ベトナム・カジノ運営RICが6年ぶり黒字転換—ハロン湾リゾートの復活と観光業回復の行方

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ベトナム北部クアンニン省(Quảng Ninh)に位置するカジノ「ロイヤル・ハロン」(Royal Hạ Long)を運営するRIC(ティッカー:RIC)が、積極的なマーケティング戦略とガイド向けコミッション制度の強化により、実に6年ぶりの黒字転換を果たした。コロナ禍と長期にわたる赤字体質に苦しんだ同社が、ベトナム観光業の回復基調に乗って業績を立て直した形であり、カジノ・リゾート産業の復活を象徴するニュースとして注目を集めている。

目次

ロイヤル・ハロン・カジノとRICの概要

RIC(正式名称:Royal International Corporation)は、世界自然遺産として名高いハロン湾(Vịnh Hạ Long)を擁するクアンニン省でカジノ「ロイヤル・ハロン」を運営する企業である。ハロン湾はベトナム最大級の観光地であり、国内外から年間数百万人の旅行者が訪れる。同社のカジノは、ハロン市内のリゾートエリアに立地し、外国人旅行者を主たるターゲット顧客としてきた。

ベトナムではカジノ事業は厳格な規制下にあり、長年にわたりベトナム人の入場は原則禁止されてきた。近年、一部の統合型リゾート(IR)施設でベトナム人の入場が試験的に認められているものの、ロイヤル・ハロンのような従来型カジノは引き続き外国人客が収益の柱となっている。このため、国際観光客の動向がそのまま業績に直結する構造にある。

6年間の赤字——コロナ禍と構造的課題

RICが赤字に陥ったのは2019年頃からとみられ、新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけた。ベトナムは2020年から2021年にかけて厳格な入国制限・都市封鎖を実施し、国際観光客はほぼゼロに近い状態が続いた。ハロン湾の観光業全体が壊滅的な打撃を受け、カジノ運営企業であるRICも例外ではなかった。

コロナ禍以前から、ロイヤル・ハロンは中国からの団体旅行客への依存度が高いとされてきた。中国政府によるゼロコロナ政策の長期化、さらにはベトナム・中国間の国境観光の変動など、外部環境の変化に脆弱な収益構造が6年にわたる赤字の背景にあったと考えられる。

黒字転換の鍵——マーケティング強化とコミッション制度

今回の黒字転換を支えた要因として、RICは以下の施策を挙げている。

  • マーケティング・プロモーションの強化:ターゲット顧客層の拡大に向け、多角的な広告宣伝活動やプロモーションキャンペーンを展開した。
  • 優遇・割引制度の充実:来場客に対する各種優遇措置を拡充し、リピーター獲得と客単価の向上を図った。
  • ツアーガイド向けコミッション(花紅)の導入・強化:ベトナムの観光業において、ガイドが顧客をどの施設に誘導するかは極めて大きな影響力を持つ。RICはガイドへのコミッションを手厚くすることで、カジノへの集客導線を太くした。これはベトナム観光業特有の商慣習を巧みに活用した戦略といえる。

こうした地道な営業施策の積み重ねが、ポストコロナの観光客回復と相まって、ようやく6年ぶりの黒字達成につながった形である。

クアンニン省の観光回復とインフラ整備

RICの業績回復は、クアンニン省全体の観光回復トレンドと無関係ではない。同省はベトナム政府が重点的にインフラ投資を行っている地域の一つであり、ヴァンドン国際空港(Sân bay quốc tế Vân Đồn)の開業(2018年)、ハノイ—ハロン間の高速道路整備などにより、アクセスが格段に向上している。さらに、ハロン市は近年、サンワールド遊園地(Sun World Hạ Long)やヴィンパール(VinWonders)といった大型アミューズメント施設も相次いで開業しており、観光地としてのポテンシャルは拡大の一途をたどっている。

ベトナム全体でも2024年以降、国際観光客数はコロナ前の水準を回復しつつあり、中国・韓国・日本からの旅行者が急増している。RICにとっても、こうしたマクロの追い風が業績回復を後押ししたと見られる。

投資家・ビジネス視点の考察

RICはホーチミン証券取引所(HOSE)ではなくハノイ証券取引所(HNX)系の市場に上場しており、時価総額・流動性ともに決して大きくはない。しかし、6年ぶりの黒字転換というニュースは、以下の観点から注目に値する。

1. ベトナム観光・エンターテインメントセクターの回復シグナル:RICの黒字化は、ハロン湾エリアの観光需要が本格的に戻りつつあることを示唆する。同セクターに属する他の上場企業(例:サングループ関連銘柄やヴィンパールを傘下に持つビングループ(VIC))にも波及的なポジティブ材料となり得る。

2. カジノ規制緩和の行方:ベトナム政府はフーコック島(Phú Quốc)のカジノでベトナム人入場を試験的に認めるなど、段階的に規制を緩和している。今後、ハロン湾エリアでも同様の緩和が進めば、RICの収益ポテンシャルは大きく拡大する可能性がある。

3. 日本企業への示唆:日本のIR関連企業やホテル・リゾート運営企業にとって、ベトナムのカジノ市場は依然として未開拓の領域が多い。クアンニン省のようなインフラが整いつつある地方観光地は、将来的な投資先として検討に値する。

4. FTSE新興市場指数格上げとの関連性:2026年9月に判断が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、ベトナム株式市場全体への資金流入が加速する。流動性の低い小型株であるRICが直接的な恩恵を受けるかは不透明だが、観光・消費セクター全体への注目度が高まる中で、間接的な評価向上の可能性はある。

ただし、RICは依然として小型株であり、業績の持続性は今後の国際観光客数の推移や中国市場の動向に大きく左右される点には留意が必要である。黒字転換はあくまで第一歩であり、安定的な利益成長の道筋が見えるかどうかが、中長期的な投資判断のポイントとなるだろう。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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