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NVIDIAがベトナムで数十ポジション採用中——フォックスコン工場でSXMを製造する「本当の意味」

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ちょっと待ってください。これ、普通のニュースじゃないんです。

NVIDIAが今、ベトナムで大規模な採用活動を進めています。製造テストエンジニア、工場プランナー、製品エンジニア、在庫管理者、上級オペレーションマネージャー——職種は数十に及び、その求人票に書かれていた一文を読んで、私は思わず椅子から身を乗り出しました。

「勤務時間の大部分はフォックスコンの工場で過ごすことになる」

フォックスコン、です。iPhoneを組み立てているあのフォックスコン(Foxconn)が、ベトナムでNVIDIAのハイエンドGPUを製造している——あるいは製造しようとしている。そういうことなんです。

SXMモジュールという言葉の重さ

採用されているポジションのひとつが「SXM製造テストエンジニア」です。SXMモジュールというのは、NVIDIAのデータセンター向け製品ラインの最高峰に位置するもので、HGXやDGXといったAIスーパーコンピューティングプラットフォームに採用されています。

平たく言えば、ChatGPTや各種AIサービスを動かしている巨大なコンピュータの、心臓部に当たる部品です。

これをベトナムの工場でつくる、というのがNVIDIAの現在の動きです。ゲーム用GPUの組み立てとは話のスケールが違います。世界中のAIインフラを支える最高位の製品を、ベトナムの地で生産するというストーリーが、今まさに動き出しているわけです。

求人票には「診断パッケージの開発」「テストステーションの検証」「合格率の向上」といった業務内容が並んでいます。これは既に動いている、あるいは動き始めている工場での仕事であることを示しています。計画段階ではなく、実務段階です。

ジェンセン・ファンが語った理由

2024年12月、NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンセン・ファン(Jensen Huang)氏が直接ハノイを訪れ、ベトナム政府との協力協定の調印式に出席しました。ベトナムをNVIDIAの「第二の拠点」と表現した彼は、その理由をこう語っています。

「ベトナムには多くの利点があるが、最大の利点は強い家族観と教育への重視だ。ベトナム人はSTEM分野、特に数学と科学において優れた能力を発揮する。ベトナムは世界第2位のソフトウェアエンジニア供給国になっている——これはあまり知られていない事実だ」

ここが面白いところなんです。ハノイに13年住んでいる私の肌感覚と、まったく一致しているんです。この街で感じることですが、ベトナムの若者の数学・理系への取り組み方は日本のそれとはレベルが違います。週末に補習塾に通う子どもたちの多さ、大学進学率の急上昇、そしてIT系の専門学校の増え方——現地に住んでいると、人材の厚さをひしひしと感じます。

ジェンセン・ファン氏が見たのも、きっとそこだったんだと思います。

数十億ドルと5万人という数字

今回の動きで発表されている数字を整理します。計画投資省(現財務省)の発表によれば、NVIDIAは複数のパートナー企業と生産拠点をベトナムへ移転する契約を締結し、数十億ドルの投資を約束しました。それによって創出される雇用は、直接雇用で約4,000人、間接雇用で4万〜5万人と見込まれています。

直接雇用4,000人というのは一見地味な数字に見えますが、製造業の性格を考えると違います。半導体・GPU製造の工程は高度に分業されており、一つの工場が稼働すると、部品サプライヤー、物流、メンテナンス、品質管理などの周辺産業が次々と立ち上がります。4万〜5万人という間接雇用の見込みは、そのエコシステム全体の規模感を示しています。

また、今回の求人で特徴的なのが、英語に加えて中国語の堪能さを多くの職種で求めていることです。これはフォックスコンが台湾系企業であり、工場のマネジメント層や技術連携において中国語コミュニケーションが必要になることを意味しています。つまり、既に実際の製造体制を前提とした採用である、という読み方ができます。

富の南下という視点で見ると

私がずっと語ってきた「富の南下」という考え方があります。19世紀は欧州、20世紀は北米、そして21世紀の経済の重心はアジア・グローバルサウスへと移動している——という構造変化の話です(詳しくは富の南下マガジンをご覧ください)。

NVIDIAのベトナム進出は、まさにその文脈で捉えることができます。中国の地政学リスクが高まる中、世界の製造業は次の拠点を探していました。タイは高齢化が進み、インドネシアは物流コストと法規制の壁が厚い。フィリピンは製造業基盤がまだ薄い。消去法でどこが残るかというと——ベトナムです。

NVIDIAほどの企業が「第二の拠点」と明言したという事実は、ベトナムが単なる「安い労働力の国」というフェーズをとっくに卒業していることを示しています。世界のAIインフラの心臓部を製造できる技術力と人材を持つ国として、国際的に認知されつつある。そういうことなんです。

ベトナム株への影響という観点

この動きが直接ベトナム株のどの銘柄にどう影響するかは、慎重に考える必要があります。FoxconnはベトナムのHOSEやHNXに上場していませんし、NVIDIAもナスダック銘柄です。ただ、FDIの流入がベトナム経済全体に与える波及効果は多岐にわたります。

電力需要の増加(発電関連セクターへの関心)、工業用地の需要拡大(工業団地運営企業)、物流インフラへの投資加速、そして高度人材の採用競争による賃金上昇と消費拡大——これらが間接的にベトナム上場企業の業績に影響してくる可能性があります。

個別銘柄との接続については、今後の記事で詳しく分析していこうと思っています。

ハノイに住んでいて感じるのは、街のビジネスの空気が変わってきているということです。数年前まで「ベトナムはオフショア開発の国」という見られ方が主流でしたが、今は違います。世界最大級のテクノロジー企業が「ここで最先端の製品をつくりたい」と言っている。その変化の速度を、私は現地で毎日肌で感じています。

そういうことなんです。

いかがでしたでしょうか。今回のNVIDIAのベトナム採用強化の動きについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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