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Green SMがVinFast製EV約1.85万台をフィリピンで展開へ—ベトナム発EV外交の新局面

Green SM hợp tác 75 doanh nghiệp, triển khai gần 18.500 xe VinFast
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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ベトナム発の電気自動車(EV)メーカー、VinFast(ビンファスト)の車両を運用するEVタクシー会社Green SM(グリーンSM)が、フィリピン市場で大規模な事業展開を進めている。2025年5月15日、同社は75の運輸企業と覚書(MOU)および手付金契約を締結し、合計1万8,497台のVinFast製電気自動車をフィリピンで運行する計画を明らかにした。ASEAN域内におけるベトナム製EVの存在感が急速に高まっていることを示す象徴的な動きである。

目次

Green SMとは何者か——ビンファストのエコシステムを支えるEVタクシー企業

Green SMは、ベトナム最大手コングロマリットであるビングループ(Vingroup)の傘下で誕生したEVタクシー・ライドヘイリング事業者である。ベトナム国内ではすでにハノイやホーチミン市を中心にVinFast製EVを活用したタクシーサービスを展開しており、従来のガソリン車タクシー大手であるマイリン(Mai Linh)やビナサン(Vinasun)とは異なる「全車EV」というブランドイメージで急速にシェアを拡大してきた。

Green SMの事業モデルは、単なる自社運行にとどまらない点が特徴的である。今回のフィリピンでの発表にも見られるように、現地の運輸企業とパートナーシップを組み、VinFast車両の導入を包括的に支援するプラットフォーム型のビジネスモデルを採用している。これにより、VinFastにとってはEVの大量販売チャネルが確保され、Green SMにとってはアセットライトな海外展開が可能になるという、双方にメリットのある構造となっている。

フィリピンでの展開——1万8,497台の規模感

今回締結されたのは、フィリピン国内の75社の運輸企業との覚書および手付金契約である。対象となるVinFast製電気自動車は1万8,497台に上り、これはフィリピンのEV市場全体から見ても極めて大きな数字である。

フィリピンは人口約1億1,000万人を擁するASEAN第2位の人口大国であり、首都マニラ(メトロマニラ)圏だけでも約1,300万人以上が暮らす巨大都市圏を形成している。慢性的な交通渋滞と大気汚染が深刻な社会問題となっており、フィリピン政府はEV普及を政策的に後押ししている。2022年には「電気自動車産業開発法(EVIDA)」が成立し、EV関連の輸入関税免除やインセンティブが整備されるなど、制度面での環境は着実に整いつつある。

こうした追い風の中で、Green SMが75社もの地場運輸企業と一挙に提携を結んだことは、VinFastの海外販売戦略が「個人向け販売」だけでなく「B2Bフリート販売」を重視する方向に大きく舵を切っていることを示唆している。フリート(法人向け大量納車)は、台数を稼ぎやすく、メンテナンスや充電インフラの整備も集中的に行えるため、EV普及の初期段階においては合理的な戦略と言える。

VinFastの海外戦略における位置づけ

VinFast(ナスダック上場、ティッカー:VFS)は、2023年8月にナスダック市場へのSPAC上場を果たし、世界的な注目を集めた。しかし上場後の株価は大幅に下落し、販売台数の伸び悩みや収益化の遅れが投資家の懸念材料となっていた。

こうした状況を打開するため、VinFastは東南アジア市場を最重要ターゲットと位置づけている。インドネシアではすでに現地工場を建設中であり、フィリピン、タイ、ミャンマーなどでもディーラー網の構築を進めている。今回のGreen SMを通じたフィリピンでの約1万8,500台規模の展開は、VinFastの2025年のグローバル販売目標を大きく下支えする可能性がある。

さらに、Green SMのフリートモデルは、VinFastにとって「EVの実走行データの大量取得」という副次的なメリットもある。フィリピンの熱帯気候下でのバッテリー性能や充電パターンのデータは、今後の車両改良やバッテリーマネジメントシステムの最適化に直結する貴重な資産となるであろう。

ASEAN EV市場の競争環境

ASEAN域内のEV市場は、中国メーカーの攻勢が最も激しい戦場の一つである。BYD(比亜迪)、上汽通用五菱(Wuling)、長城汽車(GWM)、哪吒汽車(Neta)などが、タイやインドネシアを拠点に価格競争力のあるEVを次々と投入している。

この中でVinFastは「ベトナム発」というASEAN域内ブランドとしてのアイデンティティを武器に差別化を図っている。ASEAN諸国の間には、中国製品への依存度が高まることへの警戒感も一部に存在し、域内メーカーとしてのVinFastには地政学的な観点からも一定の支持基盤がある。加えて、Green SMのようなサービスレイヤーを一体で提供できるのは、単なる車両メーカーにはない強みである。

投資家・ビジネス視点の考察

本件が株式市場に与える影響について、いくつかの観点から整理する。

VinFast(VFS・ナスダック)への影響:約1万8,500台のフリート契約は、VinFastの四半期出荷台数(2024年通年で約8万台超)と比較しても無視できない規模である。ただし、覚書(MOU)段階であり、実際の納車スケジュールやファイナンスの確定には時間がかかる可能性がある。短期的な株価材料としてはポジティブだが、「MOU締結=確定受注」ではない点には留意が必要である。

ビングループ(VIC・ホーチミン証券取引所)への影響:親会社であるビングループは、VinFast株を大量保有しており、VinFastの業績改善は間接的にVICの企業価値に影響する。また、Green SMの事業拡大はビングループのモビリティ・エコシステム全体の評価向上につながる。

日本企業への影響:日本の自動車メーカーはASEAN市場を従来からの主戦場としてきたが、EV化の波への対応は遅れ気味とされてきた。特にフィリピン市場では、トヨタ、三菱自動車、日産などが高いシェアを持つが、EV分野ではVinFastや中国勢に先行を許している。Green SMの大規模フリート展開が実現すれば、フィリピンの都市部でVinFast製EVタクシーが日常的に走る光景が広がり、日本車のブランドポジションにも中長期的な影響を及ぼす可能性がある。

FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、ベトナム株式市場全体への海外資金流入を促す一大イベントである。ビングループ(VIC)はホーチミン証券取引所の時価総額上位銘柄であり、格上げが実現すれば海外パッシブファンドからの買い需要が発生する。VinFastの海外事業拡大によるビングループのファンダメンタルズ改善は、格上げ効果と相まって大きなカタリストとなり得る。

ベトナム経済全体のトレンド:ベトナムは「世界の工場」として製造業の集積が進んでいるが、VinFastとGreen SMの海外展開は、ベトナム企業が「製造受託」から「自社ブランドのグローバル展開」へと進化しつつある象徴的な事例である。韓国のサムスンや現代自動車がかつて歩んだ道を、ベトナム企業もたどり始めていると見ることができる。今後、ベトナム発のグローバルブランドがどこまで成長するか、注目に値するテーマである。


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出典: 元記事

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