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ベトナムをはじめ東南アジア各国で、SNS発の新たなコーヒートレンド「クラウドコーヒー(cà phê mây)」が急速に広がっている。TikTok上のハッシュタグ「#cloudcoffee」は460万投稿を突破し、夏場の健康志向ドリンクとして注目度が急上昇中である。ベトナムのカフェ文化や飲料市場に関心を持つ投資家にとっても、見逃せない消費トレンドの変化である。
「クラウドコーヒー」とは何か——ココナッツウォーター×エスプレッソの新潮流
「クラウドコーヒー」は、冷たいココナッツウォーターと氷をグラスに注ぎ、その上に濃いめのエスプレッソを1ショット加えるだけのシンプルなドリンクである。完成すると二層の美しいグラデーションが生まれ、見た目のインパクトがSNS映えする。味わいはコーヒーの香ばしさを保ちながらも、従来のブラックコーヒーやベトナム式練乳コーヒー(cà phê sữa đá)と比べて格段に軽やかで爽快感がある。
TikTokでは「#coconutcoffee」のハッシュタグも1万1,500件の投稿を集めており、特に「#FoodTok」コミュニティを中心にバイラル的に拡散している。コロナ禍に世界的ブームとなった「ダルゴナコーヒー」の後継トレンドとも位置づけられている。
なぜ人気なのか——「覚醒」と「水分補給」を同時に満たす合理性
クラウドコーヒーが支持される最大の理由は、朝の二大ニーズを一杯で満たせる点にある。睡眠後の体は軽い脱水状態にあり、通常のブラックコーヒーだけでは口の渇きや胃のムカつきを感じる人も少なくない。一方、ココナッツウォーターにはカリウム、ナトリウム、マグネシウムといった天然の電解質が豊富に含まれ、水分補給を効率的にサポートする。
カフェインと組み合わせることで、エネルギー補給と水分補給を同時に実現でき、砂糖や練乳を多用する従来のベトナムコーヒーと比較してカロリーも抑えられる。朝のジョギング愛好家、早朝出勤のオフィスワーカー、健康志向のライフスタイル層に特に人気が高い。
健康アプリ「Lose It!」の栄養ディレクターであるアナ・スミス氏は「このアイスド・ココナッツアメリカーノは、水分を保ちながらコーヒーを楽しむ面白い方法だ。夏場は発汗量が増えるため、電解質を補給することで脱水予防や代謝の維持、全体的な健康サポートにつながる」と評価している。
アレンジの幅広さと自宅での手軽さ
クラウドコーヒーの魅力のひとつは、特別な機材を必要としない手軽さにある。新鮮なココナッツウォーター、氷、そして市販のコーヒーがあれば自宅で簡単に再現できる。エスプレッソの代わりにコールドブリュー(水出しコーヒー)を使えばよりまろやかな仕上がりになり、レモンを数滴加えれば清涼感がさらに増す。
カリフォルニア州のメンドシーノ・フード・コンサルティング社に所属する食品科学者のブライアン・クオック・レ博士は、米フォックス・ニュース・デジタルの取材に対し「この飲み物はダルゴナコーヒーに似ているが、牛乳の代わりにココナッツウォーターを使う点が異なる。実際にはココナッツウォーターを水、アーモンドミルク、オーツミルクなど様々な素材に置き換えることも可能だ」と述べている。また同博士は、市販のココナッツウォーターを選ぶ際には「無糖(no added sugar)」と明記された製品を選ぶべきだと助言し、低カロリーを求めるなら無糖アーモンドミルク(1カップあたり約30〜40カロリー)、たんぱく質を重視するなら無糖の牛乳や豆乳が好適だと推奨している。
栄養面の評価と注意点——ベトナムの医師も見解
ホーチミン市皮膚科病院(Bệnh viện Da liễu TP.HCM)臨床第2科のレ・ヒュウ・ホアン・カイ医師によると、砂糖をスプーン2杯加えた約470mlのクラウドコーヒー1杯は、約150キロカロリー、たんぱく質5g、カフェイン120mgを含み、通常のコーヒー1杯とほぼ同等の成分である。適度に摂取する分には「栄養面で悪くない選択肢」とされる。
脂肪分の多いクリームの代わりに牛乳で泡立てれば、たんぱく質を追加で摂取できる。たんぱく質はカフェインの吸収を緩やかにし、エネルギーの持続性を高めるとともに、心拍数の上昇や血圧上昇といった副作用を抑える効果が期待できる。
ただし注意すべき点もある。カフェインを含むため、過敏性腸症候群や高血圧の患者には不向きである。また、ダルゴナ風のクリーム部分には砂糖が多く含まれがちで、過剰な糖分摂取はコラーゲンに影響を及ぼし肌の老化を促進するリスクがある。コーヒー自体に利尿作用があるため、暑い時期に十分な水を別途摂取しなければかえって脱水を招く可能性もある。カイ医師は「どのような飲み物を選んでも、水(plain water)を十分に飲むことが健康と肌の維持に不可欠だ」と強調している。
カフェイン摂取を控えたい人には、緑茶(カフェイン少量・抗酸化物質豊富)、ハイビスカスティー(カフェインゼロ・血圧サポート)、微量カフェイン入りの炭酸ミネラルウォーター、あるいはプロテインミルクとコーヒーの組み合わせなどが代替選択肢として挙げられている。
投資家・ビジネス視点の考察
このトレンドは一見すると「ただの飲料ブーム」に見えるが、ベトナムの消費市場を読み解く上で複数の示唆を含んでいる。
第一に、ベトナムのカフェ・飲料市場の構造変化である。ベトナムは世界第2位のコーヒー豆輸出国であり、国内のコーヒー消費文化も極めて根強い。しかし近年、練乳たっぷりの伝統的なベトナムコーヒーから、低糖・健康志向のドリンクへと若年層の嗜好が急速にシフトしている。ホーチミン市やハノイを中心にスペシャルティコーヒーチェーンが急増しており、The Coffee House、Highlands Coffee、Phúc Longといった上場・未上場の主要チェーンにとって、こうしたトレンド対応力が競争優位を左右する。
第二に、ココナッツ関連産業への波及効果である。ベトナム南部のベンチェ省(Bến Tre)はココナッツの一大産地であり、ココナッツウォーターやココナッツ加工品の輸出も拡大基調にある。SNS発のトレンドが国内外での需要を一段と押し上げれば、関連企業の業績にプラスに作用する可能性がある。
第三に、SNSマーケティングの影響力の拡大である。TikTokを起点とした消費トレンドは、飲料に限らずファッション、観光、美容などベトナムの内需関連セクター全般に波及する傾向がある。2026年9月に見込まれるFTSE新興市場指数への格上げを控え、ベトナムの内需消費銘柄への海外資金流入が期待される中、こうした消費者行動の変化をリアルタイムで把握することは、銘柄選定の精度を高める上で重要である。
日本企業にとっても、健康志向飲料のベトナム市場投入や、ココナッツ原料の調達先としてベトナムを活用する際のヒントとなるトレンドであろう。
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ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
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