ベトナム政府が知的財産権侵害の集中取締りを発令—違法映画・音楽・ゲームサイト壊滅へ

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ベトナム政府は2026年5月5日、知的財産権侵害に対する全国一斉の集中取締りを命じる公電第38号を発出した。違法な映画・音楽・ゲーム配信サイトの壊滅を主眼に、5月7日から30日までの約3週間にわたり「聖域なし、例外なし」の姿勢で臨む。FTSE新興市場指数への格上げを控えるベトナムにとって、知的財産保護の強化は投資環境整備の観点からも極めて重要な一手である。

目次

公電の概要——ホー・クオック・ズン副首相が署名

ホー・クオック・ズン(Hồ Quốc Dũng)副首相が署名した公電第38号(38/CĐ-TTg)は、近年の知的財産権保護において一定の前進があったことを認めつつも、一部の分野・地方では依然として侵害行為が複雑化しており、投資・ビジネス環境や国民・企業の正当な権利に大きな悪影響を及ぼしていると指摘した。これを受け、首相は各省庁および省・中央直轄市の人民委員会に対し、関連法規の同期的かつ効果的な執行を求めた。

取締り期間と重点対象

集中取締り期間は2026年5月7日から5月30日までの約24日間。全国規模で関係機関が総力を挙げ、知的財産権侵害行為の摘発・阻止・処分に当たる。「聖域なし、例外なし」(không có vùng cấm, không có ngoại lệ)という強い表現が用いられており、政府の本気度がうかがえる。

各省庁に割り振られた具体的な役割

公安省(Bộ Công an)——主導機関

公安省が今回の取締りの主管機関となる。関連省庁と連携し、著作権・著作隣接権・商標・地理的表示に関する重大な侵害事案の確認・捜査・起訴を進める。特に注力するのが、アクセス数の多い違法オンラインサイトおよびその運営組織の壊滅である。ベトナム語だけでなく外国語、とりわけ英語で提供される違法映画、音楽、モバイルゲーム、テレビ番組の配信サイトが重点ターゲットとして明記された。ベトナム発の海賊版サイトが国際的にも問題視されてきた背景があり、英語サイトへの言及は米国通商代表部(USTR)の「スペシャル301条報告書」などでの指摘を意識したものとみられる。

文化・スポーツ・観光省(Bộ Văn hóa, Thể thao và Du lịch)

企業におけるコンピュータプログラムの著作権遵守状況、およびオンライン環境における映画・音楽・テレビ番組・ゲームの著作権遵守状況について検査を実施する。重大な違反案件については即時処分または管轄機関への移送を行い、処分件数を2025年5月比で少なくとも20%増加させることが数値目標として設定された。

商工省(Bộ Công Thương)および各省・市の人民委員会

市場管理部隊(quản lý thị trường)に対し、関係機関との緊密な連携のもとで知的財産権侵害案件、とりわけ産業財産権の侵害や商標偽造品の取締り強化を指示。こちらも処分件数を2025年5月比で少なくとも20%増加させることが義務づけられた。

財務省(Bộ Tài chính)

税関部隊に対し、国境を通過する輸出入貨物の検査を強化するよう指示。知的財産権を侵害する偽造品であることが明白な場合には、主体的に通関手続きを一時停止する権限が明記された。一時停止および処分件数についても2025年5月比で少なくとも20%増が求められている。

取締り後の評価

公電によれば、各省庁・機関・地方は集中取締り期間終了後の2026年5月30日以降、実施状況の総括・評価を行うこととされている。短期集中型の取締りではあるが、その結果を踏まえた継続的な制度改善が想定される。

背景——なぜ今、知的財産権の集中取締りなのか

ベトナムはこれまで米国のUSTRによる「優先監視国(Priority Watch List)」に長年掲載されてきた。違法な映画・音楽配信サイトの乱立は国際社会から繰り返し指摘されており、特にベトナム発の大手海賊版サイトが東南アジア全域にコンテンツを配信するケースが問題視されてきた。

また、ベトナムは2023年にCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の義務履行を本格化させており、知的財産権保護は通商面での国際的信用に直結する。EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)においても、知的財産権の保護強化は重要な義務事項の一つである。

さらに、ベトナム国内のデジタルコンテンツ市場は急成長を遂げており、正規のストリーミングサービスや国内ゲーム産業の発展を阻害する海賊版の存在は、産業政策上も看過できない段階に入っている。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の取締り強化は、複数の観点から投資家にとって注目に値する。

第一に、FTSE新興市場指数への格上げとの関連性である。2026年9月に最終判断が見込まれるFTSE格上げにおいては、市場のガバナンスや法制度の透明性が評価対象となる。知的財産権保護の実効性向上は、ベトナムが「制度面でも新興市場にふさわしい」ことを国際社会に示す重要なシグナルとなり得る。

第二に、デジタルコンテンツ・エンターテインメント関連銘柄への追い風である。海賊版サイトの壊滅が進めば、正規のストリーミングプラットフォームやゲームパブリッシャーの収益改善につながる可能性がある。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場するFPTコーポレーション(FPT)傘下のデジタルコンテンツ事業や、VNGコーポレーション(VNZ)のゲーム・音楽配信事業にとってはポジティブな材料となろう。

第三に、日本企業への影響である。日本のコンテンツホルダー(アニメ、マンガ、ゲーム、音楽)にとって、ベトナムは巨大な潜在市場であると同時に海賊版被害の深刻な地域でもあった。今回の取締りが実効性を伴えば、日本企業のベトナム市場向け正規ライセンスビジネスの拡大が期待できる。また、ベトナムに製造拠点を持つ日本の消費財メーカーにとっても、商標偽造品の取締り強化は歓迎すべき動きである。

第四に、税関での水際対策強化は、ベトナムを経由する模倣品の国際流通の抑制につながる。これは「チャイナ・プラスワン」としてベトナムに生産拠点を構える外資企業全般にとって、ブランド保護の面でプラスに作用する。

一方で留意すべき点もある。過去にもベトナム政府は知的財産権保護の強化を打ち出してきたが、地方レベルでの執行能力の不足や、取締り後の継続性に課題が残ることが多かった。今回の公電では各分野で「前年同月比20%増」という数値目標が設定されており、成果の可視化を意識した点は評価できるが、集中取締り期間終了後に実効性が持続するかどうかが真価の分かれ目となるだろう。


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出典: 元記事

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