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ハノイ証券取引所(HNX)は、不動産企業AAV Group(銘柄コード:AAV)の株式を2026年5月15日付で強制上場廃止とすることを発表した。3年連続の赤字が理由であり、同時にHEV、IDJ、ECI、API、BNAなど複数銘柄にも「警告(cảnh báo)」措置が講じられた。ベトナム株式市場における上場維持基準の厳格な運用が改めて浮き彫りとなった格好である。
AAV Group——3年連続赤字で強制退場
HNXの発表によると、AAV Groupの上場株式6,898万7,661株は2026年5月15日をもって上場廃止となる。最終取引日は同年5月14日である。
上場廃止の根拠は、政府議定155/2020/NĐ-CP第120条第1項e号(議定245/2025/NĐ-CPによる改正後)に基づく強制上場廃止規定だ。具体的には、連結監査済み財務諸表における親会社の税引後利益が直近3年間(2023年、2024年、2025年)連続で赤字であったことが要件に該当する。
AAV Groupが公表した数値は以下の通りである。
- 2023年:税引後損失 約173億ドン(親会社ベース:▲169.3億ドン)
- 2024年:税引後損失 約157.5億ドン(親会社ベース:▲156.8億ドン)
- 2025年:税引後損失 約210億ドン(親会社ベース:▲214.7億ドン)
赤字の主因は、ベトナム不動産市場および金融・信用市場の長期低迷にある。流動性の低下が販売進捗と売上計上に直接的な打撃を与えたとされる。
AAV Groupとは何者か
AAV Groupは2010年4月に設立された多角経営企業で、本社はハイズオン省(ベトナム北部の工業省)チーリン市に所在する。主力事業は不動産開発であり、チーリン市内のショッピングセンターや住宅地区、ハイズオン市内のマンション・住宅プロジェクトなどを手掛けてきた。今後もコンソンリゾート、墓園公園「ホアラックヴィエン」、外国人向け高級サービスアパートメントなどの開発計画を公表しているが、足元の財務状況を考えれば実現性には大きな疑問符がつく。
警告・管理銘柄も続々——HNXの一斉処分
AAVの上場廃止と同時に、HNXは以下の銘柄に対しても措置を講じた。
【新規警告(cảnh báo)指定】
- HEV(大学・職業訓練教科書会社):2025年末時点の未処分利益が赤字、監査意見が「限定付き適正」、2025年度監査済み財務諸表の提出が15日超の遅延
- IDJ(IDJベトナム投資):2025年度監査済み財務諸表(個別・連結)の提出遅延(15日超)
- ECI(ECIグループ):同上の提出遅延
- API(アジア太平洋投資):同上の提出遅延
- BNA(バオゴック投資グループ):同上の提出遅延。さらに4月29日より信用取引(マージン取引)禁止銘柄に指定。2025年上半期の親会社税引後利益が赤字であることも理由に挙げられた
【警告・管理措置の維持】
- DDG(インドシナ工業輸出入投資):財務諸表提出遅延および2024年末の未処分利益が赤字
- FID(ベトナム企業投資開発):同様の理由で警告維持
- GKM(GKM Holdings):2年連続(2024年・2025年)の財務諸表提出遅延違反により「管理(kiểm soát)」維持
- AMV(ベトミー医薬・医療機器):2年連続提出遅延に加え、2023年・2024年の連結財務諸表で限定付き監査意見を受けており「管理」維持
投資家・ビジネス視点の考察
今回の一斉処分は、ベトナム証券市場における上場維持基準の厳格化を如実に示すものである。以下の点に注目したい。
1. 不動産セクターの淘汰が加速:AAVの退場は、2022年以降のベトナム不動産信用危機の「尾」がいまだ市場に残っていることを意味する。中小不動産デベロッパーの経営体力が限界に達しつつあり、上場廃止や経営破綻が今後も散発的に続く可能性がある。
2. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に判定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向け、ベトナム当局は市場の透明性・ガバナンス向上に注力している。財務諸表の提出遅延や赤字継続銘柄への厳格な対応は、こうした文脈の一環と読むことができる。市場浄化は短期的にはネガティブに映るが、中長期的には海外投資家の信頼獲得につながるポジティブな動きである。
3. 日本人投資家への示唆:HNX上場の中小型株は情報開示が限定的な銘柄も多い。今回警告を受けたIDJやECIなど、日本の個人投資家が保有しているケースもあり得る。財務諸表の提出遅延は「黄信号」であり、該当銘柄を保有している場合は速やかに状況を確認すべきである。上場廃止後はUPCoM(未上場公開企業市場)へ移管される可能性があるが、流動性は大幅に低下するため注意が必要だ。
4. 日本企業への影響:ハイズオン省は日本企業の工業団地進出が多い地域であるが、AAV Groupの事業は地場向け不動産開発が中心であり、日本企業への直接的な影響は限定的と見られる。ただし、不動産セクター全体の信用収縮が地方経済に波及するリスクには留意すべきである。
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