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ベトナム証券委員会が国有企業の株式上場を加速指示—FTSE格上げ前夜の市場改革が本格化

Uỷ ban Chứng khoán: Đẩy mạnh niêm yết cổ phiếu doanh nghiệp nhà nước
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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ベトナム証券委員会(SSC)が、国有企業に対し株式の上場および取引所への登録を加速するよう求める方針を打ち出した。国有企業の株式公開(IPO)・資本引き揚げ(ディベスチャー)を進めると同時に、その過程で必ず証券取引所への上場・登録を伴うことを義務的に推進するという内容である。2026年9月に控えるFTSE新興市場指数への格上げ判定を前に、ベトナム株式市場の流動性と透明性を一段と高める重要な施策と位置づけられる。

目次

証券委員会が示した方針の全体像

ベトナム証券委員会は、国有企業(SOE=State-Owned Enterprise)に対して、株式の公開と市場流通を一体的に進めるよう改めて強く要求した。具体的には、国が保有する株式の「cổ phần hóa(コーファンホア=株式会社化・株式公開)」と「thoái vốn(トアイヴォン=資本引き揚げ・ディベスチャー)」を推進する際、それに連動して証券取引所への正式な上場(niêm yết)または取引登録(đăng ký giao dịch)を行うことを求めるものである。

ベトナムでは長年にわたり、株式会社化が完了したにもかかわらず上場手続きを怠る国有企業が多数存在してきた。形式的にはIPOを終えていても、株式が取引所に上場されず「未上場公開企業」のままとなっているケースが散見される。こうした企業は株価形成が不透明で、投資家にとっては情報開示が不十分となり、市場全体の信頼性を損なう要因となっていた。証券委員会の今回の方針は、この長年の課題にメスを入れるものだ。

背景:遅々として進まなかった国有企業改革

ベトナムにおける国有企業の株式会社化は、2000年代から政府の重点政策として位置づけられてきた。しかし、実際の進捗は計画を大幅に下回ってきた経緯がある。各省庁や地方政府が管轄する国有企業は、不動産や資源などの「含み資産」を多く抱えており、資産評価の複雑さや内部の利害関係が障壁となり、株式公開が先送りされるケースが後を絶たなかった。

ベトナム政府は2016年〜2020年の期間に数百社規模の国有企業の株式会社化・ディベスチャーを計画していたが、実際に完了したのは計画の一部に過ぎなかった。2021年以降も目標は掲げられているものの、新型コロナウイルスの影響や不動産市場の混乱、そして一部の国有企業幹部の汚職摘発なども重なり、改革のペースは依然として鈍い状況が続いていた。

さらに問題なのは、株式会社化を完了した後も上場しない企業が数多く存在する点である。ベトナム財務省のデータによれば、株式会社化済みで未上場の企業は数百社に上るとされ、こうした企業の株式はOTC市場(店頭取引)で不透明な価格形成のまま取引されるか、あるいはほとんど流動性がない状態に置かれている。これは国有資産の管理・監視の面でも、投資家保護の面でも大きな問題であった。

ホーチミン証券取引所とハノイ証券取引所の役割

ベトナムには主要な証券取引所が2つある。ホーチミン証券取引所(HOSE)は大型株が中心で、VN-Indexの算出母体となっている。ハノイ証券取引所(HNX)は中小型株が中心で、さらにその下にUPCoM(未上場公開企業市場)が設けられている。UPCoMは正式な上場に至っていない企業の株式を登録・取引できるプラットフォームであり、国有企業の株式会社化後の受け皿として重要な役割を担ってきた。

今回の証券委員会の方針では、HOSEやHNXへの正式上場だけでなく、UPCoMへの取引登録も含めて「市場への参入」を促している点が注目される。つまり、大型国有企業であればHOSEへの上場を目指し、中小規模であればUPCoMへの登録でも構わないという柔軟なアプローチを採りつつも、いずれにせよ「市場の外に留まること」は許容しないという姿勢を明確にしたのである。

FTSE新興市場指数の格上げとの関連

この施策のタイミングは、2026年9月に予定されるFTSEラッセルによるベトナムの市場分類見直しと深く関係している。ベトナムは現在、FTSEの分類では「フロンティア市場」に位置づけられているが、2025年9月にセカンダリー・エマージング(新興市場)への格上げ候補としてウォッチリストに入っており、最終判断は2026年9月のレビューで下される見込みである。

格上げが実現すれば、FTSE新興市場指数に連動するパッシブ資金(ETFやインデックスファンド)がベトナム市場に大量に流入することが期待されている。しかし、格上げの条件として「市場の流動性」「透明性」「情報開示の質」「外国人投資家のアクセス改善」などが求められており、国有企業が上場せずに市場外に留まっている現状は、これらの基準を満たす上でマイナス要因となり得る。

証券委員会としては、国有企業の上場推進により市場の時価総額と流動性を拡大し、FTSEの格上げ審査にプラスの材料を積み上げたいという戦略的意図が明確に読み取れる。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場への影響:国有企業の上場が加速すれば、市場全体の時価総額が拡大し、セクターの多様化が進む。ベトナムの国有企業には電力、通信、港湾、鉱業、農業、化学など基幹産業に属する大型企業が多く含まれており、これらが上場すれば投資家にとっての選択肢が大幅に広がる。特に機関投資家にとっては、ポートフォリオの分散効果が高まる点で歓迎されるだろう。

関連銘柄への波及:証券会社セクター(SSI証券、VNダイレクト証券、ホーチミンシティ証券など)は、IPOの引き受け業務や取引量の増加から直接的な恩恵を受ける可能性がある。また、国有銀行の中でもまだ完全に上場手続きが完了していない金融機関があれば、その上場は市場にとって大きなイベントとなり得る。

日本企業・日系投資家への影響:ベトナムに進出している日本企業にとって、国有企業の株式公開が進むことは、合弁パートナーやサプライチェーン上の取引先の透明性が向上することを意味する。また、日系の投資ファンドやSBI証券、野村證券などベトナム市場へのアクセスを提供する金融機関にとっても、投資対象の拡大はビジネス機会の拡大に直結する。

FTSE格上げへの追い風:今回の施策は、ベトナム政府がFTSE格上げに向けた「本気度」を示すシグナルである。KRX(韓国取引所システム)の導入準備、外国人投資家の事前入金(プリファンディング)要件の緩和、そして今回の国有企業上場促進と、矢継ぎ早に市場改革が進んでいる。これらの施策が包括的に評価されれば、2026年9月の格上げ実現の確度はさらに高まるだろう。

リスク要因:一方で、過去の経緯を踏まえれば、方針の発表と実行の間には大きなギャップが生じる可能性がある。資産評価の難航、関係省庁間の調整不足、政治的な利害関係など、実務レベルのハードルは依然として高い。投資家としては、実際に上場が進むペースをモニタリングしながら、過度な期待は控えるべきであろう。


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出典: 元記事(VnExpress)

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