ベトナム・ホーチミン市の河川観光が本格始動へ——1,000億ドン規模クルーズ計画と2030年への成長戦略

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ベトナム最大の商業都市ホーチミン市(旧サイゴン)が、サイゴン川を軸とした河川観光の本格的な開発に乗り出している。年間観光客数は2023年の約50万人から2025年には60万人に拡大する見通しだが、インフラの未整備や体験の単調さといった構造的課題が依然として残っており、「潜在力に見合った開発がなされていない」との指摘が当局内部からも上がっている。

目次

60以上のツアーと150社が参入——河川観光の現状

ホーチミン市観光局の報告によると、市内ではすでに60以上の水上観光プログラム・ルート・商品が整備されており、うち7つが定期運航、15以上が新規ツアーである。参入企業は約150社、運航船舶はレストラン船、クルーズ船、リバーバス(二階建てを含む)、スピードボート、木造観光船など300隻以上に上る。

観光客数は2023年が約50万人、2024年が約55万人、2025年は60万人と安定的な成長を続けている。

LuxGroupが1,000億ドン規模の都市型リバークルーズを投入

注目すべき新規プロジェクトとして、ベトナムのクルーズ運営大手LuxGroup(ラックスグループ)が総投資額約1,000億ドンの「Amiral Cruises(アミラル・クルーズ)」計画を発表した。これは都市型リバークルーズとして「スローツーリズム(ゆっくり旅)」をコンセプトに掲げるものである。

第1フェーズは2026年6月に始動し、バックダン~クチ間で高速船とクルーズ船を運航する。その後の段階では宿泊型クルーズに拡大し、ホーチミン市からカンゾー(市内南部の生態保護区)、ブンタウ(バリアブンタウ省の海浜リゾート都市)、さらにメコンデルタ地域へと航路を延伸。2030年までに河川と海洋を組み合わせた長期滞在型の旅行商品を目指す。

目玉となるのが「ソンショー(Sông Show)」と呼ばれる水上実景パフォーマンスで、南部ベトナムの水郷文化を舞台芸術として体験できるプログラムである。また、カンゾーのマングローブ林やゲンライ湾、ブンタウの海岸をプライベートクルーズで巡るオプションも用意される。

全長80kmのサイゴン川——「都市の文化舞台」への転換構想

サイゴン川は全長約80kmに及び、ホーチミン市の中心部を貫く貴重な観光資源である。LuxGroupのファム・ハCEOは、「世界の主要都市では河川観光が都市体験に不可欠な要素となっている。サイゴン川も歴史・芸術・美食・南部の暮らしが交差する独自の文化舞台になり得る」と述べた。

市の観光局もこの方向性を共有しており、「街から川を下り海へ(Từ phố theo sông ra biển)」をテーマに、都心部の都市空間、川沿いの生態エリア、海辺のリゾートエリアを一本のルートで結ぶ体験型商品の開発を進めている。

当局が指摘する3つの構造的ボトルネック

一方で、ホーチミン市観光局の観光資源開発計画課長グエン・ティ・タイン・タオ氏は、河川観光が「存在する段階」にとどまり「魅力的で再訪を促す段階」に達していないと率直に認めた。具体的には以下の3点が課題として挙げられている。

①船着き場インフラの未整備:観光用船着き場には景観、待合所、トイレ、送迎スペース、駐車場などが必要だが、多くの地点でこれらが不足または不統一であり、乗船前の段階で観光体験が損なわれている。旅行会社がパッケージツアーを組む際にも送迎・サービス提供の面で障害となっている。

②川と陸の連携不足:4〜5時間の乗船中に休憩や観光ができる魅力的な立ち寄り地点が川沿いに乏しい。景観は美しいが体験が単調で深みに欠け、リピーター確保に至っていない。

③河川沿い用地の規制・未活用:川沿いの多くの区域が観光開発に活用されておらず、投資に必要な土地利用条件も整っていない。観光局は関係部門と連携し、ホーチミン市の総合計画に河川観光の内容を統合する作業を進めている。

2026〜2030年の数値目標——船舶500隻、観光収入の20〜25%を水上観光へ

ホーチミン市は2026〜2030年の期間に、河川観光船舶数を現在の300隻超から約500隻へ引き上げ、水上観光の売上を観光産業全体の20〜25%まで高める目標を掲げている。インフラ面では国際旅客港3か所、基準適合の内陸水上ターミナル14か所を整備する計画である。

加えて、デジタル観光マップ、多言語音声ガイド、AR/VR技術の導入、宿泊型クルーズの試験運航、SUP・カヤック・パラグライダーなどのウォータースポーツも展開する方針である。

ホーチミン市観光局のレ・チュオン・ヒエン・ホア副局長は、都心部においてはレストラン型クルーズ船への投資を強化し、単なる水上レストランにとどまらず川沿いの遊覧と娯楽を組み合わせた体験を提供すると説明。これにより、より消費単価の高い新たな客層の取り込みを狙う。

投資家・ビジネス視点の考察

ホーチミン市の河川観光開発は、観光セクターだけでなく不動産・インフラ・物流といった周辺産業にも波及する可能性がある。特にサイゴン川沿いの再開発が進めば、ウォーターフロント不動産の価値上昇が見込まれ、同エリアに資産を持つデベロッパー(ビングループ傘下のVinhomes、ノバランドなど)にとって中長期的な追い風となり得る。

LuxGroupは非上場企業であるが、同社への部材供給や造船を担うベトナム企業、さらにはリバーバス運営で知られるサイゴンウォーターバス関連銘柄に間接的な恩恵が期待される。また、2026〜2030年に計画されている国際旅客港や内陸ターミナルの建設は、建設・建材セクターへの受注増をもたらすだろう。

マクロ的には、ホーチミン市が周辺地域との合併(2025年に実施)を経て「多極型観光拠点」を目指す動きは、ベトナムの観光収入拡大とサービス業のGDP比率向上に寄与する。2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの資金流入が加速し、観光インフラ整備の財源確保にもプラスに働く。日本企業にとっては、AR/VR技術やデジタルマップ、多言語ガイドシステムなどの分野で技術提供やJV(合弁)の商機が広がる領域といえる。


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出典: 元記事

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