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ベトナム株式市場で外国人投資家が1,948.2億ドンの売り越しを記録し、VN-Indexは17ポイント下落して1,253.29ポイントで週末の取引を終えた。長期連休を控えた慎重ムードのなか、主力銘柄が軒並み下落し、市場全体に売り圧力が広がった格好である。
主力銘柄の同時下落がVN-Indexを直撃
注目すべきは、前週まで指数を支えてきた主力銘柄群が一斉に崩れた点である。ビングループ傘下のVIC(ビンコム・インダストリーズ)が1.12%安、VHM(ビンホームズ、ベトナム最大手不動産デベロッパー)が5.23%の大幅安、VPL(ビンパール)が2.4%安、VRE(ビンコム・リテール、大型商業施設運営)が0.86%安となり、この4銘柄だけでVN-Indexを11ポイント押し下げた。いわゆる「表面は緑(上昇)、中身は赤(下落)」という見かけ倒しの相場構造すら維持できなくなった状況である。
さらに銀行セクターの大型株であるVCB(ベトコムバンク、ベトナム最大の国営商業銀行)、BID(BIDV)、CTG(ベトインバンク)、VPB(VPバンク)も揃って下落し、共振効果によって指数の下げ幅が拡大した。市場全体の値幅を見ても、下落銘柄188に対し上昇銘柄135と、売りが優勢な展開であった。
金融セクター全面安、短期資金の撤退鮮明に
金融セクターでは大型銀行株に加え、STB(サコムバンク)、MBB(MBバンク)、LPB(リエンベト・ポストバンク)、ACB(アジア商業銀行)といった中堅銀行株、さらにTCX、SSI(サイゴン証券)、VCI(ベトキャピタル証券)など証券株も軒並み下落した。短期資金がリーディング銘柄から一斉に引き揚げている構図が鮮明であり、市場を下支えする構造自体が脆弱化している。
局所的な買いも—株主総会シーズン銘柄と中小型不動産株に資金流入
一方で、株主総会シーズンに固有の材料を持つ銘柄群には買いが入った。TCB(テクコムバンク)、HDB(HDバンク)、BVH(バオベト・ホールディングス、ベトナム最大の保険グループ)、VCK(ビンコム・キャピタル)などは上昇を維持した。
不動産セクターでは明確な二極化が進んでいる。大型株が利益確定売りに押される一方、NVL(ノバランド)、VPI(バンフーインベスト)、DXG(ダットシン・グループ)、PDR(ファットダット・リアルエステート)といった中小型株に資金がシフトしている。
小売・消費セクターはMWG(モバイルワールド、家電・携帯小売最大手)、MCH、VNM(ビナミルク)、MSN(マサングループ)、SAB(サイゴンビール)、PNJ(フーニュアンジュエリー)、FRT(FPTリテール)が下落し、消費見通しへの慎重姿勢が色濃く反映された。
わずかな明るい材料としては、原油価格の反発を受けてGVR(ベトナムゴム)、GAS(ペトロベトナムガス)、PLX(ペトロリメックス)といったエネルギー・石油ガス銘柄に資金が流入した点が挙げられる。
外国人投資家の売買動向
外国人投資家は合計1,948.2億ドンの売り越し。板取引(マッチング取引)ベースでは1,836.2億ドンの売り越しとなった。
板取引ベースの買い越し上位銘柄は、TCB、VPI、SSI、VJC(ベトジェット航空)、MBB、VRE、NVL、HCM(ホーチミン市証券)、TCH、VPLなど。セクター別では旅行・レジャーおよび証券が買い越しとなった。
一方、売り越しの中心は銀行セクターで、FPT(ベトナム最大手IT企業)、ACB、VCB、VHM、VNM、HDB、MSN、CTG、PNJが売り越し上位に並んだ。FPTが外国人売り越しトップに来ている点は、テクノロジー株への外国人のポジション調整として注視すべきである。
国内投資家の動向—個人が買い向かい、機関も大幅買い越し
国内個人投資家は1,046.8億ドンの買い越し(板取引ベースでは940.3億ドン)。板取引では18業種中13業種で買い越しとなり、銀行セクターが中心であった。買い越し上位はACB、FPT、VCB、VIC、VNM、MWG、VJC、HPG(ホアファット・グループ、ベトナム最大の鉄鋼メーカー)、BSR(ビンソン精油)、CTG。売り越しはNVL、TCB、GEL、SSI、STBなどで、産業サービスやエネルギー関連が中心であった。
自己売買部門(プロップトレーディング)は総合で88.8億ドンの売り越しだが、板取引ベースでは184.6億ドンの買い越し。HPG、MWG、MSN、FPT、VNM、KBC(キンバック都市開発)、VCBなどを買い越した一方、TCB、MBB、VICなどを売り越した。
国内機関投資家は977.1億ドンの買い越し(板取引ベースで711.3億ドン)。FPT、VHM、HDB、NVL、VCBなどを買い越し、VJC、HPG、VICなどを売り越した。
大口取引(相対取引)にも注目
相対取引(ブロックトレード)の総額は2,630.7億ドンで前日比3.4%減、全取引額の12.4%を占めた。特に注目されるのはSHB(サイゴン・ハノイ銀行)で約3,640万株・551.3億ドン相当が国内の個人・機関間で取引された。またMSB(ベトナム海洋商業銀行)でも1,270万株超・160.4億ドン相当が国内個人間で売買されている。
板取引ベースの資金配分では、大型株(VN30)と小型株(VNSML)への配分比率が上昇した一方、中型株(VNMID)への配分が減少した。全体の売買代金は約2兆1,000億ドンにとどまり、資金が様子見姿勢を崩していないことが如実に表れている。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の相場下落は、長期連休を前にしたポジション調整という季節的要因が大きい。しかし、外国人投資家による約2,000億ドン規模の売り越しが継続している点は、より構造的な課題を示唆している。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2025年9月にも正式決定が見込まれるFTSEの新興市場格上げは、中長期的にはベトナム市場への大規模な資金流入をもたらすとされる。しかし格上げ前の現段階では、外国人投資家がETFリバランスに先回りしてポジションを組み替えている可能性がある。FPTやVCBといったFTSE構成銘柄候補が売り越し上位に入っていることは、既存ポジションの利益確定と再配置の動きとも読み取れる。
市場構造の変化:大型主力株から中小型株への資金シフトは、ベトナム市場特有の「ローテーション相場」の一環である。不動産セクターにおけるNVLやDXGへの資金流入は、これら企業の債務再編進展や新規プロジェクト認可といった個別材料を反映している。ただし中小型株は流動性が低く、連休明けに外国人売りが加速した場合にはボラティリティが急拡大するリスクがある。
日本企業・投資家への示唆:ベトナムに進出している日系製造業・小売業にとって、VNMやMWGといった消費関連株の弱さは、ベトナム国内消費の減速懸念を映している可能性がある。一方でエネルギー関連株の堅調さは、ベトナムのインフラ投資需要が底堅いことの証左でもあり、LNG関連やエネルギーインフラ分野で日本企業のビジネス機会は依然として大きい。
連休明けの市場では、米中関税交渉の進展や原油価格の動向が外国人投資家の売買姿勢を左右する鍵となる。2兆1,000億ドンという低調な売買代金が示す通り、市場参加者の多くは様子見を続けており、方向感が出るまでには時間を要する可能性が高い。
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