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ベトナム株式市場の代表指数であるVN-Indexが3営業日連続で力強い上昇を見せ、1,775ポイントまで回復した。売買代金も約2兆3,500億ドンと増加傾向にあり、市場は明確な回復シグナルを発している。直近の調整局面から反転の兆しが見えるなか、この動きが持続的なものとなるかどうかが注目される。
3日連続の大幅上昇——数字で見る直近の動き
ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場する主要銘柄で構成されるVN-Indexは、直近の取引セッションで17ポイント上昇し、1,775ポイントで取引を終えた。これで3営業日連続の大幅続伸となり、先週まで続いていた軟調な地合いから一転、回復局面に入った可能性が高まっている。
注目すべきは、株価の上昇に伴い売買代金(出来高ベースの金額)も改善している点である。この日の売買代金は約2兆3,500億ドンと、直前のセッションからわずかながら増加した。一般的に、株価上昇に出来高の増加が伴う場合は「実需を伴った回復」と見なされやすく、テクニカル分析上もポジティブなシグナルとされる。
なぜ今、回復の動きが出ているのか
ベトナム株式市場は2026年に入ってから、グローバルなリスク要因の影響を受けてやや不安定な推移を続けてきた。米中間の貿易摩擦の再燃懸念、米国の関税政策の不透明さ、そしてドン安圧力などが投資家心理を圧迫し、VN-Indexは一時1,700ポイント台前半まで調整する場面もあった。
しかし足元では、いくつかのポジティブな材料が重なっている。まず、ベトナム国家銀行(中央銀行)が金融緩和姿勢を維持しており、市中金利が引き続き低水準にあることが株式市場への資金流入を支えている。加えて、2026年第1四半期のGDP成長率が堅調に推移していることも、企業業績の回復期待につながっている。
さらに、外国人投資家の動向も変化しつつある。これまで数カ月にわたり売り越し基調が続いていた海外勢が、直近では売り越し幅を縮小させている。この背景には、ベトナムがFTSEラッセルの「新興市場」への格上げを控えているという期待感がある。
セクター別に見る牽引役
3営業日連続の上昇を牽引しているのは、ベトナム株式市場の時価総額上位銘柄群である。特に銀行セクターは、VN-Index全体の構成比率が高いことから、指数を押し上げる原動力となりやすい。ベトコムバンク(Vietcombank、ベトナム最大手の国営商業銀行)やビンコメルス銀行(VietinBank)、テクコムバンク(Techcombank)といった大型行の株価が堅調に推移し、指数の回復に寄与しているとみられる。
また、不動産セクターにおいても、ビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット)傘下のビンホームズ(Vinhomes)をはじめとする大手デベロッパーの銘柄が底打ちの動きを見せている。ベトナムでは2023年以降、不動産市場の調整が長期化していたが、改正土地法の施行や各地方政府によるプロジェクト認可の加速が、セクター全体の回復期待を下支えしている。
売買代金2兆3,500億ドン——流動性は十分か
今回の約2兆3,500億ドンという売買代金は、2025年後半にかけて見られた3兆ドン超のピーク時と比較するとまだ控えめな水準である。市場参加者の間では「出来高をともなった本格的な上昇トレンド入りには、少なくとも2兆5,000億〜3兆ドン程度の売買代金が継続的に必要だ」との見方が根強い。
とはいえ、直近の低迷期に1兆8,000億〜2兆ドン程度まで落ち込んでいた売買代金が徐々に回復している点は前向きに評価できる。段階的に流動性が戻ってきていることは、投資家の市場参加意欲が回復しつつあることの証左である。
投資家・ビジネス視点の考察
1. 短期的な市場展望
VN-Indexが1,775ポイントを回復したことで、次の焦点は1,800ポイントの心理的節目を突破できるかどうかである。この水準は過去にも何度もレジスタンスとして意識されてきた。出来高を伴って明確にブレイクアウトすれば、中期的にも上昇トレンドが確認される形となり、さらなる資金流入が見込まれる。
2. FTSE新興市場指数への格上げとの関連
2026年9月に決定が見込まれているFTSEラッセルの「フロンティア」から「新興市場(セカンダリー・エマージング)」への格上げは、ベトナム株にとって最大級のカタリストである。格上げが実現すれば、新興市場インデックスに連動するパッシブファンドからの資金流入が数十億ドル規模で見込まれる。直近の株価回復は、この格上げ期待を織り込む動きの一部とも解釈できる。市場の地合いが改善していること自体が、格上げ審査における「市場の流動性・アクセシビリティ」の評価にもプラスに働く可能性がある。
3. 日本企業・日本人投資家への影響
ベトナムは日本にとって最大級の直接投資先の一つであり、多くの日系製造業がベトナムに生産拠点を構えている。株式市場の回復は、ベトナム国内の消費・投資マインドの改善を通じて、日系企業の現地事業にも間接的にプラスの効果をもたらす。また、日本からベトナム株に直接投資している個人投資家にとっては、調整局面での仕込みが報われ始める局面と言える。ただし、為替(ドン/円)の変動リスクには引き続き注意が必要である。
4. ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ
ベトナム政府は2026年のGDP成長率目標を8%以上に設定しており、公共投資の加速やFDI(外国直接投資)の積極誘致を通じて高成長路線を維持する方針である。株式市場の回復は、この成長シナリオに対する市場の信認が徐々に回復していることを示唆している。今後、第2四半期の企業決算シーズンに入るにつれ、業績面からのファンダメンタルズ確認が進めば、上昇基調がより確かなものになるだろう。
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出典: 元記事












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