移していたが、6日朝には各社で90万〜250万ドン/ルオンの値下げが行われた。
SJC社は指輪金を1億6,990万〜1億7,290万ドン/ルオンで提示し、前週末比140万ドン/ルオンの下落。バオティンミンチャウとバオティンマインハイは1億6,810万〜1億7,110万ドン/ルオンで、同じく140万ドン/ルオン下落した。
フークイは1億6,990万〜1億7,290万ドン/ルオンで、買取・販売ともに110万ドン/ルオンの下落。DOJI(ベトナム大手宝飾・金取扱企業)は1億7,010万〜1億7,310万ドン/ルオンを提示し、買取が90万ドン、販売が140万ドンの下落となった。DOJIは指輪金の価格がSJC金塊と同水準という市場唯一のケースであり、かつ指輪金の最高値を提示した業者でもあった。
PNJは1億6,900万〜1億7,200万ドン/ルオンで、買取が40万ドン、販売が90万ドンの下落。売買スプレッドはDOJI・PNJともに300万ドン/ルオンに縮小した。
最も大きな下げ幅を見せたのがゴックタムで、前週末から250万ドン/ルオンの急落となり、1億5,600万〜1億6,000万ドン/ルオンという市場最安値を提示した。
1週間で最大800万ドンの損失
4月1日〜6日のわずか1週間で、SJC金塊の購入者は650万ドン/ルオン以上の含み損を抱えることになった。より深刻なのは指輪金で、「4ナイン」の購入者は660万〜750万ドン/ルオンの損失を被った。特にバオティンミンチャウとバオティンマインハイで購入した場合、損失額は800万ドン/ルオンに達した。
具体的に見ると、4月6日朝時点のSJC金塊買取価格は1億7,010万ドン/ルオンであるのに対し、週初めの販売価格は1億7,670万ドン/ルオンであったため、差額は660万ドン/ルオンに上る。
国際金価格の急落が背景
この国内金価格の急落の背景には、国際市場での金価格下落がある。4月6日午前10時時点で、金のスポット価格は1.4%以上下落し、1オンスあたり4,628ドルまで後退した。
ベトコムバンク(Vietcombank、ベトナム最大手の国営商業銀行)の為替レート(税・手数料込み)で換算すると、SJC金塊と国際金価格との乖離は2,451万ドン/ルオン。指輪金「4ナイン」の場合、この乖離は業者によって1,141万〜2,451万ドン/ルオンと幅がある。ゴックタムの指輪金価格が国際価格に最も近い水準にあることがわかる。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の金価格急落は、ベトナムの個人投資家にとって複数の示唆を含んでいる。
第一に、ベトナム国内の金市場は依然として売買スプレッドが大きく、短期売買には不向きな構造が続いている。300万ドン/ルオン(縮小してもなおこの水準)というスプレッドは、購入した瞬間に約1.7%の損失を抱えることを意味する。今回のように価格が急落すると、スプレッド分も含めた損失が一気に膨らむ。
第二に、SJC金塊と国際価格の乖離が2,451万ドン/ルオンと依然として大きい点は、ベトナム政府による金市場管理政策の構造的課題を反映している。2024年以降、国家銀行(中央銀行に相当)はSJC金塊のオークションを再開するなど乖離縮小に取り組んできたが、プレミアムは依然高止まりしている。
第三に、2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げ判断を控え、ベトナムの資本市場全体に注目が集まる中、金市場から株式市場への資金シフトが起こるかどうかも注視すべきポイントである。金価格の下落が続けば、利益確定した資金が株式やその他の金融商品に流れる可能性がある。
日本からベトナムに進出している企業や投資家にとっては、金価格の急落がベトナムドンの為替動向や消費マインドに与える間接的影響にも注意が必要である。ベトナムでは金が伝統的な資産保全手段として広く保有されており、金価格の急落は消費者心理を冷やす要因となり得る。
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