ベトナム健康食品大手Herbitech社長を起訴—偽造品1,290万個製造・マネーロンダリングの全容

Truy tố Giám đốc Công ty Herbitech vì sản xuất hàng giả, rửa tiền
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ベトナム最高人民検察院は、健康食品メーカー「Herbitech(ハービテック)」社の社長ら19名を、偽造品の製造・販売、会計規定違反、マネーロンダリングなどの罪で起訴した。同社は2020年4月から2025年4月にかけて1,290万個超の偽健康食品を製造・販売し、二重帳簿による巨額の脱税、さらにはペーパーカンパニーを使った資金洗浄まで行っていたとされる。ベトナムで拡大する健康食品市場の信頼性を根幹から揺るがす大型事件である。

目次

事件の概要と起訴内容

起訴されたのは、Herbitech社(正式名称:Công ty TNHH Công nghệ Herbitech)の社長ファム・ヴー・キエム(Phạm Vũ Khiêm)被告をはじめとする19名。キエム被告は同社の株式70%超を保有する筆頭株主であり、生産・経営の全権を握っていた。起訴罪名は「食品・食品添加物に該当する偽造品の製造・販売」「重大な結果を招いた会計規定違反」「マネーロンダリング」の3つである。

キエム被告の妻であるチャン・ティ・フエ(Trần Thị Huệ)被告も経営を補佐する立場で偽造品製造・販売および会計規定違反で起訴された。残りの17名は、製品研究、生産計画、品質管理、経理・財務などを担当していた社員で、それぞれ関連する罪で起訴されている。

偽造の手口—成分を削り、書類を偽装

起訴状によると、Herbitech社は健康食品(thực phẩm bảo vệ sức khỏe=日本でいう「健康補助食品」「サプリメント」に相当)の製造を主業としていた。同社は製品の品質基準を当局に届け出ていたが、コスト削減と利益拡大のため、キエム被告の指示のもと、届出内容とは異なる製造処方を使用。具体的には、原材料の成分を削減し、含有量を減らし、あるいは別の安価な原料に差し替えるといった手法がとられた。

公安省(ベトナムの警察に相当)の捜査機関が押収した118ロット・118サンプルを鑑定した結果、67種類の健康食品にわたる87ロットが「偽造品」と認定された。多くの成分がラベル表示値の70%未満しか含有されていなかったためである。

さらに悪質なのは、この不正を隠蔽するために「もう一組」の技術書類を作成し、実際の製造内容を正当化する偽装工作を行っていた点である。品質管理部門も含め組織ぐるみで不正に加担していた構図が明らかになっている。

二重帳簿と巨額脱税—被害額558億ドン超

キエム被告は経理部門に対し、会計ソフト「Misa」(ベトナムで広く使われている国産会計ソフト)上で二重の帳簿を作成するよう指示していた。一方は実際の売上・費用をすべて記録した内部管理用、もう一方は請求書付きの売上のみを計上した税務申告用である。

捜査の結果、2018年から2024年にかけてのHerbitech社の実際の総売上高は3,350億ドン超に上る一方、税務申告上の売上は1,450億ドン超にとどまり、帳簿外の未申告売上は1,900億ドン超に達していた。この脱税行為による国庫への損害額は558億ドン超と認定されている。

なお、偽造品の販売についても、2020年4月から2025年4月の間に1,290万個超の偽健康食品を35社の顧客に対し総額100億ドン超で販売し、不正利益は約14億ドンとされている。

マネーロンダリング—ペーパーカンパニーで不動産取得

犯罪収益の洗浄も行われていた。2023年6月、キエム被告は妻のフエ被告を代表者とする「Herbitech製薬株式会社(Công ty CP Dược phẩm Herbitech)」を設立。この法人を通じてフート省(Phú Thọ、ハノイの北西約80kmに位置する省)イエンクアン工業団地の土地使用権を120億ドン超で取得した。検察はこれをマネーロンダリングと認定している。

現時点で被告らおよび関係者は80億ドン超を弁済しており、捜査機関はキエム被告夫妻名義のマンション2戸を含む資産・不動産を差し押さえている。

投資家・ビジネス視点の考察

本件は上場企業の事案ではないが、ベトナムの健康食品・サプリメント市場全体に対する信頼性の問題として、投資家にとっても無視できないインパクトがある。以下の点に注目すべきである。

1. 健康食品セクターへの規制強化リスク:ベトナムでは経済成長に伴い健康食品市場が急拡大しているが、品質管理体制の脆弱さが繰り返し指摘されてきた。今回の大型摘発を受け、当局が業界全体への監査・規制を強化する可能性が高い。上場している食品・製薬関連企業にもコンプライアンスコスト増として波及し得る。

2. 二重帳簿問題の根深さ:ベトナムの中小企業における二重帳簿は長年の構造的課題である。2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判定に向け、ベトナム当局は市場の透明性向上を急いでいる。今回のような会計不正の摘発は、逆説的にガバナンス改善に向けた当局の本気度を示すシグナルとも読める。外国人投資家にとっては中長期的にポジティブな動きである。

3. 日系企業への示唆:ベトナムで健康食品・サプリメントのOEM製造を委託している日本企業は少なくない。委託先の品質管理体制や会計の健全性を改めて精査する必要がある。本件のように届出と実際の製造処方が乖離するケースは、ブランド毀損リスクに直結する。サプライチェーンのデューデリジェンス強化が急務である。

4. 反腐敗・経済犯罪取り締まりの文脈:ベトナムでは「熔鉱炉(lò đốt)」と呼ばれる反腐敗キャンペーンが継続中であり、経済犯罪への取り締まりも強化傾向にある。今回の事件もその流れの中に位置づけられる。ビジネス環境の浄化は進んでいるが、短期的には企業活動への萎縮効果も考慮すべきである。


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出典: 元記事

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