ベトナム最大カフェチェーン「Highlands Coffee」が利益1,000億ドン超え——過去3年で最高益の背景を読む

Highlands Coffee lãi nghìn tỷ đồng
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ベトナム全土に展開する最大手カフェチェーン「Highlands Coffee(ハイランズコーヒー)」が、2024年度の税引前・減価償却前・支払利息前利益(EBITDA)で前年比6%増の1,085兆ドン超を記録した。これは直近3年間で最高水準であり、ベトナム国内の外食・飲料業界における同チェーンの圧倒的な存在感を改めて示す結果となった。

目次

Highlands Coffeeとは何者か

Highlands Coffee は、1999年にベトナム系アメリカ人のデイビッド・タイ氏によってホーチミン市で創業されたカフェチェーンである。当初は高品質なベトナム産コーヒー豆の輸出を手掛けていたが、その後、国内でのカフェ店舗展開に本格的にシフトした。現在ではベトナム全63省・市のうち主要都市を中心に800店舗以上を展開し、店舗数ベースで国内最大のカフェチェーンの座を維持している。

同社の親会社は、フィリピンの食品・飲料大手ジョリビー・フーズ・コーポレーション(Jollibee Foods Corporation)である。ジョリビーは2012年にHighlands Coffeeの運営会社であるベトナム・タイ・インターナショナル(VTI)に出資し、その後段階的に持分を引き上げてきた。東南アジア全域にレストランチェーンを展開するジョリビーにとって、Highlands Coffeeはベトナム市場における最重要ブランドの一つに位置づけられている。

過去3年で最高のEBITDA——その背景

今回報じられた2024年度のEBITDAは1,085兆ドンを超え、前年度比で6%の増加を記録した。これは過去3年間で最も高い水準である。この好業績の背景には、いくつかの要因が指摘できる。

第一に、ベトナム国内の消費市場の回復がある。2023年後半から2024年にかけて、コロナ禍後の消費回復が本格化し、外食・カフェ市場全体が拡大基調にあった。ベトナム統計総局(GSO)のデータによれば、2024年の小売売上高は前年比で堅調な伸びを示しており、特に飲食サービス分野の成長が顕著であった。

第二に、Highlands Coffee自身の出店戦略と商品戦略の奏功がある。同チェーンは近年、従来のオフィスビルや商業施設内の店舗に加え、住宅エリアやロードサイドへの出店を強化している。また、フルーツティーやスムージーなどコーヒー以外のメニューを拡充することで、より幅広い客層の取り込みに成功している。デリバリーサービスへの対応も早く、GrabFoodやShopeeFood経由の売上が利益率改善に寄与したとみられる。

第三に、コスト管理の徹底である。EBITDAベースで利益が伸びている点は、店舗運営の効率化やサプライチェーンの最適化が進んでいることを示唆している。ベトナムではロブスタ種のコーヒー豆価格が2024年に世界的な供給不安から高騰したが、同社は自社調達ネットワークを持つ強みを活かし、原材料費の上昇をある程度吸収できた可能性がある。

激化するベトナムカフェ市場の競争環境

ベトナムは世界第2位のコーヒー豆生産国(ロブスタ種では世界首位)であり、カフェ文化が国民生活に深く根付いている。路上の個人経営カフェから近代的なチェーン店まで、その裾野は極めて広い。

Highlands Coffeeが首位を走る一方、激しい追い上げを見せるのがThe Coffee House(ザ・コーヒーハウス)やPhuc Long(フックロン)、そして中国発のLuckin Coffee(ラッキンコーヒー)などの新興勢力である。Phuc Longは2023年に親会社であるマサン・グループ(Masan Group、ホーチミン証券取引所上場・ティッカー:MSN)のもとで事業再編が進められた。また、韓国系のCompositoや日本のドトールコーヒー系列など、外資系チェーンの参入も続いている。

このような競争環境の中で、Highlands CoffeeがEBITDAベースで着実に利益を伸ばしている点は、同社のブランド力と運営力の高さを裏付けるものだ。特に「ベトナム人の日常使い」のカフェとして定着している点は、価格競争に巻き込まれにくいポジショニングを確立していることを意味する。

投資家・ビジネス視点の考察

■ 関連銘柄への影響
Highlands Coffee自体はベトナムの証券取引所には上場していないが、親会社ジョリビー・フーズはフィリピン証券取引所に上場しており(ティッカー:JFC)、同社の業績は間接的にJFCの株価評価に影響を与える。ベトナムのカフェ市場全体が成長している事実は、競合チェーンを傘下に持つマサン・グループ(MSN)にも関連する材料である。また、カフェ需要の拡大はコーヒー豆サプライヤーや不動産デベロッパー(商業施設テナント需要)にも波及し得る。

■ 日本企業・ベトナム進出企業への示唆
ベトナムの内需型消費セクターが堅調に成長していることは、日本企業にとっても追い風である。日系外食チェーンや飲料メーカーがベトナム市場に参入する際、Highlands Coffeeの成功モデル——すなわち「ローカル嗜好に根ざした商品開発」「デリバリー対応」「多様な立地戦略」——は大いに参考になるだろう。一方で、ベトナムのカフェ市場は価格帯のレンジが広く、中~低価格帯では熾烈な競争が繰り広げられている点にも注意が必要である。

■ FTSE新興市場指数への格上げとの関連性
2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、海外からの投資資金流入を加速させると予想されている。格上げが実現すれば、ベトナム国内の消費関連銘柄にも恩恵が及ぶ可能性が高い。Highlands Coffeeの好業績は、ベトナムの内需型消費市場が持続的に成長していることの証左であり、こうしたファンダメンタルズの改善は格上げ議論においてもプラス材料として評価されるだろう。

■ ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ
ベトナムは2024年にGDP成長率が7%台に回復し、製造業の輸出主導型成長に加え、内需・サービス業の拡大が経済の両輪を担う構造に移行しつつある。都市部の中間層の拡大と可処分所得の増加は、カフェチェーンのような「日常の贅沢」消費を押し上げる原動力となっている。Highlands Coffeeの1,085兆ドン超のEBITDA達成は、まさにこうしたマクロ経済トレンドの恩恵を直接的に受けた結果と言える。


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出典: 元記事

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