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2030年、ベトナムから狂犬病死亡者をなくす。ハノイが動き出した都市モデルの現実

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ハノイに13年住んでいると、街の変化というのは不思議なもので、気づかないうちに「あれ、あそこの店、なくなってたな」という瞬間が訪れます。最近、そんなことをあらためて考えさせられるニュースが飛び込んできました。

ハノイ市が、犬猫の人道的な管理と狂犬病対策を柱とした新しい都市モデルの構築に本格的に乗り出したのです。

ハノイ発、「犬肉文化」に揺れる変化の予兆

2025年7月にハノイ市人民委員会が承認したプロジェクト「狂犬病予防・管理および持続可能な経済発展のためのパイロットモデル」。市内14区を試験対象として、犬猫の屠殺・取引に関わる世帯を段階的に別の生計手段へと移行させることを目指しています。主導するのはハノイ市畜産水産獣医局で、国際団体のソイ・ドッグ財団、そして行動変容専門の社会企業SBCCベトナムが協力しています。

正直なところ、これを読んだときに「ついにか」という感覚がありました。タイ湖(タイホー)周辺に住んでいると、旧市街の方に足を運べばまだ犬肉の看板を見かけることがある。観光客が驚く光景として有名ですが、ハノイっ子にとっては昔から当たり前の食文化でもありました。それが制度として変わっていこうとしている。

今回の研修会には、50名以上の獣医官・職員と、複数の診療所・治療センターの代表者が集まりました。内容は3つの柱で構成されていて、法的枠組みと国際基準の学習、人道的な安楽死の実践的な手順、そして獣医スタッフのメンタルヘルス支援——この3点目が個人的にはかなり印象的でした。動物の安楽死という業務がもたらす「共感疲労」や職業上のトラウマに対処するプログラムまで含めている。単なる技術研修ではなく、現場で働く人たちの心理的負荷まで設計に組み込んでいる。ここに本気度が見えます。

「2030年までに狂犬病ゼロ」という国家目標

このプロジェクトの背景には、ベトナム政府が掲げる「2030年までに狂犬病による人間の死亡をなくす」という国家目標があります。狂犬病は、現在も東南アジアで年間数万人の命を奪う感染症で、その主な感染ルートは犬に咬まれることです。そしてベトナムでは、犬の管理・流通の過程が必ずしも国際的な動物衛生基準を満たしていないという現実があった。

ソイ・ドッグ財団のシニアマネージャーは、東南アジア各国での経験として「地域の獣医師が動物福祉の適切な訓練を受けると、疾病、とりわけ狂犬病の抑制能力が大幅に向上する」と述べています。これは感情論ではなく、公衆衛生の実証的なアプローチです。

つまり、動物福祉の向上と人間の感染症リスクの低減は、実は同じ方向を向いている。そういうことなんです。

文化変容と経済移行——ここが難しい

ただ、現実問題として簡単ではない部分もあります。生計手段として犬猫の取引に携わってきた世帯にとって、「別の仕事に変わってください」と言われても、すぐに動けるわけではない。プロジェクトには「持続可能な生計転換」の支援も含まれており、すでに研修を受けた一部の飲食店は犬肉・猫肉の販売をやめたと報告されていますが、これを14区全体に広げるのは長い時間と根気が要る作業です。

SBCCベトナムのディレクターが「持続可能な行動変容は規制から始まるのではなく、それを実施する人々の意識と内発的な動機から始まる」と言っているのは、まさにその点を突いているわけで、押し付けではなく、現場の人間が「なぜ変わる必要があるのか」を腹落ちさせることが先決だという姿勢です。

ハノイの街が変わるとき、何が起きるのか

ハノイに暮らしていると、この街は「急に変わる」という経験を何度もしてきました。バイクの洪水だった道路が、突然メトロの工事で掘り返されて、数年後には地下鉄が走っている。スラム的な路地が、いつの間にかカフェとブティックに塗り替えられている。

今回の動きも、そういう変化の一つとして10年後に振り返るような話になるかもしれません。2030年という期限が設定されている以上、現実的な進捗管理も問われるはずで、ハノイモデルが全国の他の都市の参考事例になることも期待されています。

外から眺める分には「文化」として語られることも多い犬肉文化ですが、それが公衆衛生の観点から制度的に再編されていく過程を、私はこの街に住む一人として引き続き見届けていきます。

そういうことなんです。

いかがでしたでしょうか。今回のハノイの狂犬病対策とパイロットプロジェクトについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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