ベトナム・ビナサン(VNS)株を大株主が大量売却、持分11.6%→5.6%へ半減—経営権争いの兆候か

Cổ đông lớn Tư vấn Kim Ngưu giảm sở hữu cổ phiếu VNS xuống còn 5,61%
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ベトナムのタクシー大手ビナサン(Vinasun、HOSE上場・銘柄コード:VNS)の大株主であるトゥーヴァン・キムグウ社(Công ty TNHH Tư vấn Kim Ngưu)が、4月中旬にかけて計409万株のVNS株を売却し、保有比率を11.63%から5.61%へと大幅に引き下げた。一方で、別の取締役会メンバーであるレ・ハイ・ドアン氏が490万株の買い増しを登録しており、ビナサンの株主構成が大きく変動する局面を迎えている。

目次

キムグウ社による大量売却の詳細

報告によると、トゥーヴァン・キムグウ社は2026年4月14日から17日にかけて4回の取引で合計409万株のVNS株を売却した。内訳は以下の通りである。

  • 4月14日:170万株を売却
  • 4月15日:40万株を売却
  • 4月16日:159万株を売却
  • 4月17日:40万株を売却

この結果、キムグウ社の保有株数は約790万株から約380万株へ減少し、保有比率は11.63%から5.61%となった。売却理由は「投資ポートフォリオの再構築」とされている。

なお、これに先立つ4月9日にも同社は40万株を売却しており、その時点で保有比率を12.22%から11.63%に引き下げていた。つまり、4月9日からの一連の売却で合計約449万株、保有比率にして約6.6ポイントもの大幅な削減が行われたことになる。

キムグウ社のビナサンにおける株式資本の委任代表者はダン・ティエン・シー氏であり、同氏はビナサンの取締役会メンバーも務めている。大株主かつ経営に関与する立場からの大量売却であるだけに、市場の注目度は高い。

一方で取締役レ・ハイ・ドアン氏は490万株の買い増しを登録

キムグウ社の売却とほぼ同時期に、ビナサン取締役会メンバーのレ・ハイ・ドアン氏が490万株のVNS株の購入を登録している。取引予定期間は2026年4月8日から5月7日までで、協議取引または板取引により実行される見込みである。

購入が完了すれば、ドアン氏個人の保有株は約430万株(6.33%)から約920万株(13.56%)へと倍増する。

さらに注目すべきは、ドアン氏の関連法人の保有分である。ドアン氏はHIPTグループ(CTCP Tập đoàn HIPT)の取締役会会長兼法定代表者を務めており、同氏名義で約250万株(3.64%)を保有。また、VBP社(CTCP VBP)の総社長兼法定代表者としても約530万株(7.77%)を保有している。

仮に今回の買い増しが完了した場合、ドアン氏および関連者の合計保有株数は約1,200万株(17.74%)から約1,690万株(24.96%)へと増加し、ビナサンの筆頭株主グループとなる可能性が高い。

ビナサンの業績と2026年計画

ビナサンはホーチミン市を拠点とするベトナムの老舗タクシー会社であり、配車アプリの台頭で苦戦を強いられてきた企業として知られる。2025年度の業績は以下の通りである。

  • 総売上高:8,882.6億ドン(前年比17.78%減、年間計画の90.35%)
  • 税引前利益:487.1億ドン(前年比43.14%減)
  • 総資産(2025年12月31日時点):1兆7,736.4億ドン(前年末比4.40%減)

資産構成を見ると、短期資産が3,452.1億ドン、長期資産が1兆4,284.3億ドン(総資産の80.54%)であり、長期資産にはトヨタ製タクシー車両2,167台や観光車両、オフィス・修理工場などが含まれる。

2026年度の株主総会で承認された計画では、総売上高9,027億ドン(前年比2.3%増)、税引前利益402億ドン(前年実績の82.6%)、税引後利益326.8億ドン(前年実績の83.47%)を目指す。2025年度の配当は現金で10%が支払われるが、2026年度は無配の方針が決議された。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の動きで最も注目すべきは、キムグウ社の大量売却とドアン氏の大量買い増し登録がほぼ同時期に発生している点である。キムグウ社が売却した約409万株と、ドアン氏が買い増しを予定する490万株は規模感が近く、相対取引(協議取引)が含まれる可能性も否定できない。これは単なるポートフォリオ調整ではなく、ビナサンの経営権・影響力をめぐる株主間の再編が進行している可能性を示唆する。

ドアン氏と関連者が約25%の持分を握ることになれば、株主総会での拒否権に近い影響力を持つことになり、経営方針への関与が一段と強まるだろう。

業績面では、ライドヘイリング(GrabやBeなどの配車アプリ)との競争が続く中、売上・利益ともに減少トレンドが続いており、2026年度も利益計画は前年実績を下回る控えめな水準に設定されている。無配方針もキャッシュフローの余裕のなさを物語る。

ただし、2,167台のトヨタ車両を中心とする実物資産は一定の下値支えとなりうる。PBR(株価純資産倍率)が割安な水準にある場合、資産価値に着目したバリュー投資の対象として検討する余地はある。

2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判定は、主に大型・流動性の高い銘柄に恩恵があり、VNSのような中小型銘柄への直接的な影響は限定的と考えられる。しかし、ベトナム市場全体への資金流入が拡大すれば、間接的に中小型株にも波及する可能性はある。

日本企業の視点では、ベトナムの伝統的タクシー業界の構造変化を象徴する事例として、モビリティ分野への進出や提携を検討する際の参考情報となるだろう。


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出典: 元記事

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