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ベトナムの動物用ワクチンメーカーAVACベトナム(AVAC Việt Nam)が、自社開発の牛ランピースキン病(LSD=Lumpy Skin Disease、viêm da nổi cục)ワクチン110万回分を韓国へ初めて輸出した。ベトナム産の同ワクチンが海外市場に出るのはこれが初めてであり、同国の獣医ワクチン産業にとって画期的な一歩である。
輸出の詳細——韓国政府入札を制す
2026年5月8日午後、フンイエン省(Hưng Yên、ハノイの東約60kmに位置する紅河デルタの省)にあるAVACベトナム本社で、韓国向けワクチン「AVAC LSD LIVE」110万回分の出荷式典が行われた。韓国側の輸入・販売代理店はドンウォンファーマ(Dongwon Pharma Co., Ltd.)である。
AVAC LSD LIVEは、水牛・牛の健康な個体に接種する凍結乾燥弱毒生ワクチンで、接種後約3週間で免疫が形成され、最低12カ月間の防御効果が持続する。5回分、10回分、25回分の各バイアルで提供され、2〜8℃の冷蔵保管が必要、使用期限は製造日から24カ月である。
国際競争を勝ち抜いた背景
AVAC社の総経理(CEO)であるグエン・ヴァン・ディエップ博士(TS Nguyễn Văn Điệp)によれば、韓国ではここ2〜3年でランピースキン病が発生し、政府主導の全国予防接種プログラム向けに大量のワクチン需要が生じていた。今回の韓国政府入札には世界各国から約5社の製造メーカーと14〜15社の入札参加企業が名を連ねたが、AVACは品質面と価格競争力の両面で他社を上回り、供給権を獲得した。
ディエップ博士は「約2年前からこの輸出を見据え、製品の研究開発と品質検定を進めてきた。アフリカおよび欧州にある世界動物保健機関(WOAH、旧OIE)のリファレンスラボラトリーで厳格な試験をクリアしている」と強調した。
ベトナム獣医ワクチン産業の位置づけ
ベトナムは東南アジア有数の畜産国であり、水牛・牛の飼育頭数は約800万頭に上る。国内では2020年頃からランピースキン病が急速に拡大し、政府は国産ワクチン開発を強力に後押ししてきた。AVAC社はその中核企業の一つであり、今回の輸出成功は「ベトナム製ワクチンの国際的な信頼性」を証明する象徴的な出来事である。
ベトナムの獣医用生物製剤産業は、ヒト用ワクチンのナノジェン(Nanogen)やVABIOTECH(ベトナム生物製剤・医学研究所)などが注目を集めてきたが、動物用ワクチンの輸出実績はまだ限定的であった。AVAC社の韓国進出は、ベトナムがバイオ製品の「輸入国」から「輸出国」へ転換しつつあることを示している。
投資家・ビジネス視点の考察
第一に、AVAC社は株式会社(Công ty Cổ phần)であり、今後の業績拡大次第ではベトナム証券取引所への上場やさらなる資金調達の可能性がある。韓国政府との実績は、中東・アフリカなどランピースキン病が蔓延する地域への販路拡大にも直結するため、中長期的な成長ストーリーとして注目に値する。
第二に、ベトナムのバイオ・製薬セクター全体にとってポジティブなシグナルである。ベトナム株式市場では、2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判定を控え、海外投資家の関心が高まっている。今回のような「技術力を背景とした高付加価値輸出」の事例は、ベトナム企業のファンダメンタルズ改善を裏付ける材料として、市場全体のバリュエーション見直しにも寄与し得る。
第三に、日本企業への示唆も大きい。日本の動物薬メーカー(共立製薬、日本全薬工業など)にとって、ベトナムは製造コストの低い生産拠点としてだけでなく、共同研究・技術提携の候補先としても魅力を増している。韓国市場での実績を持つAVACとの協業は、アジア全域でのワクチン供給網構築という観点からも検討に値するだろう。
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出典: 元記事












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