BYDが世界首位、中国勢がトップ10の過半数を独占—ベトナム含む新興国市場への影響と投資視点

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SNE Researchのデータに基づく世界EV販売台数ランキング(2024年8月〜2025年8月)で、中国BYD(比亜迪)が256万台を売り上げ圧倒的首位に立った。トップ10のうち中国メーカーが5社を占め、EV市場における中国の製造覇権が鮮明になっている。この構図はベトナムを含む東南アジアのEV市場にも大きな影響を及ぼす。

目次

BYDが2位以下を大きく引き離す

首位のBYD(中国深圳に本社を置く世界最大のEVメーカー)は、BEV(バッテリー式電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)を合算した販売台数で256万台を記録した。2位は同じく中国のGeely(吉利汽車)で約130万台、3位が米Tesla(テスラ)で約98万5,000台である。BYDの販売台数はGeelyのほぼ2倍、Teslaの約2.6倍に達しており、かつて「BYD対Tesla」と言われた二強構図はすでに過去のものとなった。

中国勢がトップ10の半数を占拠

BYDとGeelyに加え、SAIC(上海汽車集団)、Changan(長安汽車)、Chery(奇瑞汽車)もトップ10入りを果たしている。欧米勢ではTeslaのほか、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、BMW、Stellantis(ステランティス)がランクインしているものの、販売台数では中国勢に大きく水をあけられている。

中国メーカーの強さの背景には、巨大な国内市場、成熟した製造能力、そしてバッテリーから完成車に至る垂直統合型のサプライチェーンがある。特にリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの低コスト生産においては他国の追随を許さない状況である。

新興国市場への輸出拡大が加速

注目すべきは、中国EVメーカーの成長が国内市場のみに依存していない点である。中南米、東南アジアを中心に輸出を急速に拡大しており、価格競争力を武器にシェアを伸ばしている。以前は欧米諸国が中国製EVに対し関税や非関税障壁を設けていたが、脱炭素・クリーンエネルギー推進の流れから、規制を緩和する動きも出始めている。

東南アジアではタイがEV生産・販売の一大拠点となっており、BYDはタイに大規模工場を稼働させた。インドネシアでもBYDやCheryが進出を加速させている。こうした動きはベトナム市場にも波及しつつある。

ベトナム市場への含意

ベトナムではVinFast(ビンファスト、ベトナム初の国産自動車メーカーでVinGroup傘下)がEV事業を推進しているが、中国メーカーの東南アジア攻勢は同社にとって大きな脅威となる。BYDやCheryはベトナムへの正規参入やCKD(部品輸入組立)方式での展開を検討しているとされ、価格帯でVinFastと真正面から競合する可能性が高い。

一方、ベトナム政府は2030年までにEV普及率を大幅に引き上げる目標を掲げており、EV購入に対する登録税免除措置などの優遇策を継続している。中国メーカーの参入が進めば、消費者にとっては選択肢が増え価格が下がるメリットがある反面、VinFastをはじめとする国内メーカーには厳しい競争環境となる。

投資家・ビジネス視点の考察

このランキングが示すのは、EVが「テクノロジー企業の競争」から「製造規模の競争」へとフェーズが移行しているという事実である。投資家にとっての注目点は以下の通りである。

VinFast(NASDAQ: VFS)への影響:中国勢の東南アジア展開が加速すればするほど、VinFastの海外・国内双方での競争環境は厳しくなる。同社の株価は今後、中国メーカーのベトナム参入ニュースに敏感に反応する可能性がある。

ベトナムのEV関連サプライチェーン銘柄:充電インフラ、バッテリー部材、電装部品などを手がけるベトナム企業にとっては、中国EVの流入増加がむしろ需要拡大の追い風となり得る。ホーチミン証券取引所(HOSE)上場の電気・電子部品メーカーなどに注目したい。

日本企業への影響:トヨタ、ホンダなど日本の自動車メーカーはベトナムでICE(内燃機関)車を中心に展開しているが、EV化の波が押し寄せる中、中国勢との競争にどう対応するかが問われている。日系部品メーカーにとっても、サプライチェーンの再構築を迫られる局面が増えるだろう。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの資金流入が加速し、EV関連を含むベトナム成長セクターへの注目度がさらに高まる。中国EVメーカーの進出によりベトナムのEVエコシステムが厚みを増せば、関連銘柄の評価向上にもつながる可能性がある。

世界のEV覇権争いは、もはや米中二強の構図ではなく「中国一強」に近い状況へと変化している。ベトナムに投資する者にとっては、この地殻変動がASEAN市場全体にどう波及するかを注視し続ける必要がある。


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出典: 元記事

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