こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
5月19日、ベトナム政府がとうとう動きます。グエン・ヴァン・タン副首相が23の国営企業トップを一堂に集めて、国有資本の再編基準について直接協議するというんです。BSR、GAS、GVR、PLX、BIDVあたりの名前が並んでいる。長年にわたって「いつかやる、いつかやる」と言われ続けてきた国有企業改革が、ついに具体的な制度設計の段階に入ってきた——そう感じた方は、私だけではないと思います。
正直なところ、この手のニュースに何度も期待しては肩透かしを食らってきた経験があるので、即座に興奮するのも難しい。でも今回は、少し毛色が違うと見ています。
なぜ今なのか——改正証券法という「期限」の存在
背景にあるのは、2025年1月1日に施行された改正証券法です。この法律、公開企業に対して「少数株主が最低でも発行済み株式の10%以上を保有すること」という条件を課した。聞こえはシンプルですが、これが国営企業にとってはかなり厳しい要件なんです。
添付の画像を見てもらえると分かりますが、HOSEとHNXに上場している企業だけでもこの状況です。
GVR(ベトナムゴムグループ)は財務省が96.8%保有。BCM(ベカメックス)はビンズオン省人民委員会が95.4%。GAS(PVガス)はペトロベトナムが95.8%。BSRにいたっては92.1%をPVNが握っている。少数株主が10%に満たない、どころか一桁台という企業が並んでいます。
UPCOMに目を向けると、ACV(ベトナム空港公社)は財務省が95.4%保有、VGI(Viettel Global)はViettelグループが99.01%という状況。MVN(ベトナム海事公社)も財務省が99.5%保有で、ほぼ「名目上の上場」に近い。
これらの企業は今のままでは上場維持の要件を満たさない可能性がある。だから政府も動かざるを得なくなっている、というのが正確な理解だと思います。
23社に何が求められているのか
今回の会議で議論される「国有企業の分類基準」というのは、早い話が「どの企業を国が100%握り続け、どの企業は民間に開放するか」の仕分けです。
財務省が準備している文書番号275/TTr-BTC(2026年5月7日付)が議論のベースになるとのことで、これが正式に決まれば、各企業の国有資本の持分比率引き下げに向けたロードマップが動き出します。
ハノイに13年いると、こういう会議が開かれるたびに「今度こそ」という空気が漂うのをよく知っています。でも今回は違う点がある。改正証券法という「外から課された期限」があること。副首相が直接主宰していること。そして23社という具体的な企業名が挙がっていること。過去の会議は概念的な話が多かったのに対して、今回は具体的な銘柄の話になっているわけです。
投資家として注目すべきポイント
BSRについて少し触れておきます。現在、ビンソン精製はペトロベトナム(PVN)が92.1%を保有。少数株主はほぼいない状態です。国有資本の一部を市場に売り出す、つまり希薄化が進めば流動性は上がる。FTSE Russell昇格の文脈でいえば、流動性の低さはベトナム市場全体の課題でもあって、こういった企業の持分開放が進むと市場の底上げにもつながります。
GASも同じ構造です。時価総額は186,762億VND(日本円換算で約1兆1,200億円)という大型銘柄でありながら、PVN傘下という性格から外国人投資家の自由な参加が制限されてきた。ここに変化の余地があるかどうか、19日の会議の後に出てくる情報は丁寧に追う価値があります。
PLX(ペトロリメックス)については、「suýt soát(際どい水準)」という表現がインフォグラフィックにも書いてあります。現在、少数株主が11.05%を保有しているため10%の基準はギリギリ満たしているように見えるが、実は構造的な問題を抱えているという指摘です。このあたりも要注視です。
富の南下の視点から
「富の南下」の文脈でこのニュースを読むと、一つの重要な論点が浮かびます。ベトナム市場のFTSE昇格プロセスにおいて、流動性の低さ、外国人投資家のアクセス制限、そして「名目上の上場」という問題は、ずっと改善課題として指摘されてきました。今回の会議は、それらの課題に対する制度的な回答が始まる起点になりうる。
ただし、過度な期待は禁物です。政府の動きがあっても実際の持分売却や希薄化が実行されるまでには時間がかかりますし、個別企業によって国家の「手放したくない理由」は異なります。ACV(空港公社)やGAS(ガスインフラ)のような戦略的インフラ企業は、たとえ上場基準を満たすための調整があったとしても、国家が経営権を完全に手放すことはないでしょう。
そういうことなんです。これは「国営企業を一気に民営化する」という話ではなく、「制度の網の目をかいくぐった形の上場を整理しなおす」動きです。その中で、どの企業に持分の一部が市場に出てくる可能性があるか——そこを冷静に読むのが、今の時点での現実的なアプローチだと私は考えています。
19日の会議の結果については、続報が出次第、改めて解説します。
いかがでしたでしょうか。今回の国有企業改革・国有資本再編について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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