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カナダ系生命保険大手マニュライフ(Manulife)のベトナム法人「マニュライフ・ベトナム」が2025年度の財務報告を公表した。保険金支払額は前年比15%増の9,060億ドンに達し、総資産は15兆6,000億ドン超と13%以上の成長を記録。ベトナム生命保険市場で資本規模トップの座を維持しつつ、デジタル化と商品透明化を加速させている。日本の投資家にとって、急成長するベトナム保険セクターの動向を把握する上で注目すべき内容である。
2025年度の業績概要——安定した利益と資産拡大
マニュライフ・ベトナムの2025年度税引前利益は3,545億ドン超。市場の不透明感が続く中でも、前年並みの安定した業績を維持した。総資産は15兆6,000億ドンを超え、前年比13%超の増加である。定款資本(払込資本金に相当)は2兆2,220億ドンで、ベトナム生命保険業界で最大の資本規模を誇る。
保険金支払いに関しては、年間約42万件の請求を処理し、平均処理日数は約3日。支払総額9,060億ドンは前年から15%増加しており、契約者への迅速かつ透明な対応を強調している。
商品ラインナップの刷新とファンド運用実績
同社は2025年、商品ポートフォリオを「分かりやすさ」と「実需への適合」を軸に再設計した。新商品として「サイン・トゥオンライ(Xanh Tương Lai)」(ユニットリンク型保険)、「サイン・ウォックモー(Xanh Ước Mơ)」(ユニバーサル保険)、「サイン・フークイ(Xanh Phú Quý)」(ユニットリンク型保険)を投入し、市場から好意的に受け入れられた。
投資ファンドの運用成績も注目に値する。ユニバーサル型連動ファンドの利回りは5.56%、ユニットリンク型ファンドは3.5%〜27.5%のリターンを記録した。ベトナムの銀行預金金利が低水準で推移する中、保険商品の資産運用機能への需要が高まっていることを裏付ける数字である。
デジタル化とGenAI活用で顧客体験を高度化
マニュライフ・ベトナムは、リアルタイム顧客満足度測定システム「M-PS」、ロイヤルティプログラム「Manulife Rewards」、ライブチャットや専用アプリなど、デジタルチャネルの整備を進めている。さらに、生成AI(GenAI)を活用し、コンサルティング品質と顧客対応効率の向上を図っている。
人材面では、2025年に1,000人以上のコンサルタントに対し公衆衛生に関する専門研修を実施。健康保障ニーズの高まりに対応できる体制を強化した。社会貢献活動としても「チョン・サイン・チョ・コエ(Chọn Xanh Cho Khỏe=健康のためにグリーンを選ぼう)」キャンペーンを展開し、1万人以上に無料健康診断を提供している。
グローバル本社も好調——アジアが成長のけん引役
親会社のマニュライフ・フィナンシャル(カナダ・トロント本社、TSX/NYSE上場)も2025年に好調な業績を記録した。コア利益は75億カナダドル、年間保険料換算(APE)は前年比14%増、新契約CSM(契約サービスマージン)は28%増、新契約価値(NBV)は18%増となった。この成長はアジア地域と資産運用部門が主導しており、ベトナムを含む新興市場が戦略的に重視されていることがうかがえる。グループ全体で9市場にGenAIソリューションを展開済みである。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトナムの生命保険市場は、人口の若さ(平均年齢約32歳)と保険普及率の低さ(GDPに対する保険料比率は先進国の数分の一)から、中長期的な成長余地が極めて大きい。マニュライフ・ベトナムの総資産13%成長や保険金支払い15%増は、市場全体の拡大トレンドを反映している。
ベトナム株式市場との関連では、マニュライフ・ベトナム自体は非上場だが、同社の業績はベトナム保険セクター全体の健全性を示す指標となる。上場保険会社であるバオベト・ホールディングス(BVH)やPVI(PVI)などの株価にも間接的な影響を与え得る。銀行窓販(バンカシュアランス)チャネルを通じて提携する商業銀行の手数料収入にも波及する点は見逃せない。
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、ベトナム市場全体への海外資金流入が加速する。金融セクター、とりわけ保険業界は機関投資家の注目を集めやすく、マニュライフのような外資系大手の好業績は、ベトナム金融市場の信頼性を補強する材料となる。
日本企業の観点では、ベトナムに進出する日系メーカーや商社にとって、現地従業員向け団体保険や福利厚生プランの選択肢として、マニュライフ・ベトナムの商品透明化やデジタル対応の進展は実務的に重要である。また、日本の保険会社がベトナム市場での競争環境を評価する際にも、同社の動向は主要ベンチマークとなるだろう。
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出典: 元記事












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