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株式投資において損失を経験すること自体は珍しくない。しかし、損失に直面したときにどう反応するかが、長期的な投資成果を大きく左右する——ベトナムの大手メディアVnExpressが、証券ポートフォリオが含み損を抱えた際の具体的な対処法について詳報した。ベトナム株式市場(VN-Index)は2025年に入ってからも調整局面を何度か迎えており、個人投資家の多くが含み損に悩んでいる状況だ。本稿では、元記事の内容を踏まえつつ、日本からベトナム株に投資する読者にも応用できる知見を詳しく解説する。
なぜ今「含み損への対処法」が注目されるのか
ベトナム証券市場は、ホーチミン証券取引所(HOSE)を中心に個人投資家の比率が極めて高いことで知られる。全体の取引高に占める個人投資家の割合は約80%に達するとされ、機関投資家中心の日本市場や米国市場とは大きく性格が異なる。個人投資家が多いということは、それだけ感情的な売買——いわゆる「パニック売り」や「塩漬け放置」——が起こりやすい構造を持っているということである。
2024年後半から2025年にかけて、VN-Indexは1,200〜1,300ポイント前後のレンジで推移し、2022年の急落時ほどではないにせよ、多くの個人投資家のポートフォリオが含み損を抱える局面が繰り返し訪れている。こうした背景から、「損失時にどう振る舞うか」というテーマが改めて注目を集めている。
対処法①:パニック売りを避け、冷静に状況を分析する
投資で損失を出したとき、最もやってはいけないのが感情に任せた投げ売りである。株価が下がったという事実だけで即座に売却すると、本来は一時的な調整に過ぎなかったケースで大きな損失を確定させてしまう。まず行うべきは、なぜ株価が下がったのかを冷静に分析することだ。市場全体の調整なのか、セクター固有の問題なのか、あるいは保有銘柄の業績悪化なのか。原因を正しく特定しなければ、適切な対処は不可能である。
ベトナム市場の場合、政策変更や為替の変動、海外市場(特に米国や中国)の影響を受けやすいため、保有銘柄自体のファンダメンタルズに問題がなくても株価が下がることは日常的に起きる。こうした外的要因による下落であれば、むしろ買い増しの好機となる場合もある。
対処法②:損切りラインを事前に設定しておく
プロの投資家やベテラントレーダーが共通して実践しているのが、購入時点で損切りライン(ストップロス)を決めておくことである。一般的には購入価格から7〜10%の下落を一つの基準とするケースが多いが、これは投資スタイルやリスク許容度によって異なる。重要なのは、事前に決めたルールを感情に左右されずに実行する規律だ。
ベトナム株は値幅制限があり、HOSEでは1日±7%、ハノイ証券取引所(HNX)では±10%と定められている。この値幅制限があるため、ストップ高・ストップ安に張り付いて売買が成立しないケースも起こり得る。特に小型株や流動性の低い銘柄では、損切りしたくてもできないリスクがあることを念頭に置く必要がある。
対処法③:ポートフォリオを見直し、分散を再点検する
含み損を抱えた際は、個別銘柄だけでなくポートフォリオ全体の構成を見直す良い機会でもある。特定のセクター(例えば不動産や銀行)に偏りすぎていないか、1銘柄への集中投資になっていないかを確認すべきだ。ベトナム市場では、VN30指数(時価総額上位30銘柄で構成)に含まれる大型株——ビンホームズ(Vinhomes、不動産大手)、ベトコムバンク(Vietcombank、国有系最大手銀行)、FPT(ベトナム最大手IT企業)など——が市場全体の値動きを大きく左右する。これらの銘柄への適切な配分と、成長セクター(IT、製造業、消費財など)へのバランスある分散が、長期的なリスク軽減に有効である。
対処法④:ナンピン買い(買い下がり)は慎重に
含み損を抱えた銘柄を追加購入して平均取得単価を下げる「ナンピン買い」は、正しく使えば有効な戦略だが、判断を誤ると損失を拡大させる諸刃の剣でもある。ナンピンが有効なのは、企業のファンダメンタルズ(業績、財務体質、成長性)が健全で、株価下落が一時的な外的要因によるものだと合理的に判断できる場合に限られる。
業績が悪化している銘柄や、経営上の構造的問題を抱えている企業に対して「安くなったから」という理由だけでナンピンするのは、いわゆる「落ちるナイフを掴む」行為であり、最も避けるべきパターンである。
対処法⑤:長期的な視点を持ち直す
最も根本的な対処法は、投資の時間軸を再確認することである。短期トレーダーと長期投資家では、含み損に対する正しい反応がまったく異なる。長期投資家であれば、数週間〜数ヶ月の下落は「ノイズ」に過ぎない場合が多い。重要なのは、投資先の企業が5年後、10年後にも成長し続けるかどうかという視点だ。
ベトナム経済は、人口約1億人・平均年齢30代前半という人口ボーナスを背景に、GDP成長率6〜7%台を持続的に維持している。製造業の中国からの移転(チャイナプラスワン)、デジタル経済の急拡大、中間層の消費拡大など、構造的な成長ドライバーは依然として健在である。こうしたマクロ環境を踏まえれば、優良企業への長期投資は短期的な含み損を乗り越える合理性を持っている。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のテーマは特定のニュースイベントではなく、投資家の行動心理と戦略に関するものだが、現在のベトナム市場環境を踏まえると、いくつかの重要な示唆がある。
第一に、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げは、ベトナム株式市場にとって最大級のカタリストである。格上げが実現すれば、世界中の新興市場ファンドから数十億ドル規模の資金流入が期待される。この大きな潮流を前にして、短期的な含み損に耐えきれずに優良銘柄を手放すのは、長期的には大きな機会損失になりかねない。
第二に、日本からベトナム株に投資する個人投資家にとっては、為替リスク(円/ドン)も含み損の一因となることがある。為替による評価損は企業のファンダメンタルズとは無関係であるため、通貨要因と株価要因を分けて分析する冷静さが求められる。
第三に、日本企業のベトナム進出が加速する中、関連するベトナム上場企業(工業団地開発、物流、銀行など)は中長期的に恩恵を受けるセクターである。直近の株価が軟調であっても、日越経済関係の深化という構造的なトレンドは変わらない。含み損を機にポートフォリオを「将来の成長セクター」に寄せていくことも、建設的な対処法の一つと言えるだろう。
結局のところ、「投資で損失が出ること」自体は市場参加者にとって避けられない現実である。問われるのは、損失に対する「反応の質」だ。データに基づいた冷静な判断、事前のルール設定、そして長期的な視座——これらを備えた投資家こそが、ベトナム市場の成長の果実を最終的に享受できるのである。
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出典: 元記事












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