ベトナム、海洋保護区を倍増へ——2030年までに海域面積6%を保全、経済と環境の両立を目指す

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ベトナム政府は2030年までに国家海域面積の最低6%を海洋保護区として確保する目標を掲げ、現在の7カ所から14カ所への倍増を2026年末までに実現する計画を進めている。2026年6月21〜22日にハノイで開催された国家技術ワークショップで、海洋保全と経済発展の両立に向けた具体的なロードマップが示された。

目次

現状:海域のわずか0.215%しか保全されていない

ベトナムは現在、バックロンヴィ(Bạch Long Vỹ)、コートー・ダオチャン(Cô Tô – Đảo Trần)、リーソン(Lý Sơn)、コンコー(Cồn Cỏ)、ホンカウ(Hòn Cau)、カマウ(Cà Mau)、フーコック(Phú Quốc)の7つの海洋保護区を設立済みである。これに加え、カットバー(Cát Bà)、バイトゥーロン(Bái Tử Long)、ヌイチュア(Núi Chúa)、コンダオ(Côn Đảo)、クーラオチャム(Cù Lao Chàm)の5カ所が国立公園・自然保護区として海域管理を行っている。しかし、保全対象の総面積は約21万5,191ヘクタールで、国家海域面積のわずか約0.215%に過ぎない。

新たに7カ所の海洋保護区を設立へ

現在、各地方自治体が水産法に基づき新設を進めているのは、ハロン湾(Vịnh Hạ Long)、バイトゥーロン(Bái Tử Long)、カットバー・ロンチャウ(Cát Bà – Long Châu)、ホングー・ダオマット(Hòn Ngư – Đảo Mắt)、クイニョン湾(Vịnh Quy Nhơn)、ニャチャン湾(Vịnh Nha Trang)、フークイ(Phú Quý)の7カ所である。2026年末までに、「2021〜2030年水産資源保護・開発計画」で定められた27カ所のうち14カ所の設立完了が見込まれている。

農業環境省水産・漁業監督局のグエン・クアン・フン(Nguyễn Quang Hùng)副局長は「海洋・沿岸の生態系は生物多様性を維持するだけでなく、多くの希少な水生生物の生息・繁殖の場でもある。保護区の効果的な整備こそが、資源回復と持続可能な海洋経済発展を実現する鍵だ」と強調した。

2030年目標:海域面積6%の保全

2024年12月10日付の首相決定第1539号により、ベトナムは2030年までに海洋・沿岸保護区の面積を国家海域面積の最低6%にまで拡大する目標を設定している。現在の0.215%から6%への飛躍は極めて野心的であり、単なる面積拡大だけでなく、管理体制の整備、インフラ投資、省庁間連携の強化、統一的な管理効果評価システムの構築が不可欠とされる。

ベトナムの沿岸部には約2,000万人が居住し、漁業をはじめとする海洋経済が生計の基盤となっている。気候変動によるリスクが高まる中、保護区の整備は生態系の回復のみならず、沿岸コミュニティの長期的な生活基盤を守る意味でも重要性を増している。

管理効果を測る24指標と民間参画の推進

今回のワークショップでは、UNDP(国連開発計画)の技術支援を受けて水産・漁業監督局が策定中の「海洋保護区管理効果評価指標」の草案が紹介された。この指標は5つの分野にわたる24の指標で構成され、ガバナンス、計画策定、資源配分、実施プロセス、成果・インパクトという管理の全段階をカバーする。国際的な評価フレームワークとベトナム固有の法制度・管理体制を融合させた独自の設計となっている。

また、国家予算が限られる中、NGOや民間団体など非公的組織の保護区管理への参画を促進する方針も議論された。資源管理の社会化(ソーシャライゼーション)は国際的な潮流でもあり、管理の柔軟性向上とイノベーション促進が期待されている。

ウミガメ保全計画の総括と次期展望

同時開催されたもう一つのワークショップでは、2016〜2025年のベトナムウミガメ保全行動計画の成果が総括され、2026〜2035年の次期計画に向けた方向性が議論された。ウミガメはベトナム沿岸の生態系の健全性を示す指標種でもあり、保護区の整備と密接に関連する課題である。

投資家・ビジネス視点の考察

海洋保護区の拡大は、一見すると水産業への規制強化と映るが、中長期的には持続可能な漁業管理を通じた水産資源の回復につながり、ベトナムの水産輸出産業にとってプラスに作用する可能性がある。ベトナムは世界第3位の水産輸出国であり、EU向け輸出ではIUU(違法・無報告・無規制)漁業対策の進展が「イエローカード」解除の条件となっている。保護区の整備・管理強化は、この問題の解決にも資するものである。

水産関連の上場企業——ヴィンホアン(VHC)、ミンフー(MPC)などにとっては、原料調達の持続可能性が担保されることで、ESG評価の向上や欧米市場へのアクセス改善が期待できる。また、沿岸観光やエコツーリズムの発展余地も大きく、フーコックやニャチャン周辺の観光・不動産関連銘柄への間接的な波及効果も考えられる。

2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、ベトナムはガバナンス改善を多方面で進めている。海洋資源管理におけるUNDP・IUCNとの連携や国際基準に準拠した評価指標の導入は、環境ガバナンスの面でも国際的な信頼性を高める動きといえる。日本企業にとっても、ベトナムの海洋関連事業への参入や、カーボンクレジット・ブルーエコノミー分野での協業機会が広がる可能性がある。


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出典: 元記事

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