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外資系エンジニアを辞めてメロン農家に転身、台風で全滅しても再起した38歳のベトナム人が示すアグリテックの未来

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

安定した外資系企業を突然辞めて、農業で起業する。家族は猛反対した。友人たちも首を振った。それが2018年のことです。

あれから7年、グエン・ドゥック・タイン氏(38歳)はハイフォン市の温室でメロンを育てながら、年間1億5,000万ドン(約90万円)以上の利益を手にしています。でもこの話の面白いところは「稼いでいる」という事実ではなく、そこに至るまでの道のりと、その道のりがベトナム農業全体の「変化」を映している点にあります。

タイン氏はベトナム海事大学で工学の学位を取得し、卒業後すぐにベトナム・日本工業団地の外資系企業へ就職しました。給与が良く、職場環境も悪くない。多くのベトナム人若者が目標にするポジションです。ところが夜勤が続き、昼夜逆転で不眠症になった。「一晩中起きていられるのに、翌朝はなかなか寝付けない」と彼は当時を振り返っています。その疲弊が積み重なり、2018年、彼は辞表を出しました。

ここで少し脱線させてください。私がハノイに住んで13年になりますが、若いベトナム人の「働き方の選択」が明らかに変わってきたと感じています。少し前まで、「外資系に入ること」がゴールでした。でも最近、路地裏のカフェでの会話や知人との雑談を聞いていると、「自分でやりたい」「地方に戻って農業で一発やってみたい」という声が本当に増えてきた。タイン氏はその象徴的な一人です。

最初に彼が選んだのはアンティークローズ(観賞用植物)でした。わずか2年で事業は軌道に乗り、市場に手応えを感じます。しかし彼は立ち止まらなかった。「顧客層が限られている、市場が飽和してきた」と判断し、次のステージへ進む。約2億ドン(約120万円)を投じてカンタロープ(マスクメロン)の温室栽培を開始。点滴灌漑と自動施肥システムを導入し、培地栽培で害虫を90%以上削減、生産コストを従来農法の40〜60%に抑えながら、初回の3ヶ月栽培で4,000万ドン(約24万円)以上の利益を上げました。

そして2024年9月、台風ヤギ(Yagi)が来た。

ベトナムで近年最大級と言われた台風です。翌朝、タイン氏が畑に行くと何も残っていなかった。鉄骨も屋根材も植物も、ほぼ完全に倒壊。数年かけて築き上げたものが一夜にして消えた。「数日間、電話にも出られなかった」と彼は言います。台風ヤギ後のハノイの光景を私も見ましたが、ああいう被害を目の前にすると言葉が出ません。わかります、その感覚は。

でも彼は立ち直った。村人たちが黙々と復旧作業を始める姿を見て。「まだ若い、家族もいない、諦める理由がない」と。再建した温室は以前より約1,000平方メートル広くなりました。そういうことなんです。

さて、ここで投資家目線に切り替えて考えてみましょう。

タイン氏の話は個人の再起ストーリーですが、同時にベトナム農業の「構造変化」を示す縮図でもあります。1,000平方メートルの温室建設に約5億ドン(約300万円)かかり、安定稼働すれば3年で投資を回収できる。このモデルが地方都市のハイフォンで成立しているという事実は、ベトナムの農業テック市場の成熟度をはっきりと示しています。

ベトナム政府は農業のハイテク化を国家戦略として位置づけており、「ハイテク農業ゾーン」の整備が全国で進んでいます。農業向け資材・設備メーカー、農産物の流通・加工企業、農業融資を担う地方銀行、これらのセクターに対する注目度は今後さらに高まっていくと私は見ています。個別銘柄の分析については、別途の企業レポートで詳しく取り上げていきます。

「農業からハイテク農業へ」というシフトは、ベトナムの産業高度化のひとつの形です。軽工業から重工業、そしてハイテクへという流れを歩んだ日本の高度経済成長期と同じ道を、ベトナムは農業分野でも歩もうとしています。エンジニアが農業に戻ってくる時代。ベトナムという国の変化のスピードを、私はハノイで毎日のように実感しています。

いかがでしたでしょうか。今回のハイテク農業への転身とベトナム農業テックについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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