ベトナム、EV(電気自動車)の特別消費税3%を2030年末まで維持へ—その後11%に引き上げ

Thuế tiêu thụ đặc biệt với xe điện duy trì 3% đến hết 2030
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ベトナム国会は、9人乗り以下の電気自動車(EV)に対する特別消費税を3%のまま2030年末まで据え置くことを正式に決定した。2031年以降は11%へ引き上げられる。世界的なEVシフトが進む中、ベトナムが自国のEV産業育成と普及促進のために大胆な税制優遇を継続する形となり、同国の自動車市場および関連企業に大きなインパクトを与える決定である。

目次

特別消費税3%維持の詳細

ベトナムでは、自動車は「特別消費税(Thuế tiêu thụ đặc biệt)」の課税対象品目に分類されている。この税はいわゆる贅沢品や嗜好品に課される間接税で、日本における「物品税」に近い性格を持つ。ガソリン車やハイブリッド車には排気量に応じて高い税率が課されるのに対し、EVに対しては極めて低い3%という優遇税率が適用されてきた。

今回、国会が正式に決定したのは以下の内容である。

  • 9人乗り以下の電気自動車に対する特別消費税率を3%のまま2030年12月末まで維持する。
  • 2031年1月以降は税率を11%に引き上げる。

なお、ガソリン車の場合、排気量2,000cc以下でも特別消費税は40〜45%に達し、排気量が大きくなるほど税率は跳ね上がる。EV向けの3%という数字がいかに破格の優遇であるかが分かるだろう。

なぜベトナムがEV優遇を続けるのか—政策の背景

ベトナム政府がEV優遇税制を堅持する背景には、複数の要因がある。

第一に、国内自動車産業の育成である。ベトナム最大の民間コングロマリットであるビングループ(VinGroup、HOSE上場・ティッカー: VIC)傘下のビンファスト(VinFast、米ナスダック上場・ティッカー: VFS)は、ベトナム初の国産自動車メーカーとしてEV事業をグローバルに展開している。ビンファストはハイフォン(北部の港湾都市)に大規模な製造拠点を構え、ベトナム国内のみならず米国、欧州、東南アジア各国への輸出を進めている。低税率の維持は、こうした国産EVメーカーの国内市場での競争力を後押しする狙いがある。

第二に、環境政策・脱炭素目標との整合性である。ベトナムは2021年のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を表明した。急速な経済成長に伴い都市部の大気汚染が深刻化しているハノイやホーチミン市では、EV普及が喫緊の課題となっている。低い特別消費税はガソリン車からEVへの乗り換えを消費者に促す強力なインセンティブとなる。

第三に、ASEAN域内での競争がある。タイやインドネシアもEV関連の投資誘致策を次々と打ち出しており、ベトナムとしてもEV製造のハブとしての地位を確立するために、税制面での魅力を維持する必要がある。

2031年以降の11%への引き上げが意味すること

2031年からの税率11%への引き上げは、EVが十分に市場に浸透した段階では税収確保とのバランスを取る必要があるという政府の現実的な判断を反映している。ただし、11%という水準はガソリン車の40〜150%(排気量による)と比較すれば依然として大幅に低い。したがって、2031年以降もEVはガソリン車に対して税制上の優位性を維持し続けることになる。

段階的な税率引き上げは、EVメーカーに対して「優遇がいつまでも続くわけではない」というシグナルを発し、コスト競争力の強化やスケールメリットの早期実現を促す効果も期待される。

投資家・ビジネス視点の考察

ビンファスト・ビングループへの影響

この決定の最大の受益者は、言うまでもなくビンファストおよび親会社のビングループである。ビンファストは現在、ベトナム国内のEV市場で圧倒的なシェアを有しており、低税率環境が2030年末まで続くことで、国内販売の価格競争力が長期間にわたり保証された形だ。HOSE(ホーチミン証券取引所)上場のVIC(ビングループ)株、および米ナスダック上場のVFS(ビンファスト)株にとってはポジティブ材料である。

日本の自動車メーカー・部品メーカーへの影響

ベトナムに進出しているトヨタ、ホンダ、三菱自動車などの日系メーカーにとっては、ガソリン車・ハイブリッド車との税率格差がさらに固定化されることを意味する。特にベトナム市場でのEVラインアップが手薄な日系メーカーにとっては、EV戦略の見直しを迫られる可能性がある。一方で、日本のEV関連部品サプライヤーにとっては、ベトナム市場の拡大は商機となり得る。

ベトナム株式市場全体への波及

EV優遇税制の継続は、ベトナムが産業政策として先進的な姿勢を国際社会に示すシグナルでもある。2026年9月に判定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げとの直接的な関連は薄いものの、ベトナムの政策環境が予測可能で投資家フレンドリーであることを示す一材料として、海外機関投資家の評価にプラスに寄与するだろう。

EV関連銘柄への注目

ビングループ(VIC)やビンファスト(VFS)に加え、EV充電インフラ、バッテリー関連素材、自動車部品セクターの企業にも注目が集まる。ベトナムの都市部では充電ステーションの整備が急速に進んでおり、関連する建設・電力インフラ企業にも間接的な恩恵が及ぶ可能性がある。

総じて、今回の決定はベトナムがEVシフトを国策として本腰を入れて推進していることを改めて明確にしたものであり、中長期的にベトナムの自動車産業とモビリティ市場の構造変化を加速させる重要な政策転換点と位置づけられる。


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出典: 元記事(VnExpress)

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