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日本のロート製薬のベトナム現地法人であるRohto-Mentholatum(Vietnam)が、設立30周年を記念し、全国から400社超の戦略パートナーを集めた大規模な会議を開催した。薬用化粧品(ダーモコスメ)市場が急速に変革する中、同社がベトナムにおける流通網の強化と長期的パートナーシップの構築に本腰を入れている姿勢が鮮明となった。
設立30周年の節目に開催された戦略パートナー会議
Rohto-Mentholatum(Vietnam)有限会社は2026年4月10日、ホーチミン市のVinpearl Landmark 81(ベトナム最高層ビル内の高級ホテル)グランドボールルームにて、「戦略パートナー同行会議」と題した大型イベントを開催した。午後2時から夜9時まで7時間にわたって行われたこの催しは、同社の設立30周年記念事業の一環として位置づけられている。
ロート製薬は1996年にベトナムに進出しており、目薬のブランドで圧倒的な知名度を築いた後、スキンケア・日焼け止め・リップクリームなど薬用化粧品分野へと事業領域を拡大してきた。30年という節目は、日系消費財メーカーのベトナム市場における長期コミットメントを象徴するものである。
全主要流通チャネルが一堂に会する異例の規模
今回の会議に参加した400超の戦略パートナーは、ベトナムの薬用化粧品流通を網羅する極めて多様な顔ぶれであった。具体的には以下の各チャネルから代表が集結した。
大手薬局チェーン:Long Châu(ロンチャウ、FPTリテール傘下でベトナム最大級の薬局チェーン)、Pharmacity(ファーマシティ)、An Khang(アンカン、モバイルワールド傘下)、Trung Sơn(チュンソン)、Dược Vương(ズオックヴオン)、MedXなど。
ヘルス&ビューティー・化粧品小売チェーン:Guardian(ガーディアン)、Watsons(ワトソンズ)、Hasaki(ハサキ、ベトナム発の人気コスメチェーン)、Medicare(メディケア)、Sociolla(ソシオラ)、Nuty、Sammishop、Thế Giới Skinfood、Beyond K、Glamなど。
スーパーマーケット・近代小売(MT):AEON(イオン)、Lotte Mart(ロッテマート)、Co.opmart(コープマート、ベトナム最大の国内スーパー)、Big C、Emart(イーマート)、Mega Market、An Namなど。
コンビニエンスストア(CVS):Circle K、GS25、Ministop、FamilyMart、B’smartなど。
Eコマース・デジタルパートナー:TikTok Shop、TikTok Office、KOL/KOC(インフルエンサー)、ブランドアンバサダーなど。
これほど多様なチャネルパートナーが一堂に会する機会は、ベトナムの消費財業界でも異例の規模であり、同社の流通戦略の幅広さを如実に示している。
イベントの構成——30年の歩みと未来戦略
イベントは2部構成で実施された。第1部は「30年の旅を体験する——RohtoのDNAを解読する」と題された体験型セッションで、同社の発展を支えた5つのコアバリューを「5つのタッチポイント」として表現した。具体的には、①信頼(億の信頼に触れる)、②つながり(同行の力)、③ニーズへの洞察(理解して先導する)、④社会貢献(コミュニティへの責任)、⑤未来志向(億の心に触れる)という構成で、「人を中心に据える」という同社の経営哲学を体現するものであった。
第2部は戦略パートナー会議の本体で、2026年の市場動向アップデート、ビジネス転換に関する政策説明、専門家やパートナーを交えたパネルディスカッション、Rohto側からの協業戦略と具体的ソリューションの提示、運営支援ツールの紹介、そして戦略的協力協定の調印式が行われた。同社の白松弘文(しらまつ・ひろふみ)総経理(CEO)も各パートナーと積極的に交流し、記念撮影に応じる姿が報じられている。
投資家・ビジネス視点の考察
本件は直接的な株価材料というよりも、ベトナム消費財市場の構造変化を読み解く上で重要な示唆を含んでいる。
薬用化粧品市場の急成長:ベトナムでは中間層の拡大と美容意識の高まりを背景に、ダーモコスメ(薬用化粧品)市場が急速に拡大している。ロート製薬がこれだけ大規模にパートナー戦略を展開していること自体が、同市場の成長ポテンシャルの高さを裏付けている。
オムニチャネル化の加速:薬局チェーンからTikTok Shopまでを一括で戦略パートナーに位置づけている点は、ベトナム小売市場のオムニチャネル化がいかに進んでいるかを示す好例である。特にTikTok ShopやKOL/KOCといったソーシャルコマースチャネルが、大手メーカーの正式な流通パートナーとして扱われている点は注目に値する。
日本企業のベトナム戦略への示唆:ロート製薬の30年にわたるベトナムコミットメントは、日系消費財メーカーにとって一つのモデルケースである。東京証券取引所上場のロート製薬(4527)にとって、ベトナムは海外事業の重要拠点の一つであり、同社の海外売上比率の動向を注視する価値がある。
FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、ベトナム国内の消費関連銘柄への海外資金流入が期待される。FPTリテール(Long Châuを運営)やモバイルワールド(An Khangを運営)といった小売関連上場企業の評価にもプラスに働く可能性がある。ロート製薬のような外資系企業がベトナム市場への投資を加速させていること自体、同国市場の魅力を国際的に裏付ける材料となる。
ベトナムの薬用化粧品・消費財市場は、人口約1億人の若い消費者層と急速なデジタル化を背景に、今後も高い成長が見込まれる分野である。日系企業の存在感が大きいこの領域の動向は、引き続き注視していきたい。
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