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4月24日のベトナム株式市場は、VN-Indexが前日比0.91%安(17.07ポイント減)で取引を終えた。主力大型株が軒並み売られる一方、中小型株には散発的な押し目買いが入り、市場の「二極化」が鮮明となった。さらに外国人投資家が1日で1,935億ドンもの大規模な売り越しを記録し、連休前のリスク回避姿勢が強まっている。
午後に崩れたVN30、大型3銘柄だけで14ポイント押し下げ
午前の取引終了時点ではVN-Indexの下落幅は0.43%(7.95ポイント減)にとどまっていたが、午後に入ると主力銘柄への売り圧力が急速に強まった。特にダメージが大きかったのは以下の3銘柄である。
- VIC(ビングループ/ベトナム最大手コングロマリット):午前からの下落に加え午後さらに1.94%下落し、終値は前日比1.12%安
- VHM(ビンホームズ/ビングループ傘下の不動産最大手):午後にさらに1.94%下げ、終値は5.23%もの大幅安
- VCB(ベトコムバンク/ベトナム最大の国有商業銀行):午前に1.91%安、午後にさらに1.62%下落し、終値は3.5%安
この3銘柄だけでVN-Indexを14ポイント以上押し下げた計算となり、指数全体の下落17.07ポイントの8割以上を占めた。国有銀行グループではVCBに加え、CTG(ベトインバンク)やBID(BIDV)も午後に下げ幅を拡大。いずれも取引量が増加しながらの下落であり、明確な売り圧力の存在が確認された。
中小型株に押し目買い、ただし薄商いゆえの「見かけの強さ」に注意
興味深いのは、VN30銘柄群が総崩れとなる中、市場全体の騰落銘柄数は午後にかけてむしろ改善した点である。午前は上昇92銘柄・下落195銘柄だったが、終値では上昇135銘柄・下落188銘柄へと持ち直した。HoSE(ホーチミン証券取引所)では1%以上上昇した銘柄が73に達し、午前の41から大幅に増加している。
午後のHoSE全体の売買代金は約2,063億ドンで午前比27%増加したが、VN30銘柄が占めたのは922億ドンにとどまり、残りは中小型株が牽引した形である。ミッドキャップで目立った動きを見せたのは以下の銘柄だ。
- NVL(ノバランド/不動産開発大手):+1.3%、売買代金640.9億ドン
- TCH(ホアンフーグループ):+2.34%、255.5億ドン
- DXG(ダットサイン不動産):+2.76%、171.3億ドン
- GMD(ジェマデプト/港湾物流大手):+1.08%、168.8億ドン
- VCK:+2.96%、103.8億ドン
ただし記事が指摘する通り、73の上昇銘柄のうち売買代金が10億ドンを超えたのは25銘柄、100億ドン超はわずか10銘柄にすぎない。多くの中小型株は数百万〜数十億ドン程度の薄商いであり、少数の買い注文で価格が動いてしまう「見かけの強さ」である点には留意が必要である。
VN30で気を吐いた銘柄:銀行・航空・エネルギー
VN30構成銘柄で1%以上上昇したのは6銘柄で、高流動性銘柄が中心であった。
- VJC(ベトジェット航空):+3.2%
- TCB(テクコムバンク):+2.85%(ただし午後の上昇幅は1ティックのみ)
- GVR(ベトナムゴム公社):+2.3%
- GAS(ペトロベトナムガス):+1.16%、売買代金94.1億ドン
- HDB(HDバンク):+1.13%
- PLX(ペトロリメックス):+1.02%
上位5銘柄はいずれも売買代金が100億ドンを超えており、一定の実需を伴った上昇といえる。
外国人投資家が1,935億ドンの大幅売り越し
この日最も警戒すべきデータは、外国人投資家(khối ngoại)の動向である。午前時点で802.6億ドンの売り越しだったが、午後にはさらに加速し1,132億ドン超の売り越しとなった。1日合計では1,935億ドンの売り越しで、直近7営業日で最大の規模である。
主な売り越し銘柄は以下の通りだ。
- FPT(FPTコーポレーション/ベトナム最大のIT企業):▲416.5億ドン
- ACB(アジア商業銀行):▲278.5億ドン
- VCB:▲240.7億ドン
- VHM:▲131.5億ドン
- MSB(海事商業銀行):▲106.7億ドン
- VNM(ビナミルク/ベトナム最大の乳業メーカー):▲99.4億ドン
- MWG(モバイルワールド/家電量販大手):▲83.6億ドン
一方、買い越し側で目立ったのはTCBの+34.3億ドン程度にとどまり、売り一色の展開であった。
連休リスクと超低流動性:全市場の売買代金は1兆8,106億ドンに急減
HoSEとHNX(ハノイ証券取引所)を合わせた1日の売買代金は1兆8,106億ドンで、前日比36%減、直近13営業日で最低水準となった。背景にはベトナム特有の祝日事情がある。翌週は2営業日のみで再び4連休に入るため、投資家がポジション縮小に動いているのである。加えて中東情勢の緊張激化という外部リスクもあり、「休むも相場」の姿勢が市場全体を支配している。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の市場動向からは、いくつかの重要な示唆が読み取れる。
第一に、大型株への売り圧力は構造的である可能性がある。VIC・VHM・VCBといった時価総額トップクラスの銘柄が出来高増加を伴いながら下落している点は、単なる連休前の調整とは言い切れない。特にVHMの5%超の下落は、不動産セクター全体の先行きに対する市場の懸念を映している可能性がある。
第二に、外国人の売り越しトレンドの継続は、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げ判断にも影を落としかねない。市場の流動性低下と外国人の資金流出が続けば、格上げに向けた「市場の質」に対する評価にマイナス材料となるリスクがある。ベトナム当局が進めるKRX新取引システムの導入やプレファンディング規制の緩和といった制度改革が、実際に資金流入につながるかが今後の焦点である。
第三に、中小型株への投機的な押し目買いは、個人投資家中心の短期売買であり、持続性は乏しい。薄商いの銘柄で数ティックの値幅を狙う動きは、市場全体のトレンド転換を意味するものではない。日本からベトナム株に投資する場合、こうした流動性リスクの高い銘柄への安易なエントリーには十分な注意が必要である。
ベトナムに進出している日本企業にとっては、VND建て資産の評価や現地パートナー企業の株価動向を注視する局面といえる。特にFPTは日本企業向けのオフショア開発で存在感を増しており、同社株への外国人売り越しが416.5億ドンと突出している点は、短期的な需給悪化として認識しておくべきだろう。
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