MENU
24時間以内で読まれているベトナムニュース

【17年ぶり】ベトナム金小売最大手バオ・ティン・マン・ハイがIPOへ——2026年Q4にHOSE上場、PNJ独占時代の終わりが始まる

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ベトナムの金市場が、大きな転換点を迎えています。ハノイに本社を置く金・銀・宝石小売業者のバオ・ティン・マン・ハイ(Bao Tin Manh Hai)が、2026年第4四半期にホーチミン証券取引所(HOSE)への上場を目指してIPO準備段階に入ったことが、ブルームバーグの報道で明らかになりました。

この一報を聞いたとき、私は少しだけ興奮しました。なぜかというと、ベトナムの証券取引所に上場している金・宝飾関連企業はPNJ(ファン・ニャック・ジャン)ただ一社だけで、それも2009年のことです。バオ・ティン・マン・ハイが上場を果たせば、実に17年ぶりに金・宝飾セクターに新しい上場銘柄が誕生することになります。

IPOの具体的な内容

発表されたポイントを整理すると、同社の取締役会長ヴー・フン・ソン氏は6月以降に投資家向けロードショーを開始する予定で、今回のIPOでは発行済み株式の少なくとも15%を売り出す方針です。アドバイザーにはSSI証券が起用されており、企業評価業務と上場書類の作成を担当しています。

SSIは今年だけでも、BIDVの10兆2,000億VNDに上る私募増資、Imexpharmの約6兆VND規模のM&A取引、Cotecconsの1兆4,000億VNDの公募債発行と、ベトナム金融市場における大型案件を立て続けに手がけているトップアドバイザリーです。その証券会社がこの案件を担当するという事実だけでも、今回のIPOがどれだけ本気の案件かが伝わってきます。

また同社はすでに複数の潜在的な戦略的投資家と協議中であるとも報じられており、単なるロードショー準備にとどまらず、実質的な資本調達の交渉が水面下で進んでいる段階です。

業績の話をすると、桁が違う

少し話が逸れますが、私がハノイに来た頃、市内の金屋といえば旧市街の路地にひしめく個人商店が中心でした。バオ・ティン・マン・ハイの店舗も当時から知ってはいましたが、今とは比べものにならない規模でした。それが今や16店舗を展開し、今年中にさらに68店舗を追加、2030年には450店舗体制を目指すというのですから、ハノイに13年住む者としては感慨深いものがあります。

その急拡大ぶりは業績にも如実に表れています。2025年の売上高は約28兆VND(日本円換算で約1,680億円)に達し、前年の約2兆5,000億VNDから約11倍もの拡大となっています。税引き後利益は約7,740億VND(約46億円)で、2024年の約219億VNDと比べると35倍以上の伸びです。

この数字の背景には2つの要因があります。ひとつは世界的な金価格の上昇。ベトナム国内の金価格も年初から7%以上上昇しており、金を「貯蓄手段」として活用するベトナム人の購買意欲を後押ししました。もうひとつは、同社が積極展開している小型金製品の戦略です。約0.1テール(0.375グラム)という小ロットの24K製品を通じて、これまで高額な金製品を購入できなかった中低所得層にもアクセスポイントを広げています。「金を大衆向けの貯蓄チャネルにしたい」というゼネラルディレクターの言葉が、この戦略の本質を表しています。

金市場規制改革という構造的な追い風

今回の報道で私が最も注目しているのは、業績の数字よりもむしろ「規制改革」との連動です。

ベトナム政府はこれまで国家銀行が独占してきた金地金の製造体制を抜本的に見直し、大手民間企業が生産ライセンスを申請できる仕組みへと転換しました。ベトナム国家銀行のデータによると、2026年4月時点で11社がライセンス申請を提出済みで、バオ・ティン・マン・ハイも今年半ばまでに認可を取得できる見込みと取締役会長が述べています。

加えて同社はロンドン地金市場協会(LBMA)関連団体と覚書を締結しており、承認取得後には金の輸入活動を開始できる体制を整えています。原材料へのアクセスが安定すれば、長年ベトナムの宝飾業界を悩ませてきた「原材料不足」という構造問題が緩和される可能性があります。ベトキャップのアナリストもこの点を指摘しており、金原料へのアクセス改善が製造・小売業の生産能力と売上成長を支えると見ています。

つまりバオ・ティン・マン・ハイのIPOは、一企業の上場話にとどまらず、ベトナムの金市場が「規制産業から競争市場へ」と移行する局面と重なっているわけです。そういうことなんです。

PNJとの競合という視点、そしてFTSEとの関係

投資家として気になるのが「PNJとの関係性」です。PNJはベトナム証券市場を代表する消費関連銘柄として機関投資家にも広く認知されており、FTSE Russell二次新興市場への正式組み入れ(2026年9月21日)を控えてパッシブ資金流入の恩恵を受ける銘柄のひとつとして注目されています。

バオ・ティン・マン・ハイが上場すれば、金・宝飾セクターに競争原理が生まれると同時に、このセクター自体への市場の関心が高まる可能性があります。また、外国人投資家のベトナム株への注目度が高まる時期と上場タイミングが重なるという点は、IPOの市場環境として無視できない要素です。

一方で、慎重に見ておきたい点もあります。売上高11倍という急成長が今後も継続できるかどうかは金価格の動向に大きく左右されます。また年内68店舗追加という積極的な拡大計画は、人材・物流・テナント確保など実行面での課題を伴います。IPO価格帯や詳細な財務データが公開された段階で、改めて慎重な精査が必要です。今後の続報と、6月に予定されているロードショーの内容を引き続き追っていきます。

いかがでしたでしょうか。今回のバオ・ティン・マン・ハイIPO計画について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

【メンバーシップのご案内】 より詳細な投資分析や、ポートフォリオの具体的な銘柄情報、現地からのリアルタイム情報をお求めの方は、ぜひメンバーシップへのご参加をご検討ください。 https://note.com/gonviet/membership

一緒にベトナム株でFIREを目指しましょう!

【速報ニュース】 ベトナム経済や社会の速報ニュースは私のサイト日刊ベトナム経済通信もご活用ください。こちらのサイトは毎日ベトナムの経済、社会、投資関連情報をいち早く速報ニュースで配信しているニュースサイトです。


【免責事項】 本記事は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品への投資の勧誘や推奨を意図するものではありません。執筆者は金融商品取引業の登録を受けておらず、投資助言・代理業を行う資格を有していません。

本記事で提供される情報は、執筆者の個人的な分析と見解に基づくものであり、投資判断の最終的な決定は読者ご自身の責任において行ってください。ベトナム株式投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクを伴います。

本記事の情報の正確性、完全性、最新性については最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者は一切の責任を負いません。

投資判断に際しては、金融商品取引業の登録を受けた専門家への相談を強く推奨いたします。本記事は法的、税務的、財務的なアドバイスを提供するものではありません。

#ベトナム株 #投資 #アジア株 #FIRE #ベトナム #投資信託 #資産形成 #ベトナムニュース #海外ニュース #ニュース #経済

noteメンバーシップのご案内

ベトテク太郎noteメンバーシップ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次