ベトナム株、MSCIウォッチリスト入りが現実味を帯びてきた
ハノイで暮らしていると、街の変化が数字より先に体に入ってくる感覚があります。ロッテセンター周辺のオフィスビルが増え、タイ湖沿いには小洒落たカフェが続々とオープンし、「外国人が投資する市場」としてのベトナムが、年々リアルになってきた。
そのベトナム株式市場が、いよいよ本格的な次のステージに向かいつつあります。
MSCIのウォッチリスト入り、18項目中17項目がクリア水準
SSIリサーチが2026年5月に発表したレポートによると、ベトナム株式市場は2026年6月のMSCI見直しで、格上げ候補リスト(ウォッチリスト)に選定される可能性が高いとのこと。
MSCIが定める市場アクセスの18項目のうち、現在17項目が基本要件を満たす水準に近づいています。残る1項目は「外国為替市場の自由化」ですが、レポートはこれを「絶対的な障壁ではない」と評価しています。実際、現在のMSCI新興国市場に含まれる国の多くも、この基準を完全には満たしていないとのことで、ここは過度に心配しなくていいのかもしれません。
重要な進展として挙げられているのが、以下の3点です。
- 非事前資金調達メカニズムの実効的な運用
- 中央清算機関(CCP)の導入
- VN30先物を通じたショートポジションツールの拡大
さらに、英語での情報開示の質が向上し、外国人所有上限(FOL)についても、新規上場の大型株が最大100%枠を適用したことで、実際の外国人所有比率が4月時点で46%まで上昇しています。
VN指数は4月に10.7%上昇。ただし上昇の中身を見ると…
3月に約11%下落した後、4月は4週連続で上昇、合計10.7%の回復を見せました。これは2015年8月以来最大の上昇幅です。
ただ、SSIリサーチも指摘しているように、この上昇はビングループなど大型不動産株に集中しており、同グループを除外するとほぼ横ばい。外国人投資家は依然として売り越しを続けており、「数字の回復=市場全体の回復」とは言いにくい状況です。
上がっている銘柄と上がっていない銘柄の差が大きい。これが今の市場の正直な姿だと思います。
2026年第1四半期の企業業績は堅調
それでも、企業のファンダメンタルズは悪くありません。上場企業の総収益は前年同期比約20%増、純利益は34%以上増加。銀行と不動産が牽引役で、消費財・小売・テクノロジーにも改善の兆しが出ています。
バリュエーション面では、市場全体の予想PERは約13.2倍、ビングループ除きで約10.3倍。アップグレードというストーリーを加味すれば、選択的に仕込む余地はまだあるというのがSSIの見立てです。
まとめ:ウォッチリスト入りは「通過点」、本番はその先
6月のMSCIウォッチリスト入りが実現しても、それは新興国市場への正式な格上げではなく、候補リストへの掲載です。実際の格上げはその後の審査を経て決まります。
ただ、「候補リストに載った」という事実だけで、ベトナム市場への注目度が高まり、海外資本の流入期待が先行して動くことはあり得る。FTSEラッセルによる9月からの新興国格上げと合わせて、2026年後半のベトナム株は、少なくとも「無視できない市場」になってきています。
ハノイの現地人として正直に言うと、まだ熱狂とは程遠い。でも、確実に潮目は変わってきている気がしています。












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